ハイビスカスを挿し木で増やしてみよう。水挿しの方法やコツも紹介
南国生まれのハイビスカスは、優雅な花の形と鮮やかな色合いが魅力的です。好環境で育てれば、寒く暗い気持ちになりがちな真冬でも花を付けてくれます。ハイビスカスを増やしてより華やかな環境にするにはどのようにすればよいか、紹介します。
ハイビスカスを挿し木で増やそう
ハイビスカスの増やし方には二通りあり、『挿し木』と『接ぎ木』という方法があります。それぞれどのような違いがあり、手順はどのように進めるのか見てみましょう。
挿し木と接ぎ木の違い
挿し木とは、増やしたい株の枝や葉などを切り取って、土に挿す方法です。時間はかかりますが、元の株と同じ性質をそのまま受け継ぐ株を増やすことができます。育てやすく性質の強い株を増やすのに適しています。
一方接ぎ木は、増やしたい株の枝と、より丈夫な別の株の幹とを繋ぎ合わせて育てる方法です。性質の弱い株を増やすのに向いているやり方で、繋いだ性質の強い木の根元から栄養を吸い取ります。
ハイビスカスの場合、オールドタイプとコーラルタイプは挿し木で増やすのがおすすめです。ハワイアンタイプは他の二つと比べてデリケートな性質なので、挿し木で増やせるものもありますが、接ぎ木で増やすほうがよいでしょう。
適期はいつごろ?
株を増やしたい、と考えていても、株を購入したての時期に行うのはおすすめできません。育てやすく丈夫な品種であっても買いたてはまだ樹勢が弱いので、購入して1年経ってから挿し木や接ぎ木を行いましょう。
挿し木も接ぎ木も、ハイビスカスがめきめきと成長する時期に合わせて行います。そのため、オールドタイプとコーラルタイプの挿し木は5~9月の間に行うのがおすすめです。ハイビスカスは日本の夏特有の蒸し暑さを好まないので、真夏は避けたほうがよいでしょう。寒さに強いオールドタイプは涼しくなり始める9月、耐寒性が乏しいコーラルタイプは真夏を迎える前の6~7月に行うのがおすすめです。
他の2種と比べるとハワイアンタイプは暑いのも寒いのも苦手で、成長するのに時間がかかります。そこで性質が強いオールドタイプと繋ぐことで、元の株より丈夫になり育ちやすくなります。挿し木で増やすことも可能ですが、接ぎ木のほうが向いていて、5~9月のハイビスカスが成長する時期に行います。ただし、真夏は避けましょう。
基本の挿し木の仕方と手順
増やしたい株の一部を切り取り、土に挿して待つだけの『挿し木』は初心者でも挑戦しやすい方法です。新たな株を増やすにあたって必要なものは何か、手順はどのようにすればよいか紹介します。
挿し穂を準備しよう
挿し木を行うためにまず必要なのが『挿し穂』です。これは、増やしたい株から切り取る、枝などの一部のことです。元の株の中でも、若く元気な枝を挿し穂の候補として選ぶようにします。
候補の枝を見つけ切り落としたら、挿し穂にするために10cm程度にカットします。この時、葉の茎の部分と枝が接している部分は新芽が出る場所があるので、切らないように気をつけます。また、切り分ける枝は節の下でカットすることで発根しやすくなり、切り口を斜めにすることで水をよく吸うようになります。
挿し穂にする枝には上の方に1~2枚の葉だけ残し、とくに土や水に入れる部分には余分な葉が残らないよう取り除きます。付いている葉が大きいと、水分が蒸発しやすくなるため、葉の上半分は切っておきましょう。こうして挿し穂を用意していきます。
土に挿して半日陰で管理
用意した挿し穂は切り口をよく洗って、水が入ったコップや容器に1時間以上挿して水を吸わせてあげます。この時、水にはあらかじめ植物活性剤を入れておくとよいでしょう。挿し穂が吸水している間に、土の準備を行います。
ポットや鉢に清潔な土を入れておきましょう。使用する土は赤玉土や鹿沼土、挿し木用の土がおすすめです。しばらく肥料や腐葉土は土に混ぜ込まないようにします。土には底から汚水が流れ出てくるほどたっぷりの水分をかけておき、通気性のよい容器の隅に挿し穂を入れ込む穴を開けます。
挿す前には挿し穂の切り口部分に根の成長を促す薬剤を付け、穴に入れたら抜けないように手で土を押し固めましょう。この状態から1~2カ月ほどの時間をかけて、根を生やしていきます。
水挿しでもOK
土に挿し込む前の、水に入れた状態で発根させるやり方もあります。水と植物活性剤を入れたコップか容器に、挿し穂を入れ窓際などに置いておきます。そこから毎日水を入れ替えていくと、1~2カ月で長い根が伸びてきます。
水に挿したばかりの時は吸水する力は弱いので、暑さと乾燥にさらさないように注意しましょう。発根後は、まだ暖かい時期であれば土に挿し変え、寒い時期であれば水に挿した状態を保ち翌春に土に挿してあげます。
挿し木を成功させるコツ
挿し木をしても、必ず根を伸ばすわけではありません。発根する前に枯れてしまう場合も多くあります。お気に入りの株の一部から、上手く根を生やし伸ばすためのキーポイントを見てみましょう。
切り口は清潔に
失敗の元として考えられるのは、切り口から雑菌などが入り込んでしまうことです。株から挿し穂を用意する際に使うハサミやナイフは、必ず清潔で切れ味の鋭いものを選びましょう。
挿し穂となる枝などを切り取る前にはは、火で刃先をあぶったり、消毒液などに浸けたりして、殺菌作業をしておきます。切り口からは清潔な水や養分だけを入れてあげることが、成功への近道です。
清潔な用土と発根促進剤を使おう
発根させるためには、根が生えてくる部分に接する土も清潔でなければなりません。病原菌のいない新しい土というのはもちろんのことですが、養分が多すぎるとと根が生えにくく枯れてしまうこともあるので注意しましょう。
用度は、新鮮で土中の水分を保ちやすい粒が細かいものを準備しましょう。挿し木・種まき専用の土を購入したほうが扱いやすく、成功しやすいです。
また発根促進剤というアイテムを使うのも一つの手です。発根促進剤には、根を生やさせるための『植物ホルモン剤』か、根をより健康にさせる『活力剤』の二種類があります。植物ホルモン剤は発根を促す効果があり、活性剤は伸びた根の栄養吸収を助け植物全体を元気づけてくれます。
発根させることに力を入れたいのか、または生えてきた根をより丈夫にさせたいのか、それぞれの特徴を上手く使い分けることが、挿し穂の根の成長を左右します。
まとめ
正しい知識と手順、気をつけるべきポイントを抑えれば、誰でも挿し木で株を増やすことが可能です。
新しく苗を購入し増やすのもよいですが、せっかくならばお金はかけずに、お気に入りのハイビスカスを増やせたら園芸がより楽しくなることでしょう。