観葉植物のコバエの予防と駆除。虫嫌いでも簡単にできる方法は?
観葉植物の周りを飛び回るコバエは主に2種類です。土の中に卵を産みつけている場合もあるので、薬を使って徹底的に駆除しましょう。虫嫌いでも直接手を汚さずに殺虫できる方法や、虫のつきにくい観葉植物を紹介します。
観葉植物に発生しやすいコバエとは
『コバエ』は、数ミリの小さなハエの総称で、実際はたくさんの種類があります。日本国内には約260種類のコバエがいるといわれており、発生場所や好物も違います。
観葉植物に発生するコバエは主に『キノコバエ』と『チョウバエ』の2種類です。
土の真菌を好むキノコバエ
キノコバエは1~2mmほどの黒っぽい体色を持ったハエで、鉢の周りで見かけるのは『クロバネキノコバエ』という種類がほとんどでしょう。
観葉植物に使用されている有機用土や有機肥料、キノコなどの真菌類、植物の養分などをエサにしています。
観葉植物の土の中に卵を産みつけるので、土の中から発生しますが、体が細く小さいので、網戸の隙間を通って外から侵入するケースもあるようです。
繁殖力が高く、1度に数百個の卵を産卵し、2~4週間後に成虫になります。羽化して数日後には、また大量の卵を産みつけるので、早めの駆除が必要です。
ヘドロを好むチョウバエ
『チョウバエ』は体長4~5mmほどで、黒っぽい体色をしています。羽が蛾や蝶のように丸みを帯び、体に毛が生えているのが特徴です。
日本には約60種類のチョウバエがいますが、家庭で見かけるのは『オオチョウバエ』と『ホシチョウバエ』がほとんどでしょう。
沼地や湿地などの湿り気のある場所を好み、通常は藻類をエサにしていますが、家の中に侵入すると、台所・お風呂・排水溝・下水管など、あらゆるところで大発生します。
チョウバエは、ヘドロや汚物のある場所はもちろん、石鹸のカスや皮脂などの油汚れも大好物です。観葉植物の場合、受け皿の溜まり水に集まる可能性があります。
ゴキブリでも寄り付かないような場所に生息するため、『最後の害虫』とよばれますが、伝染病を媒介する危険性はないようです。
コバエが発生してしまったときは?
観葉植物の周りにコバエを見つけたら、原因を突き止め、早めに除去しましょう。コバエは放っておくとどんどん繁殖し、数が増えていきます。
原因を知ろう
上記でも説明したように、観葉植物の周りにいるコバエは『キノコバエ』か『チョウバエ』です。どちらのコバエが発生しているかを確認し、発生源を突き留めなければなりません。
有機肥料を多めに与えていないかや、土がじめじめしていないか、受け皿にドロドロした溜まり水が入っていないかなどをチェックしてみてください。家の別のところから発生している可能性もあります。
キノコバエは、外からも進入してくるので、網戸に殺虫剤をスプレーしておくと安心でしょう。
飛んでいるコバエを掃除機で吸う
鉢の周りにたかっているコバエは、掃除機で一気に吸ってしまいましょう。吸い取った後は、掃除機のダッシュボックスを密封して捨てれば、手を汚さなくともコバエが退治できます。
くれぐれも、コバエを吸った掃除機を放置しないよう注意しましょう。掃除機のダッシュボックスの中に卵を産みつけ、羽化した途端に、掃除機の中から大量発生することがあります。
表面の土を替える
『キノコバエ』は、腐葉土や有機肥料に含まれる糞や菌をエサにして成長します。土の中から急にコバエが発生した場合は、もともと土の中に卵が産みつけられていた可能性を疑いましょう。
コバエは、表面から2~3cmの深さに卵を産みつけるので、この部分の土を全て取り除き、無機質の『赤玉土』を足します。
後ほど詳しく説明しますが、赤玉土には、チョウバエのエサとなる養分が含まれていないため、発生を食い止めることができるのです。
また、土が常にじめじめしている状態であれば、土全部を入れ替えることも考えましょう。
薬剤や駆除グッズを使う
表面上はコバエがいなくなったように見えても、土の深いところや鉢の底に卵や幼虫が残っているかもしれません。仕上げには、薬剤や駆除グッズを使って幼虫や卵を一掃しましょう。
ハエとり棒でコバエを捕獲
掃除機で吸い取り切れなかったコバエは『ハエとり棒』が役に立ちます。ハエとり棒には、ハエが好む色とにおいが付けられており、止まり木を探して飛んでいたハエは、引き寄せられるように集まります。
棒の表面には超強力粘着剤がついているので、止まったコバエは逃げられません。ハエとり棒の効果は約3カ月間持続するので、コストパフォーマンスも良好です。
なお、粘着剤の主成分はチューインガムと同じ基材の『ポリイソブチレン』が使用されています。ハエを捕獲する働きのみで、殺虫効果はありません。
卵や幼虫にはオルトラン粒剤
オルトラン粒剤は、土にばらまくだけで、さまざまな害虫を殺虫できる万能な殺虫剤です。
コバエだけでなく、アブラムシなどの吸汁性害虫やヨトウムシ、アオムシなどの食害性害虫にも効果があり、家庭用園芸の必需品ともいえるでしょう。
オルトラン粒剤は、高い浸透移行性により薬剤が広範囲に浸透するのが特徴です。土の中の卵や幼虫が死滅するのはもちろんですが、植物が薬剤を根から吸収するので、その葉を食した害虫も死滅します。
薬剤の中では、最も効果が見込める1本といえるでしょう。
幼虫に効く殺虫剤 業務用コバエジェット
コバエジェットは噴射式の殺虫剤で、成虫と幼虫の両方に効き目があります。使い方は、幼虫の発生場所に5~10秒スプレーするだけなので、手を汚すこともありません。
排水溝・配管・浄化槽など、チョウバエの幼虫が湧きやすい狭い場所には、付属のノズルを付けて集中噴射を行いましょう。
こうした殺虫剤は、成虫や幼虫に効き、卵には効き目がないことがほとんどなので、コバエに卵を産ませないための予防対策として使うとよいでしょう。
鉢を水没させる
観葉植物に着いたコバエを一気に死滅させる方法としては、殺虫剤を使用するほかに、鉢ごと水につけてコバエを窒息死させる方法があります。