アジサイ(紫陽花)の種類と育て方を知ろう。剪定や増やし方も紹介

2020 10/08
アジサイ(紫陽花)の種類と育て方を知ろう。剪定や増やし方も紹介

梅雨の日本の風物詩として、アジサイ(紫陽花)は老若男女に親しまれています。種類ごとに育て方のコツがあり、自宅で栽培するなら正しい知識を身に付けるのがおすすめです。剪定(せんてい)方法や増やし方を押さえ、自宅でアジサイ観賞を楽しみましょう。

目次

アジサイ(紫陽花)の基礎知識

アジサイ(紫陽花)の基礎知識

アジサイは古くから日本人に親しまれている花の一つです。しかし、アジサイについて詳しくは知らない人も多いのではないでしょうか。自宅で育てる前に、アジサイの基礎知識を身に付けましょう。

花に見えるのはガク

アジサイと聞いて、ピンク色や青色の花が集まった姿をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、花びらに見えるあれは花びらではありません。

花びらに見える部分は『装飾花(不完全花)』といい、チョウやハチなどの花粉を運ぶ生物を誘う効果があります。アジサイの装飾花の正体は、植物用語でいう『ガク』です。ガクは花を支える部位で、果物のヘタに相当します。

花粉を運ぶ生物を誘うものの、装飾花は実を付けません。装飾花は雄しべも雌しべも退化しているからです。自宅でアジサイを増やすには、挿し木や種を使った方法があります。挿し木を使った方法は記事の後半で紹介します。

花色が変わる仕組み

花の色が変わることでアジサイは知られています。アジサイの花の色が変わるのは、根から吸収される養分が原因です。酸性の土なら青色、中性~弱アルカリ性の土ならピンク色の花が咲きます。

また、元々の花の色と土のpHの組み合わせによって、紫色になるアジサイもあります。中性~弱アルカリ性の土に青色のアジサイを植えれば、赤みを帯びた紫色になるでしょう。反対に、酸性の土にピンク色のアジサイを植えると、花びらは青みを帯びた紫色に変わります。ちなみに、白色のアジサイは土のpHに関係なく変色しません。

主な四つの種類

主な四つの種類

アジサイには、さまざまな種類があります。数あるアジサイのうち、主な四つの種類を紹介しましょう。それぞれに特徴があるため、ぜひアジサイ選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

日本原種のガクアジサイ

『ガクアジサイ』は日本原種のアジサイです。たくさんの小花が枝先に丸く集まり、その周りを囲むように装飾花が咲いています。小花を囲む装飾花を額縁に見立て、ガクアジサイと名づけられました。

ガクアジサイには70品種以上があるといわれています。江戸時代からある『ベニガクアジサイ』や比較的新しい『ダンスパーティー』、東京都・八丈島原産の『八丈千鳥』などが例です。同じガクアジサイでも、形や色は多岐にわたります。

手まり咲きのアジサイ

『アジサイ』は、ガクアジサイを品種改良して作られました。ほかの品種のアジサイと区別するために『ホンアジサイ』と呼ばれることもありますが、一般的にアジサイといえばホンアジサイを指します。手まりのような丸い形に咲く装飾花が特徴です。

ホンアジサイは江戸時代からあった品種です。鎖国下の日本にオランダ軍医としてやって来たシーボルトが、日本人妻のお瀧さんにちなんで『オタクサ』と呼んだことでもホンアジサイは知られています。シーボルトが発行した日本の植物を紹介する書物にも、オタクサとしてアジサイが掲載されました。

欧米で品種改良された西洋アジサイ

西洋アジサイは、欧米に持ち込まれた日本のアジサイを品種改良したものです。西洋アジサイは『ハイドランジア』と呼ばれることもあります。品種改良によって毎年のように新しい品種が誕生しているのも、西洋アジサイの特徴です。

西洋アジサイには200種類以上があります。ドイツで品種改良された『グリューンヘルツ』や白い花を付ける『インマクラータ』、紫色の『ナハティガール』などが代表例です。贈答用で販売されるアジサイの鉢植えは、多くがハイドランジアの一種といえるでしょう。

アナベルなど外国種のアジサイ

海外原種の品種もアジサイには多くあります。北アメリカにルーツを持つ『アナベル』やカシワに似た葉の『カシワバアジサイ』が代表例といえるでしょう。育てやすいアナベルは、アジサイ栽培の初心者にも人気の品種です。

西洋アジサイと外国種のアジサイの違いは、品種改良によって誕生したかどうかです。外国種は品種改良されたアジサイではありません。元々北アメリカなどの海外で自生していて、広く栽培が進められていた品種を指します。

栽培に適した環境は?

栽培に適した環境は?

梅雨の時期に咲く印象の強いアジサイですが、実際にはどんな環境が栽培に適しているのでしょうか。イメージ先行でアジサイを育てて失敗しないためにも、正しい栽培環境を把握しましょう。

日当たりや植える場所

一般的なイメージとは異なり、日当たりのよい場所をアジサイは好みます。日の当たらない場所に植えてしまうと、花付きが悪くなる可能性があるため注意しましょう。

また、赤い花に色が付かず白くなってしまう原因として、日照不足が考えられます。地面に直接植える『地植え』の場合、明るい日なたや半日陰がよいでしょう。少なくとも、半日以上は日光の当たる場所にアジサイを植えるのがおすすめです。

アジサイは乾燥に弱く、水分が不足すると枝や葉、芽が傷んでしまう可能性があります。夏場の直射日光や西日、冬場の吹きさらしを避けられる場所にアジサイを植えるとよいでしょう。

紫陽花の好む土を用意

比較的土を選ばないアジサイですが、水はけがよく保水性の高い土を好みます。『鉢植え』で育てる場合、赤玉土の小粒と腐葉土の配合比は6対4または7対3がおすすめです。地植えの場合、腐葉土や堆肥を混ぜてふかふかの土を作りましょう。

咲かせたいアジサイの色に合わせて、土の養分をコントロールしてもよいでしょう。ピンク色のアジサイを咲かせたければ石灰を、青色のアジサイなら鹿沼土を混ぜるといった具合です。また、花の色ごとに配合されたアジサイ専用の土も市販されています。花の色に合わせた土を購入すれば、土をブレンドする手間がかかりません。

アジサイ(紫陽花)の育て方

アジサイ(紫陽花)の育て方

アジサイ(紫陽花)を育てるには、具体的にどんなところに注意すればよいのでしょうか。苗選びのポイントや植え付け・植え替えの時期を知れば、初心者でもアジサイを育てやすくなります。

苗選びのポイント

アジサイ栽培の始め方としては、購入した苗を育てるのが一般的です。4月頃から鉢植えされたアジサイが花屋やホームセンターなどの店頭に並ぶため、好きなものを選びましょう。購入時に品種を確認しておくと、お手入れやトラブル時の調べものがしやすくなります。

店頭でアジサイを選ぶときは、葉に注目しましょう。おすすめなのは、ツヤがあってきれいな緑色の葉を持つアジサイです。葉以外にも、株元や枝の太さなど、花の周辺に着目してアジサイを選ぶと失敗しにくくなります。また、アジサイは時期によって花の色が変化します。購入前に開花時の色を確認すると、イメージ通りの花を咲かせやすくなるでしょう。

植え付けや植え替えの時期

アジサイの植え付けや植え替えにおすすめの時期は、冬場の落葉期です。具体的には、寒くなる11~3月頃を指します。ただし、あまりに寒いと株が傷んでしまうため、北海道や東北地方といった寒冷地に住んでいる場合は3月まで待ちましょう。

アジサイを植え替える頻度は、2~3年に1回です。ただし、アジサイは根詰まりを起こしやすいため、鉢植えで栽培する場合は根詰まりの兆候が見えたら植え替えましょう。アジサイは大きく成長しやすい植物です。特に地植えの場合、成長後を見据えて広めのスペースを確保する必要があります。狭いと十分な養分を吸収できず、花が咲かなくなる可能性もあります。

地植えする手順

地植えにする場合、まずはアジサイが入っている鉢より1回り大きな穴を庭に掘ります。穴の約3割を基準に腐葉土を入れて穴底の土と混ぜ、土をふかふかにしましょう。剪定した苗を鉢から取り出し、根と土が一体になった根鉢を1回り小さく切ります。

根本と地表の高さが同じになるよう調整し、最初に掘り起こした土を埋めましょう。根と根の間にも隙間なく土を入れるのがコツです。土手のように苗の周りを土で囲い、水のたまる場所を作ります。たっぷり水をあげ、土に水が吸収されたのを確認したら、作った土手を崩すように踏みます。苗が安定するように、やわらかくなった土を踏み固めましょう。

鉢植えする手順

鉢植えにする場合、まずはアジサイが入っている鉢より1回り大きな鉢が必要です。鉢に鉢底ネットを敷き、その上から鉢底石を入れて均しましょう。鉢の約半分を目安に土を入れます。剪定した苗を鉢から取り出し、根鉢を1回り小さくカットしましょう。

鉢の縁から約2~3cm低いところに根本がくるように調整し、鉢の縁から約2~3cmを残して土を入れます。地植えと違って土を踏み固められない分、この時点でしっかり苗を安定させるのがコツです。鉢の底から水が流れるくらいたっぷり水やりをすれば、鉢植え終了です。

日々のお手入れ方法

日々のお手入れ方法

丈夫できれいな花を咲かせるには、日々のお手入れが欠かせません。正しいお手入れの方法を押さえ、開花時期にたくさんのアジサイを咲かせましょう。

水やり

乾燥を嫌うアジサイは、水分を含んだ土を好みます。鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えましょう。鉢底から溢れるくらいの量が目安です。夏場や乾燥が続く日は、朝晩2回の水やりを必要とする場合もあります。

地植えの場合、鉢植えほど頻繁に水やりをする必要はありません。猛暑や乾燥が続いて土が乾くようであれば、その都度水を与えます。ただし、水のやり過ぎは根腐れの原因になるため、土の状態を確認しながら量を調整しましょう。

肥料を与えるタイミング

『寒肥(かんごえ)』と『花後(はなご)』の年2回、アジサイに肥料を与えます。寒肥は1~2月頃、花後は8~9月頃です。

寒肥では、春先に向けてアジサイを成長させる養分として肥料を与えます。寒肥の頃はアジサイの休眠期に当たるため、効果に持続性のある肥料がおすすめです。咲かせたい花の色に応じて専用の肥料が市販されているため、それを活用してもよいでしょう。

花後では、翌年に咲く花芽を大きく育てるために肥料を与えます。8~9月頃はあくまで目安で、花が終わって1月以内に肥料を与えましょう。株の回復や根を太らせるのが目的のため、即効性に長けた化学肥料か液体肥料がおすすめです。

花終わりの見極め方は?

花びらが散らないアジサイは、花終わりの時期を見極めにくい植物です。翌年以降もきれいなアジサイを咲かせるためには、花終わりを見極めてすぐにお手入れする必要があります。アジサイの種類によって花終わりのサインが異なるため、栽培するアジサイの目安を把握しましょう。

ガクアジサイの場合、ガクが裏返って地面を向くと花終わりのサインです。西洋アジサイの場合は、ガクの中心にある小さな花が開きます。どの種類のアジサイでも共通しているのは、アジサイの色です。全体的に色褪せてアンティークカラーになると、花の終わりといえるでしょう。

注意したい病害虫

アジサイは比較的病気に強い植物です。しかし、かかりやすい病気や寄生しやすい害虫があります。できる対策をしっかりして、病害虫を予防しましょう。被害に遭った枝葉は捨て、殺菌剤を撒いたり害虫を駆除したりしましょう。

アジサイがかかりやすい病気は『うどんこ病』『黒点病(黒星病)』『炭そ病』です。高温多湿を好む病原菌が多いため、枝葉の剪定で風通しをよくすると予防につながります。

アジサイに寄生しやすい害虫は『カミキリムシ』『アブラムシ』『ハダニ』です。幹を食い荒らしたり葉裏の汁を吸って弱らせたり、葉を黒く汚したりします。ハダニは水に弱く、葉裏にも水がかかるように水やりすると予防になるでしょう。

剪定はいつするの?なぜ必要?

剪定はいつするの?なぜ必要?

アジサイの剪定は、『花後の剪定』『冬の剪定』『強剪定』の3種類です。それぞれ剪定の目的や方法が異なります。きれいなアジサイの花を咲かせるためにも、時期や目的に合わせて正しい方法で剪定しましょう。

花後の剪定の目的とやり方

アジサイの花後の剪定は、7月頃に行います。花後の剪定の目的は、翌年のアジサイの花付きをよくすることです。アジサイは秋頃に新しく伸びた枝に花芽を付けます。

新しく伸びた枝に付いた花芽は翌年に開花するため、花後の剪定で古い枝を切り落とす必要があります。3種類の剪定では、重要度の高い剪定といえるでしょう。

花後の剪定で切り落とす対象は、開花時期に花を付けた枝です。花から2~3節下で枝を切り落としましょう。花芽の約2cm上で切り落とすのがコツです。

冬の剪定の目的とやり方

アジサイの冬の剪定は、11~3月頃に行います。冬の剪定の目的は、風通しや日当たりをよくすることです。剪定量は枝の整理程度にとどめ、花後の剪定以降に成長した枝を切り落とさないように注意しましょう。また、必ずしも冬の剪定を行う必要はありません。

冬の剪定で切り落とす対象は、花芽の付いていない細い枝や混み合った枝、枯れた枝などです。これらは根元から切り落としましょう。風通しや日当たりが悪いと、病害虫の原因になります。地面の方に伸びている枝も剪定しましょう。

強剪定の目的とやり方

アジサイの強剪定も、花後の7月頃に行います。花後の剪定と一緒に行ってもよいでしょう。強剪定の目的は、アジサイの株の姿を整えることです。

特に地植えにおいて、アジサイが大きくなり過ぎたときに強剪定を行います。他の剪定に比べて、大胆に枝を切り落とすのが強剪定の特徴です。

強剪定では、株元の近くから枝を切り落としましょう。剪定した部分から伸びる枝にアジサイの花が咲くのは数年後です。翌年は花が咲かない可能性が高いため、数年後の開花をイメージしながら剪定する枝を選びましょう。

挿し木で増やす方法

挿し木で増やす方法

自宅で栽培したアジサイを増やすには、『挿し木』という方法があります。切り落とした枝を土に植えて苗を増やす方法で、アジサイ以外の植物でも用いられる増やし方です。

アジサイの挿し木には、2~3月頃の『春挿し』と6~7月頃の『夏挿し』の2種類があります。双方の違いを把握し、適切な方法で挿し木をしましょう。

春挿しのやり方

2~3月頃の春挿しで使うのは、前年に切り落とした枝です。休眠期に行うことから、春挿しは『休眠枝挿し(きゅうみんしざし)』とも呼ばれます。

まずは、前年のうちに切り落とした枝を約15~20cmの長さに切りましょう。花芽は約2~3個残し、30分から1時間切り口を水につけます。その間に、鉢底ネットを鉢に敷いたところに土を入れ、水をかけて湿らせましょう。

水を十分に吸わせたら、アジサイの挿し木を土に挿します。このとき、土に挿すのは約2cmです。たっぷり水を与え、日当たりのよい場所で管理しましょう。乾燥させないように育て、発根したら大きめの鉢に植え替えます。

夏挿しのやり方

6~7月頃の夏挿しで使うのは、花後の剪定や強剪定で切り落としたばかりの枝です。葉の生い茂る時期に行うことから、夏挿しは『緑枝挿し(りょくしざし)』とも呼ばれます。

まずは、花後の剪定や強剪定で切り落とした枝を約15~20cmの長さに切りましょう。花芽の付いていない枝を選ぶのが、夏挿しのポイントです。葉を4枚残して切り落とし、水分の蒸発を防ぐために葉の上半分も切り落としましょう。挿し木を水につける以降のやり方は、春挿しと同じです。

まとめ

アジサイ(紫陽花)は梅雨のイメージが強いものの、育て方は他の花と大きく変わりません。特徴や育て方のコツを押さえれば、ガーデニング初心者でもきれいな花を咲かせられるでしょう。アジサイは花を咲かせるまでに数年かかるため、根気強く育て続けることが大事です。

アジサイの基礎知識や育て方のコツを踏まえ、自宅でアジサイの栽培を始めましょう。

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