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アジサイ(紫陽花)の種類と育て方|剪定方法や時期、増やし方も紹介

梅雨の日本の風物詩として、アジサイ(紫陽花)は老若男女に親しまれています。種類ごとに育て方のコツがあり、自宅で栽培するなら正しい知識を身に付けるのがおすすめです。剪定(せんてい)方法や増やし方を押さえ、自宅でアジサイ観賞を楽しみましょう。

アジサイ(紫陽花)の基礎知識

アジサイ(紫陽花)の基礎知識

アジサイは古くから日本人に親しまれている花の一つです。しかし、アジサイについて詳しくは知らない人も多いのではないでしょうか。自宅で育てる前に、アジサイの基礎知識を身に付けましょう。

花に見えるのはガク

アジサイと聞いて、ピンク色や青色の花が集まった姿をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、花びらに見えるあれは花びらではありません。

花びらに見える部分は『装飾花(不完全花)』といい、チョウやハチなどの花粉を運ぶ生物を誘う効果があります。アジサイの装飾花の正体は、植物用語でいう『ガク』です。ガクは花を支える部位で、果物のヘタに相当します。

花粉を運ぶ生物を誘うものの、装飾花は実を付けません。装飾花は雄しべも雌しべも退化しているからです。自宅でアジサイを増やすには、挿し木や種を使った方法があります。挿し木を使った方法は記事の後半で紹介します。

花色が変わる仕組み

花の色が変わることでアジサイは知られています。アジサイの花の色が変わるのは、根から吸収される養分が原因です。酸性の土なら青色、中性~弱アルカリ性の土ならピンク色の花が咲きます。

また、元々の花の色と土のpHの組み合わせによって、紫色になるアジサイもあります。中性~弱アルカリ性の土に青色のアジサイを植えれば、赤みを帯びた紫色になるでしょう。反対に、酸性の土にピンク色のアジサイを植えると、花びらは青みを帯びた紫色に変わります。ちなみに、白色のアジサイは土のpHに関係なく変色しません。

アジサイ(紫陽花)の花言葉

アジサイ(紫陽花)の花言葉は「移り気」、「家族団らん」、「浮気」、「独占欲」、「高嶺の花」です。 詳しくはアジサイ(紫陽花)の花言葉について書かれたこちらの記事を見てみてください。

アジサイ(紫陽花)の主な種類・品種

主な四つの種類

アジサイには、さまざまな種類があります。数あるアジサイのうち、主な四つの種類を紹介しましょう。それぞれに特徴があるため、ぜひアジサイ選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

日本原種のガクアジサイ

『ガクアジサイ』は日本原種のアジサイです。たくさんの小花が枝先に丸く集まり、その周りを囲むように装飾花が咲いています。小花を囲む装飾花を額縁に見立て、ガクアジサイと名づけられました。

ガクアジサイには70品種以上があるといわれています。江戸時代からある『ベニガクアジサイ』や比較的新しい『ダンスパーティー』、東京都・八丈島原産の『八丈千鳥』などが例です。同じガクアジサイでも、形や色は多岐にわたります。

手まり咲きのアジサイ

『アジサイ』は、ガクアジサイを品種改良して作られました。ほかの品種のアジサイと区別するために『ホンアジサイ』と呼ばれることもありますが、一般的にアジサイといえばホンアジサイを指します。手まりのような丸い形に咲く装飾花が特徴です。

ホンアジサイは江戸時代からあった品種です。鎖国下の日本にオランダ軍医としてやって来たシーボルトが、日本人妻のお瀧さんにちなんで『オタクサ』と呼んだことでもホンアジサイは知られています。シーボルトが発行した日本の植物を紹介する書物にも、オタクサとしてアジサイが掲載されました。

欧米で品種改良された西洋アジサイ

西洋アジサイは、欧米に持ち込まれた日本のアジサイを品種改良したものです。西洋アジサイは『ハイドランジア』と呼ばれることもあります。品種改良によって毎年のように新しい品種が誕生しているのも、西洋アジサイの特徴です。

西洋アジサイには200種類以上があります。ドイツで品種改良された『グリューンヘルツ』や白い花を付ける『インマクラータ』、紫色の『ナハティガール』などが代表例です。贈答用で販売されるアジサイの鉢植えは、多くがハイドランジアの一種といえるでしょう。

アナベルなど外国種のアジサイ

海外原種の品種もアジサイには多くあります。北アメリカにルーツを持つ『アナベル』やカシワに似た葉の『カシワバアジサイ』が代表例といえるでしょう。育てやすいアナベルは、アジサイ栽培の初心者にも人気の品種です。

西洋アジサイと外国種のアジサイの違いは、品種改良によって誕生したかどうかです。外国種は品種改良されたアジサイではありません。元々北アメリカなどの海外で自生していて、広く栽培が進められていた品種を指します。

アジサイ(紫陽花)の栽培方法と栽培に適した環境

栽培に適した環境は?

梅雨の時期に咲く印象の強いアジサイですが、実際にはどんな環境が栽培に適しているのでしょうか。イメージ先行でアジサイを育てて失敗しないためにも、正しい栽培環境を把握しましょう。

日当たりや植える場所

アジサイは一般的なイメージとは異なり、日当たりのよい場所を好みます。日の当たらない場所に植えてしまうと、花付きが悪くなる可能性があるため注意しましょう。

また、赤い花に色が付かず白くなってしまう原因として、日照不足が考えられます。地面に直接植える『地植え』の場合、明るい日なたや半日陰がよいでしょう。少なくとも、半日以上は日光の当たる場所にアジサイを植えるのがおすすめです。

アジサイは乾燥に弱く、水分が不足すると枝や葉、芽が傷んでしまう可能性があります。夏場の直射日光や西日、冬場の吹きさらしを避けられる場所にアジサイを植えるとよいでしょう。

紫陽花の好む土を用意

比較的土を選ばないアジサイですが、水はけがよく保水性の高い土を好みます。『鉢植え』で育てる場合、赤玉土の小粒と腐葉土の配合比は6対4または7対3がおすすめです。地植えの場合、腐葉土や堆肥を混ぜてふかふかの土を作りましょう。

咲かせたいアジサイの色に合わせて、土の養分をコントロールしてもよいでしょう。ピンク色のアジサイを咲かせたければ石灰を、青色のアジサイなら鹿沼土を混ぜるといった具合です。また、花の色ごとに配合されたアジサイ専用の土も市販されています。花の色に合わせた土を購入すれば、土をブレンドする手間がかかりません。

アジサイ(紫陽花)の育て方

アジサイ(紫陽花)の育て方

アジサイ(紫陽花)を育てるには、具体的にどんなところに注意すればよいのでしょうか。苗選びのポイントや植え付け・植え替えの時期を知れば、初心者でもアジサイを育てやすくなります。

苗選びのポイント

アジサイ栽培の始め方としては、購入した苗を育てるのが一般的です。4月頃から鉢植えされたアジサイが花屋やホームセンターなどの店頭に並ぶため、好きなものを選びましょう。購入時に品種を確認しておくと、お手入れやトラブル時の調べものがしやすくなります。

店頭でアジサイを選ぶときは、葉に注目しましょう。おすすめなのは、ツヤがあってきれいな緑色の葉を持つアジサイです。葉以外にも、株元や枝の太さなど、花の周辺に着目してアジサイを選ぶと失敗しにくくなります。また、アジサイは時期によって花の色が変化します。購入前に開花時の色を確認すると、イメージ通りの花を咲かせやすくなるでしょう。

アジサイの種類と育て方については以下の記事もおすすめです。

植え付けや植え替えの時期

アジサイの植え付けや植え替えにおすすめの時期は、冬場の落葉期です。具体的には、寒くなる11~3月頃を指します。ただし、あまりに寒いと株が傷んでしまうため、北海道や東北地方といった寒冷地に住んでいる場合は3月まで待ちましょう。

アジサイを植え替える頻度は、2~3年に1回です。ただし、アジサイは根詰まりを起こしやすいため、鉢植えで栽培する場合は根詰まりの兆候が見えたら植え替えましょう。アジサイは大きく成長しやすい植物です。特に地植えの場合、成長後を見据えて広めのスペースを確保する必要があります。狭いと十分な養分を吸収できず、花が咲かなくなる可能性もあります。

地植えする手順

地植えにする場合、まずはアジサイが入っている鉢より1回り大きな穴を庭に掘ります。穴の約3割を基準に腐葉土を入れて穴底の土と混ぜ、土をふかふかにしましょう。剪定した苗を鉢から取り出し、根と土が一体になった根鉢を1回り小さく切ります。

根本と地表の高さが同じになるよう調整し、最初に掘り起こした土を埋めましょう。根と根の間にも隙間なく土を入れるのがコツです。土手のように苗の周りを土で囲い、水のたまる場所を作ります。たっぷり水をあげ、土に水が吸収されたのを確認したら、作った土手を崩すように踏みます。苗が安定するように、やわらかくなった土を踏み固めましょう。

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