オダマキとは?花の特徴・花言葉・育て方・手入れ方法を紹介!
オダマキは、春~秋までの長期間花を咲かせる多年草です。盛んな品種改良の結果、独特な花姿にバリエーション豊富な花色を持ち、ガーデンの脇役はもちろん主役にもなります。この記事では、オダマキの花言葉や育て方、栽培における注意点などを紹介します。
オダマキとはどんな花?
皆さんは、オダマキと聞いて姿や花の形が思い浮かぶでしょうか?まずは学名や原産地などの基本的な情報や花の特徴、オダマキの持つ毒性について見ていきます。
オダマキの基本情報
科・属 | キンポウゲ科・オダマキ属 |
和名 | 苧環(オダマキ)、糸繰草(イトクリソウ) |
英名 | Columbine |
学名 | Aquilegia(ラテン語で鷲という意味) |
原産地 | 北半球温帯 |
開花時期 | 4∼7月 |
オダマキという和名は、つむいだ麻糸を巻いた苧環(オダマキ)に花の形が似ていることに由来します。糸繰草という別名も、同様に糸巻きに似ていることが理由です。また、英名のColumbine(コロンバイン)は鳩を意味し、蕾の形が鳩に似ていることからきています。
オダマキの特徴
日本およびヨーロッパなどが原産のオダマキは、古くから栽培されている馴染みの深い花です。草丈は20~70cmと種類により開きがあり、そのほとんどが直径4cmほどの花をつけます。4~7月頃に咲く花の形は、実にユニークです。花弁のように見えるものはガクにあたり、実際の花弁は花の中央にパイプ状に伸びている部分です。距(きょ)と呼ばれる花弁の内側には5本の雌しべと、雌しべを取り囲むようにたくさんの雄しべが配列されています。その愛らしい花と育てやすさから品種改良が重ねられ、現在では一重咲きのほかに八重咲きのものなど多くの園芸種が栽培されています。耐寒性が強く、初心者にも育てやすい花です。
オダマキの毒性
オダマキが属するキンポウゲ科の植物全般には毒性があります。その主な成分はプロトアネモニンと呼ばれるもので、オダマキも全草が有毒です。
プロトアネモニンは、肌に触れると強めの皮膚炎や水泡ができてしまいます。ひどい場合には化膿することもあるので、オダマキを扱う際には花の汁がつかないようにゴム手袋などを着用しましょう。小さな子供がいる場合には、特に注意が必要です。また、誤って口にしてしまうと胃腸炎や心停止を起こすこともあります。犬や猫などのペットがいる場合には、誤食させないようにしましょう。
オダマキの開花時期や見頃の季節
オダマキの開花時期は、4~7月頃です。株元から立ち上げた長い花茎の先に花を咲かせる姿は美しく、青みのある葉とのコントラストも見る者を楽しませてくれます。最近では切り花も流通していますが、水下がりしやすく繊細で花持ちは4~5日程度です。
オダマキの花言葉と由来
オダマキ全般には、「愚か」という花言葉がついています。このほかに花色別の花言葉があり、紫の花には「勝利への決意」、赤い花には「心配して震えている」、白い花には「あの方が気がかり」となっています。
オダマキの英名「columbine(コランバイン)」は、ヨーロッパに伝わる道化芝居に登場する娘の名前です。「愚か」の花言葉は、この芝居の道化(ピエロ)に由来しています。
またヨーロッパでは、かつてオダマキはライオンソウと呼ばれていました。ライオンがオダマキの葉を好んで食べていたことから、人がオダマキの葉を両手にこすりつけるだけでライオンのようなパワーが出ると信じられていました。「勝利への決意」の花言葉は、この言い伝えが由来です。
オダマキの種類・品種
オダマキは、日本原産種とヨーロッパ原産のセイヨウオダマキに大きく分けられます。ガーデニングによく用いられ、園芸店などで販売されているのはセイヨウオダマキに分類される種類です。ここでは、セイヨウオダマキと、日本原産のミヤマオダマキ、北アメリカ地域が原産のカナダオダマキを紹介します。
セイヨウオダマキ
ヨーロッパ~北アフリカに分布しているオダマキで、草丈30~70cmほどに成長し、青や紫の花を咲かせます。この種にほかのヨーロッパ原産種や大輪の北アメリカ原産種をかけ合わせて、数多くの園芸品種が誕生しています。一般的にセイヨウオダマキと呼ばれているのは、これらの品種群とその他の交配種です。花色が豊富なほか、八重咲き種も人気です。
ミヤマオダマキ
国内では中部地方以北、千島南部、サハリン、朝鮮半島北部に分布する高山植物です。ヤマオダマキと共に日本在来のオダマキですが、秋田県や宮城県などの5県で絶滅危惧種に指定されています。
草丈10~20cmほどと一般的なオダマキに比べて小さく、青紫~白い花をつけます。日本では山野草として古くから親しまれており、ほかの高山植物に比べ比較的育てやすい花です。
カナダオダマキ
カナダ南東部のノバスコシア半島からテキサス州にかけて自生しており、日本には明治末期に入って決ました。長く伸びる距が特徴的で、花全体が細身です。草丈は60~90cmほどに成長し、濃赤色から黄色味を帯びた花を下向きに咲かせます。花全体が黄色いコルベットや小型で愛らしいリトルランタン、園芸品種のナナなどがあります。
オダマキの育て方・栽培方法
オダマキは、基本的に日あたりのよい場所を好みます。ただし、夏の直射日光は葉焼けを起こすことがあるので注意しましょう。鉢植えは明るい日陰に移動させる、庭植えの場合はある程度影ができるところに植えるか遮光をするなどの対策が必要です。
それでは、栽培に必要な用土や植え付け方法などを確認していきましょう。
用土
オダマキを栽培する際には、市販の山野草用培養土を用いるのがよいでしょう。自作する場合には、小粒の赤玉土もしくは日向土と腐葉土を、7:3か6:4の割合で配合するのがおすすめです。そのほかには、硬質の鹿沼土4:桐生砂4:軽石2の配合でも十分に育てられます。
本来オダマキは岩場や砂の多い場所などに自生しています。庭植えにする場合には、その環境に合わせて軽石や腐葉土を多めにすき込んでおきましょう。
植え付け方法と時期
苗を植え付ける場合 適期は2月~3月もしくは9~10月頃です。直根性のオダマキは、太い根を下に向かって伸ばしていきます。鉢植えで育てる場合は、深めのものを用意しましょう。庭植えにする場合は、水はけがよく午後は明るい日陰になる場所が適しています。また、移植を嫌う性質なので、後々植え替えをしなくても済むところを選んでください。
植え付けの際は根を傷めないようにポットから優しく抜き、根はいじらずにそのまま植え付けます。庭植えの場合は、少し高植えにするとよいでしょう。植えつけ後はたっぷりと水を与えます。
種まきをする場合 オダマキは種からも育てられます。適期は4~6月と9~10月頃です。育苗箱などに小粒の赤玉土を入れ、種同士が重ならないように撒いたら覆土はしないでおきます。乾燥させないように水やりをし、発芽が確認できるのは2~4週間後です。苗が充実してきたら、好みの場所に植え付けましょう。オダマキの種は園芸店やネットショップなどで手に入ります。
肥料と水やり
肥料 オダマキは、植え付けの際に元肥として緩効性化成肥料を与えます。この時、リン酸とカリウムの含有量が多いものを選びましょうまた、開花期間中の5~9月の間に1週間~10日に1度を目安に液体肥料を与えてください。濃度や量は、一般的な草花に与える場合と同様にします。
水やり 鉢植えの場合は、表土が乾いていることを確認してから与えます。土の中の老廃物を洗い流し空気を新鮮なものに入れ替えるために、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりをしましょう。庭植えの場合は降雨に任せて問題ありませんが、夏の高温期に乾燥が目立つ場合は水やりを行ってください。
オダマキの手入れ方法や増やし方
元気なオダマキを育てて毎年花を楽しむためには、植え替えや剪定などの作業が欠かせませんまた、かかりやすい病気や付きやすい害虫もいます。それぞれどう対処していけばよいのか、詳細を見ていきましょう。
植え替えや鉢替え
鉢植えのオダマキは、毎年植え替えるのがベストです。少なくとも2~3年に1度は植え替えましょう。植え替えの適期は、3月もしくは9~10月で、用土は植え付け時と同じものを使います。ひと回り大きな鉢を用意し、根鉢は一切崩さずに植え替えてください。根を傷つけてしまうと、枯れる原因になります。庭植えの場合は、特に植え替える必要はありません。
剪定・切り戻し
オダマキは、種をつけないようにこまめに花がらを摘み取ることで、長く花が楽しめます。咲き終わった花はその都度切り取っていき、株全体が咲き終わったら、花茎を株元で切り戻しましょう。この時、根元の葉は切らずに残します。
注意したい病害虫
病気 オダマキがかかりやすい病気に、うどんこ病があります。うどん粉病は、若葉や茎の表面に白いカビが生えることが原因です。葉の表面が侵されると光合成が阻害され、ひどい場合には栄養が届かず枯れてしまうこともあります。薬剤で防除できますが、発生初期であれば薬に頼らず重曹や酢で対処する方法もあります。