オリーブの木の上手な育て方|剪定や植え替え、挿し木の方法など紹介
強剪定は『枝の数を減らす』、軽剪定は『枝の長さを調整する』イメージです。まずは完成形をイメージし、切り落とす枝を選びましょう。地面に向かって伸びている枝や、根本の細い枝などから切り落とします。
交差したり混み合ったりしている枝を付け根から切り落としましょう。日当たりや風通しを意識するのがポイントです。どの枝を切るかで迷ったら、上向きの枝を優先的に残しましょう。納得のいく形に仕上がったら、切り口に癒合剤を塗って完成です。
オリーブは定期的に植え替えよう
鉢植えでオリーブを育てる場合、定期的な植え替えも大事な作業の一つです。植え替えをすることで、理想的な大きさにオリーブを育てやすくなります。
時期とタイミング
オリーブには、植え替え時期を示すサインがいくつかあります。葉の色と根でサインを確認しましょう。
アルカリ性の土壌をオリーブが好むのは、土が酸性になると根の近くにある葉が黄色っぽくなったり枯れたりするためです。葉に異変を感じたら、植え替えと同時に土を弱アルカリ性に整えましょう。
オリーブは根の成長が早い植物です。鉢の容量に合わないほど根が成長すると、鉢に入りきらない根が表面に浮き出てしまいます。放置すると根詰まりの原因になるため、一回り大きい鉢に植え替えるか、伸びすぎた根を間引きしましょう。
植え替えのタイミングは1~2年に1回、4~6月頃に行うとよいでしょう。
植え替えのやり方
まず、新しい鉢の底に鉢底ネットをかぶせます。ネットの上から約3cm分の鉢底石を敷き詰め、鉢の約1/3まで土を入れましょう。このとき、石灰を混ぜたり土を入れ替えるなどして、弱アルカリ性に土壌を整えます。
古い鉢からオリーブを抜いたら、土を落とした根を間引きしましょう。新しい鉢の中心にオリーブを置き、鉢の縁から約3~4cm下まで土を入れます。必要に応じて支柱を立て、水をたっぷりあげれば植え替え完了です。
庭での地植えも基本の手順は一緒です。鉢の代わりに鉢の約2倍の大きさの穴を掘り、オリーブの周囲を土で盛って水がたまるようにします。地面に根づくまで約1カ月かかるため、その間は支柱を立てましょう。
オリーブをもっと増やしたいなら挿し木がおすすめ
オリーブの木を増やしたいなら、『挿し木(さしき)』がおすすめです。挿し木とは、切り落とした枝を土に植えて繁殖させる方法です。切り落とした枝が生えていた木を親として、クローンを増やせます。種から育てる場合に比べて約3倍の成長速度が挿し木のメリットです。
時期は初夏と冬の2回
挿し木するのに適した時期は、初夏と冬の年2回です。初夏の挿し木は『緑枝挿し(りょくしざし)』、冬の挿し木は『休眠枝挿し(きゅうみんしざし)』と呼ばれます。どちらの時期でも、挿し木のやり方は変わりません。
成長中のオリーブを切り落として使う緑枝挿しは、5~7月頃に行います。緑枝挿し用の枝は、新芽の出た若いものがよいでしょう。強剪定で切り落としたオリーブを使う休眠枝挿しは、2月頃に行います。休眠枝挿し用の枝は、しっかりしていて成熟したものがおすすめです。
挿し木のやり方
オリーブの枝は長さ約10~15cm、切り口が斜めになるように切ります。予備も含めて5本ほど枝を用意するとよいでしょう。枝に葉が付いている場合、2枚を残してほかは切り落とします。容器に入れた水に切った枝を数時間つけましょう。
水を含ませた挿し木に発根促進剤を塗ります。発根促進剤は、挿し木の成功率の向上が期待される薬品です。挿し木用の土を鉢に入れて湿らせたら、挿し木を土に挿します。挿し木用の土がなければ、弱アルカリ性の土壌を整えましょう。挿し木を挿しやすいよう、割り箸で穴をあけるのがおすすめです。直射日光の当たらない場所で育てましょう。
オリーブの木によくあるトラブルは?
オリーブの木を育てる上で、よくあるトラブルがいくつかあります。オリーブを育てる前によくあるトラブルについて知り、万が一のときに冷静に対処しましょう。
実がならない
オリーブの実がならない原因で主に考えられるのは、剪定・品種・温度です。剪定が理由ならば、実のなる枝を切り落としてしまった場合が考えられます。軽剪定時に実のなる枝を切り落とさないよう気を付けましょう。
品種が理由ならば、栽培中の品種が、自身の花粉で受粉可能な『自家結実性』のない品種かもしれません。その場合、自家結実性のある品種か花粉量の多い品種を育てましょう。近距離で2種類を育てるのも有効です。
温度については、一定期間寒い環境に置かないと、オリーブは実を付けません。室内栽培の場合、原因として室温の高さが考えられます。その場合、数日間は寒い場所で育てましょう。ただし、オリーブは寒さに強くないため、温度管理に十分注意しましょう。
葉が枯れる、落ちる
オリーブの葉が枯れたり落ちたりする場合、水やりに原因があるかもしれません。オリーブは湿気を嫌うものの、水分を好みます。鉢植えで栽培している場合、水分の蒸発による水切れが原因で葉が枯れることも考えられるでしょう。
水切れが原因なら、たっぷり水を与えて風通しのよい場所で育てるのがおすすめです。しかし、水をあげすぎても根腐れを起こします。この場合はしばらく水を与えずに様子見しましょう。
改善されなければ、傷んだ根を間引く必要があります。水以外の原因として考えられるのは、根詰まりや土の質です。植え替え時の間引きや土の交換で改善を図りましょう。
害虫や病気による被害
オリーブには、特定の病害虫があります。枝や幹の内部を食害する『オリーブアナアキゾウムシ』や『カミキリムシ』が例です。専用殺虫剤での駆除がおすすめですが、実の収穫を予定している場合は殺虫剤の使用を控えましょう。害虫予防には、剪定で風通しや日当たりをよくするのがおすすめです。
オリーブに深刻な被害をもたらす病気として、『炭そ病』が知られています。果実に褐色の斑点をつくる病気です。放っておくと木全体に斑点が広がってしまうため、病気の果実を見つけたらすぐに除去しましょう。
まとめ
インテリアとして楽しんだりピクルスやオイルとして食べたり、オリーブの楽しみ方は人それぞれです。剪定や植え替えといったメンテナンスや挿し木、トラブルの対処法を知ることで、初めてでも安心してオリーブを育てられます。
オリーブの育て方やコツを踏まえ、さまざまな方法でオリーブの自宅栽培を長く楽しみましょう。