オリーブの木の上手な育て方。剪定や植え替え、トラブルの対処法まで

2020 10/09
オリーブの木の上手な育て方。剪定や植え替え、トラブルの対処法まで

観賞用や食用に自宅栽培できる植物として、オリーブが人気を博しています。きれいな実がなるよう育てるには、定期的なお手入れやコツが必要です。上手な育て方やトラブルの対処法などを学び、自宅でオリーブの木を育てましょう。

目次

オリーブの木の基礎知識

オリーブの木の基礎知識

オリーブに限らず、植物を育てるときはその品種の基礎知識が必要です。オリーブの基礎知識を学び、オリーブ栽培をより楽しみましょう。

花、葉、実の特徴

オリーブは『常緑高木(じょうりょくこうぼく)』に分類される植物です。年間を通して葉を付ける常緑樹のうち、樹高の高いものを指します。オリーブの場合、樹高は15m以上になることもあります。

オリーブの花は、黄白色や白色です。約3~5mmと小ぶりで、房状にたくさん咲きます。先端のとがった硬い葉も、オリーブの特徴の一つです。葉の表面は光沢感のある緑色、裏面は銀白色です。

オリーブは丸い実を付けます。緑色から黄緑・赤・紫と変色し、完熟時の色は黒です。オリーブオイルやピクルスに加工され、食卓に並ぶこともあります。

開花時期

品種によってオリーブの開花時期は異なるものの、初夏とされています。具体的には、5~6月頃です。オリーブの花が咲くのは、約1週間と短めです。匂いは強くないため、花が咲いても気づかず見落としてしまう場合もあるでしょう。

オリーブの花はあまり強くなく、雨に当たるとすぐに花が落ちてしまいます。オリーブの花の観賞を楽しみたい場合は、雨の当たりにくい場所に鉢を置くのがおすすめです。

キンモクセイのように、咲き終えたオリーブの花は落ちます。育てる場所に関係なく、落ちた花びらの回収や掃除が必要です。開花時期が近づいたらオリーブをよく観察し、オリーブの花を見逃さないようにしましょう。

花言葉

オリーブの花言葉は、平和・安らぎ・知恵・勝利などがあります。

諸説ありますが、平和と安らぎの由来は、旧約聖書の神話『ノアの方舟』です。人類を滅ぼそうと神が起こした大洪水を耐えしのいだノアは、地上に鳩を放ちます。ノアの元に帰った鳩がオリーブの葉をくわえていたことで、洪水の収束をノアは悟りました。この逸話から、オリーブは平和や安らぎのシンボルとされています。

知恵と勝利はギリシャ神話が由来という説が有名です。ある都市の支配権を巡る争いで、『より人々に役立つ贈り物をした神』に支配権が認められることになりました。この争いに勝利した神の贈り物こそがオリーブです。このエピソードから、オリーブは知恵と勝利の象徴とされています。

上手な育て方とお手入れ方法

上手な育て方とお手入れ方法

育て方やお手入れ方法を間違えると、せっかく育ったオリーブが枯れてしまったり実がならなくなったりします。上手な育て方とお手入れ方法を知り、オリーブを長持ちさせましょう。

日当たりや置き場所

上手にオリーブを育てるには、日当たりや置き場所が重要です。品種を問わず、スペインやギリシャといった地中海沿岸部がオリーブの原産地です。

年間を通して過ごしやすい気候の地中海沿岸部は、雨量が少なく乾燥しています。地中海沿岸部のような、オリーブ好みの環境をできる限り整えましょう。

屋内にせよ屋外にせよ、日当たりと風通しのよい場所にオリーブを置くのがおすすめです。オリーブは寒さに弱いため、冬の寒さが厳しい地域でオリーブを育てる場合、寒い季節は室内で育てるとよいでしょう。

庭に地植えする場合は、冬囲いでオリーブを寒さから守りましょう。

水やりの方法

水やりの方法も、うまくオリーブを育てるポイントの一つといえるでしょう。乾燥した地中海沿岸部を原産地とするオリーブは、乾燥にはある程度強いです。しかし、乾燥させすぎてしまうと、育たなかったり枯れたりする原因になります。

土の表面が乾いたら、たっぷり水をあげましょう。鉢で育てている場合は、鉢の底から水が流れるくらいが目安です。ただし、オリーブは湿気に弱いため、受け皿にたまった水は捨てましょう。

水やりの頻度は、夏はほぼ毎日、冬は1週間~10日に1回程度です。

肥料の与え方

肥料の与え方は、オリーブ栽培において欠かせないポイントです。オリーブには、年に3回程度は肥料をあげましょう。

肥料をあげるタイミングは、オリーブが芽吹く3月、開花後の6月、実の収穫が終わる10月頃です。肥料の与えすぎはよくないため、オリーブの成長や様子を見て量を調整しましょう。

オリーブはアルカリ性の土壌を好むため、年に1回程度は石灰を混ぜて土を中和させます。石灰質を含む土を選んでもよいでしょう。肥料選びに迷うようであれば、オリーブ専用の肥料を与えるのもおすすめです。

摘果作業

大きな果実を実らせるための間引きを『摘果(てきか)』といいます。食用でもオリーブを楽しみたい人にとって、特に摘果作業は重要といえるでしょう。

オリーブには、果実の豊作と不作を繰り返す『隔年結果』を起こしやすい品種があります。豊作の年に摘果作業をすると、隔年結果しやすい品種でも隔年結果の影響を抑えやすくなるでしょう。

摘果作業におすすめの時期は、7~8月頃です。果実一つに対して残す葉の枚数を示す『葉果比(ようかひ)』に従い、摘果します。オリーブの葉果比は8です。果実一つに対して、葉が8枚になるよう摘果しましょう。

枝が伸びてきたら剪定しよう

枝が伸びてきたら剪定しよう

オリーブの枝が伸びてきたら、剪定(せんてい)しましょう。剪定もまた、オリーブを上手に育てるのに重要なポイントです。

剪定の目的

植物の枝や葉を切って整えることを剪定といいます。剪定の主な目的は、次の三つです。

  • 枝の広がりを抑える
  • 日当たりや風通しをよくする
  • 害虫の被害を受けたり枯れたりした枝を取り除く

オリーブに限らず、育てれば植物は大きく成長します。しかし、放置しておくと必要以上に大きくなり、部屋や庭のスペースを占領してしまうでしょう。育てやすい大きさにオリーブを調整するために剪定を行います。

切り落とした枝の分、枝の間の日当たりや風通しがよくなるため、害虫や病気の被害を予防可能です。すでに害虫の被害を受けたり枯れたりした枝を取り除くのも、剪定の目的といえるでしょう。

適した時期

『強剪定』と『軽剪定』の2種類が剪定にはあります。適期は強剪定が2~3月頃、軽剪定が5~10月頃です。

オリーブの成長が止まる時期に、生育促進のために行うのが強剪定です。多くの枝を切り落として樹木の骨格を形成する意味があり、『骨格剪定』『整枝剪定』とも呼ばれます。成長中の時期に行うと切り口から枯れたり腐ったりするため、強剪定は休眠期に行いましょう。

オリーブが成長中の時期に、樹木の姿を整えるために行うのが軽剪定です。暖かくなって伸びすぎた枝を適宜切り落とし、日当たりや風通しをよくしましょう。夏や秋頃に行うため、『夏期剪定』『整枝剪定』『弱剪定』とも呼ばれます。

剪定のやり方

清潔な剪定ばさみと癒合剤(ゆごうざい)を用意しましょう。癒合剤は剪定後の切り口を保護するもので、病原菌が入り込むのを防いだり、切り口の修復を手助けしてくれたりします。

強剪定は『枝の数を減らす』、軽剪定は『枝の長さを調整する』イメージです。まずは完成形をイメージし、切り落とす枝を選びましょう。地面に向かって伸びている枝や、根本の細い枝などから切り落とします。

交差したり混み合ったりしている枝を付け根から切り落としましょう。日当たりや風通しを意識するのがポイントです。どの枝を切るかで迷ったら、上向きの枝を優先的に残しましょう。納得のいく形に仕上がったら、切り口に癒合剤を塗って完成です。

定期的な植え替えも大事な作業

定期的な植え替えも大事な作業

鉢植えでオリーブを育てる場合、定期的な植え替えも大事な作業の一つです。植え替えをすることで、理想的な大きさにオリーブを育てやすくなります。

時期とタイミング

オリーブには、植え替え時期を示すサインがいくつかあります。葉の色と根でサインを確認しましょう。

アルカリ性の土壌をオリーブが好むのは、土が酸性になると根の近くにある葉が黄色っぽくなったり枯れたりするためです。葉に異変を感じたら、植え替えと同時に土を弱アルカリ性に整えましょう。

オリーブは根の成長が早い植物です。鉢の容量に合わないほど根が成長すると、鉢に入りきらない根が表面に浮き出てしまいます。放置すると根詰まりの原因になるため、一回り大きい鉢に植え替えるか、伸びすぎた根を間引きしましょう。

植え替えのタイミングは1~2年に1回、4~6月頃に行うとよいでしょう。

植え替えのやり方

まず、新しい鉢の底に鉢底ネットをかぶせます。ネットの上から約3cm分の鉢底石を敷き詰め、鉢の約1/3まで土を入れましょう。このとき、石灰を混ぜたり土を入れ替えるなどして、弱アルカリ性に土壌を整えます。

古い鉢からオリーブを抜いたら、土を落とした根を間引きしましょう。新しい鉢の中心にオリーブを置き、鉢の縁から約3~4cm下まで土を入れます。必要に応じて支柱を立て、水をたっぷりあげれば植え替え完了です。

庭での地植えも基本の手順は一緒です。鉢の代わりに鉢の約2倍の大きさの穴を掘り、オリーブの周囲を土で盛って水がたまるようにします。地面に根づくまで約1カ月かかるため、その間は支柱を立てましょう。

もっと増やしたいなら挿し木がおすすめ

もっと増やしたいなら挿し木がおすすめ

オリーブの木を増やしたいなら、『挿し木(さしき)』がおすすめです。挿し木とは、切り落とした枝を土に植えて繁殖させる方法です。切り落とした枝が生えていた木を親として、クローンを増やせます。種から育てる場合に比べて約3倍の成長速度が挿し木のメリットです。

時期は初夏と冬の2回

挿し木するのに適した時期は、初夏と冬の年2回です。初夏の挿し木は『緑枝挿し(りょくしざし)』、冬の挿し木は『休眠枝挿し(きゅうみんしざし)』と呼ばれます。どちらの時期でも、挿し木のやり方は変わりません。

成長中のオリーブを切り落として使う緑枝挿しは、5~7月頃に行います。緑枝挿し用の枝は、新芽の出た若いものがよいでしょう。強剪定で切り落としたオリーブを使う休眠枝挿しは、2月頃に行います。休眠枝挿し用の枝は、しっかりしていて成熟したものがおすすめです。

挿し木のやり方

オリーブの枝は長さ約10~15cm、切り口が斜めになるように切ります。予備も含めて5本ほど枝を用意するとよいでしょう。枝に葉が付いている場合、2枚を残してほかは切り落とします。容器に入れた水に切った枝を数時間つけましょう。

水を含ませた挿し木に発根促進剤を塗ります。発根促進剤は、挿し木の成功率の向上が期待される薬品です。挿し木用の土を鉢に入れて湿らせたら、挿し木を土に挿します。挿し木用の土がなければ、弱アルカリ性の土壌を整えましょう。挿し木を挿しやすいよう、割り箸で穴をあけるのがおすすめです。直射日光の当たらない場所で育てましょう。

オリーブの木によくあるトラブルは?

オリーブの木によくあるトラブルは?

オリーブの木を育てる上で、よくあるトラブルがいくつかあります。オリーブを育てる前によくあるトラブルについて知り、万が一のときに冷静に対処しましょう。

実がならない

オリーブの実がならない原因で主に考えられるのは、剪定・品種・温度です。剪定が理由ならば、実のなる枝を切り落としてしまった場合が考えられます。軽剪定時に実のなる枝を切り落とさないよう気を付けましょう。

品種が理由ならば、栽培中の品種が、自身の花粉で受粉可能な『自家結実性』のない品種かもしれません。その場合、自家結実性のある品種か花粉量の多い品種を育てましょう。近距離で2種類を育てるのも有効です。

温度については、一定期間寒い環境に置かないと、オリーブは実を付けません。室内栽培の場合、原因として室温の高さが考えられます。その場合、数日間は寒い場所で育てましょう。ただし、オリーブは寒さに強くないため、温度管理に十分注意しましょう。

葉が枯れる、落ちる

オリーブの葉が枯れたり落ちたりする場合、水やりに原因があるかもしれません。オリーブは湿気を嫌うものの、水分を好みます。鉢植えで栽培している場合、水分の蒸発による水切れが原因で葉が枯れることも考えられるでしょう。

水切れが原因なら、たっぷり水を与えて風通しのよい場所で育てるのがおすすめです。しかし、水をあげすぎても根腐れを起こします。この場合はしばらく水を与えずに様子見しましょう。

改善されなければ、傷んだ根を間引く必要があります。水以外の原因として考えられるのは、根詰まりや土の質です。植え替え時の間引きや土の交換で改善を図りましょう。

害虫や病気による被害

オリーブには、特定の病害虫があります。枝や幹の内部を食害する『オリーブアナアキゾウムシ』や『カミキリムシ』が例です。専用殺虫剤での駆除がおすすめですが、実の収穫を予定している場合は殺虫剤の使用を控えましょう。害虫予防には、剪定で風通しや日当たりをよくするのがおすすめです。

オリーブに深刻な被害をもたらす病気として、『炭そ病』が知られています。果実に褐色の斑点をつくる病気です。放っておくと木全体に斑点が広がってしまうため、病気の果実を見つけたらすぐに除去しましょう。

まとめ

インテリアとして楽しんだりピクルスやオイルとして食べたり、オリーブの楽しみ方は人それぞれです。剪定や植え替えといったメンテナンスや挿し木、トラブルの対処法を知ることで、初めてでも安心してオリーブを育てられます。

オリーブの育て方やコツを踏まえ、さまざまな方法でオリーブの自宅栽培を長く楽しみましょう。

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