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ハイビスカスを育ててみよう。基本的な育て方やおすすめ品種も紹介

ハイビスカスという花の名は、花に詳しくなくても知っている人は多いのではないでしょうか。暑い時期によく見かけ、庭先で咲いていたり、ネイルアートとして描かれ指先を飾ったり、夏をより華やかにしてくれます。そんなハイビスカスの育て方について紹介します。

ハイビスカスとは

ハイビスカスとは

ハイビスカス、と聞くと南国を連想することが多いことでしょう。それもそのはず、ハイビスカスはハワイの州花に指定されており、主に温暖な地域で自生しています。まずはハイビスカスの特徴や開花時期について見てみましょう。

花や葉の特徴

花の特徴としては、花を支えるガクが五つに割けていて、花びらは5枚(2段咲きのものは除く)、花の中央から花柱が突き出るように伸びている点が挙げられます。一つの花に雄しべと雌しべの両方を持っている、両性花に分類されます。花の大きさは品種により異なり、可憐な小さいサイズから、豪快な大輪のものまで様々です。

葉は茎に一枚ずつ交互に付き、茎と葉をつなげる棒状の部分・托葉(たくよう)があります。形は品種によって様々で、丸みを帯びたものや、切れ込みが入って手の平のような形をしているものがあります。葉の縁にはギザギザがあるものとないものがあるなど、細かい部分にまで違いがあります。

花の時期はいつごろ?

ハイビスカスは5~10月に花を咲かせ、最盛期は9~10月です。真夏のイメージが強いですが、実は開花する適温は15~25℃とされ、30℃を越えることが多い日本の夏においては弱りやすく、花が咲かないこともあります。そのため、日本で育てる場合は春や秋ごろが開花しやすい時期といえます。

開花時期だけ見ると長く花を楽しめるイメージですが、一つの花の寿命は一日限りです。しかし、つぼみを多く付けてくれるため、ハイビスカス全体を観察していると常に花が咲いているように感じます。

主な4つの原種と特徴

主な4つの原種と特徴

花にはそれぞれ『原種』という、自生していて、鑑賞用などの園芸品種を生み出す素となる品種が存在します。ハイビスカスにはだいたい250以上の原種があるといわれていますが、中かでも代表的なものを4つ紹介します。

ヒビスクス コキオ

『コキオ』は、ハワイ語でハイビスカスの原種を意味します。ハワイの様々な島で自生していますが、今は見かける機会が少なくなり、絶滅の可能性がある希少な品種です。

花の色は赤やオレンジが多いですが、まれに黄色のものもあるようです。雄しべ先端の花粉が入った袋を支えている糸状の部分(花糸)が、反り返るように伸びているところがこの品種の最大の特徴です。花の大きさは小さめか中くらいで、7~10cmほどです。

ヒビスクス アーノッティアヌス

ヒビスクス・アーノッティアヌスはオアフ島に自生する野生種で、現存している多くのハイビスカスの交配親になっています。『アーノッティアヌス』は、スコットランドの植物学者の名前が由来となっており、この他にホワイト・ハイビスカスと呼ばれることもあります。

ホワイトと付いていることからわかるように、花の色は白く、脈のように薄いピンク色が花びらに入っています。細長い5枚の花びらに囲まれ突き出ている花柱は赤く、白い花とのコントラストがなんとも魅力的です。花の大きさは10cmと中くらいで、香りのないハイビスカスの中では珍しく淡い芳香を漂わせます。

ブッソウゲ

ブッソウゲは『扶桑花』と漢字で記され、中国の野生種と見られていましたが、実はどこで生まれたのかわからない原産地不明の原種です。日本においては沖縄でよく見かけることができ、風に強く高潮を防ぐのに役立ってくれるので、庭木や生垣として活躍しています。

ハイビスカス特有の花柱が突き出ているのは他の品種と同じですが、5枚の花びらがラッパの形のように開くのが特徴的です。大きさは個体よって異なり5~20cmと幅広く、色も白や淡いピンクがあったり、鮮やかな黄色や赤もあったりと様々です。

フウリンブッソウゲ

フウリンブッソウゲの生まれは、東アフリカ・サンジバル島といわれています。別名『コーラル・ハイビスカス』とも呼ばれ、珊瑚の形や色に似ている花を付ける原種です。このことから、色味は赤やオレンジが多く見られます。一日しか咲かないはずのハイビスカスの中では珍しく、数日間花を楽しむことができます。

他のハイビスカス同様、花柱は突き出ていて、切り込みが深く入った5枚の花びらは反り返るようにして開きます。地面に向かって下向きに咲くのが特徴的で、その姿が日本の夏の風物詩・風鈴に似て見えることから、漢字では『風鈴仏桑華』と書かれます。

園芸品種は大きく3タイプ

園芸品種は大きく3タイプ

親ともなる原種から改良品種が盛んに行われ、現在ハイビスカスの園芸用の品種には1万種ほどあるといわれています。大別すると三つの系統に分けられるので、それぞれの特徴を見てみましょう。

オールドタイプ

オールドタイプは、三つの中でも一番古くから交配に活用された品種です。暑さや寒さに強いためよく育ち、花の付きもよいことから、一般的な流通も多く初心者でも育てやすいようです。しかし、30℃を越えてしまうと開花する花は減ってしまいます。

花の大きさは小さいものから中くらいが多く、花の色は赤やピンク、黄色などの単色で、模様が入ったり色が混ざり合ったりすることはなくシンプルな印象です。

ハワイアンタイプ

ハワイアンタイプはその多くがハワイで交配が行われ生み出され、ハイビスカスの中で一番種類が多い品種になります。しかし、暑さと寒さへの抵抗力が弱く成長が遅いため、流通する量は少なく希少です。

大輪の花を付け、花びらの間にすき間が無いため丸に近い形で咲き、その姿はまるで風で広がるロングスカートのようにエレガントです。花の色味には赤や青、オレンジと紫などがあり多彩で、豪快かつ華やかな印象は鑑賞用にもってこいといえます。

コーラルタイプ

コーラルタイプは、その名の通り形や色が珊瑚に似ていて、フウリンブッソウゲを親として交配が行われ生まれた品種のことを指します。寒さへの抵抗力は弱いですが、暑さには強い(ただし30℃以上は花付きがよくなくなる)ため、明るく楽しい夏の雰囲気をさらに格上げしてくれます。

垂れ下がった枝の先に花が付き、深い切り込みが入った花びらはフリルのようにヒラヒラ咲きます。親元でもあるフウリンブッソウゲと同じく下に向かって花は開き、花柱も地面に向かって突き出ています。小さめの花は赤系統のものが多く見られます。

ハイビスカスの育て方

ハイビスカスの育て方

南国や夏に咲き誇るイメージが強いハイビスカスですが、特徴を見てわかるように中には暑さに弱いものもありました。美しい花を楽しむためにはどのようなことに気をつければよいか、育て方のポイントを紹介します。

好む環境とは?

ハイビスカスは日光が大好きなので、陽の当たる場所に置くのがおすすめです。しかし、高温多湿の環境は好まず、気温30℃を超えると花の付きが悪くなります。夏に咲く印象ですが、蒸し暑い日本の夏では風通しのよい日陰で育てます。とくにハワイアンタイプは暑さが苦手なので、育てる際は梅雨が明けたら午前中以外は日陰に置いてあげましょう。

秋に入り涼しい気候になったら、室内の日がよく当たる窓辺などに移動させてあげます。寒い時期でも、暖かい日差しが差し込む場所や、暖房がよく効いた部屋だと花を咲かせる場合もあるようです。しかし、エアコンの風によって乾燥してしまうので、当たらないように対策が必要です。

日光に加えて、ハイビスカスは水と肥料も好みます。成長が盛んな春から秋にかけては、水やりや施肥は絶やさず行うことで、美しい花を楽しむことができます。

肥料の施し方

ハイビスカスの生育期にあたる5~11月にかけては新芽がよく伸びるため、肥料は絶やさず与えます。効き目が緩やかで持続性のある置くタイプの肥料を、規定量よりもやや多めにあげるのがポイントです。

花をたくさん付けるようになった株には、最初に置いた肥料だけでは足りないため、花付きをよくさせる養分を多く含んだ液体肥料を、規定量よりも薄めて7~10日ごとに1回与えてあげましょう。生育期中でも猛暑の時期は株自体が弱っているため、様子を見て必要でなければ、肥料やけさせないためにも追加で与えないようにします。

休眠期でもある11~4月ごろは肥料をあげる必要はありません。しかし、冬でも暖かい環境にあることで開花する株や、春の訪れと共に気温上昇を感じたことで新芽を付け始めた株には、花付きをよくしてくれるリン酸の配合が多い液体肥料を7~10日に1回の目安で与えてあげます。このときの液体肥料は、パッケージに記されている通りに希釈しましょう。

剪定のやり方

剪定=切る作業なので、育てている株を傷つけるような気がして抵抗があるという人もいるのではないでしょうか。しかし、不要な枝や咲き終えた花をそのままにしていると栄養が行き渡りにくくなり、株の成長や花付きに影響します。そのため園芸では必要な作業です。剪定の方法にはいくつかありますが、ハイビスカスにおいては『間引き剪定』と『強剪定(切り戻し)』という二通りの方法を行います。

5~11月の生育期は、成長が活発で枝がたくさん伸び葉も増えるため、株の中側に日が当たらなかったり、増えすぎたりした葉や枝同士で蒸れて害虫や病気が発生しやすくなります。この時に行うのが『間引き剪定』です。伸びすぎた枝や成育の悪い枝を付け根からハサミでカットします。こうすることで株の風通しがよくなり、栄養も行き渡りやすくなります。

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