アジサイ(紫陽花)の種類と育て方|剪定方法や時期、増やし方も紹介
鉢植えする手順
鉢植えにする場合、まずはアジサイが入っている鉢より1回り大きな鉢が必要です。鉢に鉢底ネットを敷き、その上から鉢底石を入れて均しましょう。鉢の約半分を目安に土を入れます。剪定した苗を鉢から取り出し、根鉢を1回り小さくカットしましょう。
鉢の縁から約2~3cm低いところに根本がくるように調整し、鉢の縁から約2~3cmを残して土を入れます。地植えと違って土を踏み固められない分、この時点でしっかり苗を安定させるのがコツです。鉢の底から水が流れるくらいたっぷり水やりをすれば、鉢植え終了です。
アジサイ(紫陽花)の日々のお手入れ方法とコツ
丈夫できれいな花を咲かせるには、日々のお手入れが欠かせません。正しいお手入れの方法を押さえ、開花時期にたくさんのアジサイを咲かせましょう。
水やり
乾燥を嫌うアジサイは、水分を含んだ土を好みます。鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えましょう。鉢底から溢れるくらいの量が目安です。夏場や乾燥が続く日は、朝晩2回の水やりを必要とする場合もあります。
地植えの場合、鉢植えほど頻繁に水やりをする必要はありません。猛暑や乾燥が続いて土が乾くようであれば、その都度水を与えます。ただし、水のやり過ぎは根腐れの原因になるため、土の状態を確認しながら量を調整しましょう。
肥料を与えるタイミング
『寒肥(かんごえ)』と『花後(はなご)』の年2回、アジサイに肥料を与えます。寒肥は1~2月頃、花後は8~9月頃です。
寒肥では、春先に向けてアジサイを成長させる養分として肥料を与えます。寒肥の頃はアジサイの休眠期に当たるため、効果に持続性のある肥料がおすすめです。咲かせたい花の色に応じて専用の肥料が市販されているため、それを活用してもよいでしょう。
花後では、翌年に咲く花芽を大きく育てるために肥料を与えます。8~9月頃はあくまで目安で、花が終わって1月以内に肥料を与えましょう。株の回復や根を太らせるのが目的のため、即効性に長けた化学肥料か液体肥料がおすすめです。
花終わりの見極め方は?
花びらが散らないアジサイは、花終わりの時期を見極めにくい植物です。翌年以降もきれいなアジサイを咲かせるためには、花終わりを見極めてすぐにお手入れする必要があります。アジサイの種類によって花終わりのサインが異なるため、栽培するアジサイの目安を把握しましょう。
ガクアジサイの場合、ガクが裏返って地面を向くと花終わりのサインです。西洋アジサイの場合は、ガクの中心にある小さな花が開きます。どの種類のアジサイでも共通しているのは、アジサイの色です。全体的に色褪せてアンティークカラーになると、花の終わりといえるでしょう。
アジサイの剪定時期と方法についてはこちらの記事がおすすめです。
注意したい病害虫
アジサイは比較的病気に強い植物です。しかし、かかりやすい病気や寄生しやすい害虫があります。できる対策をしっかりして、病害虫を予防しましょう。被害に遭った枝葉は捨て、殺菌剤を撒いたり害虫を駆除したりしましょう。
アジサイがかかりやすい病気は『うどんこ病』『黒点病(黒星病)』『炭そ病』です。高温多湿を好む病原菌が多いため、枝葉の剪定で風通しをよくすると予防につながります。
アジサイに寄生しやすい害虫は『カミキリムシ』『アブラムシ』『ハダニ』です。幹を食い荒らしたり葉裏の汁を吸って弱らせたり、葉を黒く汚したりします。ハダニは水に弱く、葉裏にも水がかかるように水やりすると予防になるでしょう。
アジサイ(紫陽花)の剪定方法と時期はいつ?なぜ必要?
アジサイの剪定は、『花後の剪定』『冬の剪定』『強剪定』の3種類です。それぞれ剪定の目的や方法が異なります。きれいなアジサイの花を咲かせるためにも、時期や目的に合わせて正しい方法で剪定しましょう。
花後の剪定の目的とやり方
アジサイの花後の剪定は、7月頃に行います。花後の剪定の目的は、翌年のアジサイの花付きをよくすることです。アジサイは秋頃に新しく伸びた枝に花芽を付けます。
新しく伸びた枝に付いた花芽は翌年に開花するため、花後の剪定で古い枝を切り落とす必要があります。3種類の剪定では、重要度の高い剪定といえるでしょう。
花後の剪定で切り落とす対象は、開花時期に花を付けた枝です。花から2~3節下で枝を切り落としましょう。花芽の約2cm上で切り落とすのがコツです。
冬の剪定の目的とやり方
アジサイの冬の剪定は、11~3月頃に行います。冬の剪定の目的は、風通しや日当たりをよくすることです。剪定量は枝の整理程度にとどめ、花後の剪定以降に成長した枝を切り落とさないように注意しましょう。また、必ずしも冬の剪定を行う必要はありません。
冬の剪定で切り落とす対象は、花芽の付いていない細い枝や混み合った枝、枯れた枝などです。これらは根元から切り落としましょう。風通しや日当たりが悪いと、病害虫の原因になります。地面の方に伸びている枝も剪定しましょう。
強剪定の目的とやり方
アジサイの強剪定も、花後の7月頃に行います。花後の剪定と一緒に行ってもよいでしょう。強剪定の目的は、アジサイの株の姿を整えることです。
特に地植えにおいて、アジサイが大きくなり過ぎたときに強剪定を行います。他の剪定に比べて、大胆に枝を切り落とすのが強剪定の特徴です。
強剪定では、株元の近くから枝を切り落としましょう。剪定した部分から伸びる枝にアジサイの花が咲くのは数年後です。翌年は花が咲かない可能性が高いため、数年後の開花をイメージしながら剪定する枝を選びましょう。
アジサイの剪定方法に関するより詳しい解説はこちらをご確認ください。
アジサイ(紫陽花)を挿し木で増やす方法
自宅で栽培したアジサイを増やすには、『挿し木』という方法があります。切り落とした枝を土に植えて苗を増やす方法で、アジサイ以外の植物でも用いられる増やし方です。
アジサイの挿し木には、2~3月頃の『春挿し』と6~7月頃の『夏挿し』の2種類があります。双方の違いを把握し、適切な方法で挿し木をしましょう。
春挿しのやり方
2~3月頃の春挿しで使うのは、前年に切り落とした枝です。休眠期に行うことから、春挿しは『休眠枝挿し(きゅうみんしざし)』とも呼ばれます。
まずは、前年のうちに切り落とした枝を約15~20cmの長さに切りましょう。花芽は約2~3個残し、30分から1時間切り口を水につけます。その間に、鉢底ネットを鉢に敷いたところに土を入れ、水をかけて湿らせましょう。
水を十分に吸わせたら、アジサイの挿し木を土に挿します。このとき、土に挿すのは約2cmです。たっぷり水を与え、日当たりのよい場所で管理しましょう。乾燥させないように育て、発根したら大きめの鉢に植え替えます。
夏挿しのやり方
6~7月頃の夏挿しで使うのは、花後の剪定や強剪定で切り落としたばかりの枝です。葉の生い茂る時期に行うことから、夏挿しは『緑枝挿し(りょくしざし)』とも呼ばれます。
まずは、花後の剪定や強剪定で切り落とした枝を約15~20cmの長さに切りましょう。花芽の付いていない枝を選ぶのが、夏挿しのポイントです。葉を4枚残して切り落とし、水分の蒸発を防ぐために葉の上半分も切り落としましょう。挿し木を水につける以降のやり方は、春挿しと同じです。
まとめ
アジサイ(紫陽花)は梅雨のイメージが強いものの、育て方は他の花と大きく変わりません。特徴や育て方のコツを押さえれば、ガーデニング初心者でもきれいな花を咲かせられるでしょう。アジサイは花を咲かせるまでに数年かかるため、根気強く育て続けることが大事です。
アジサイの基礎知識や育て方のコツを踏まえ、自宅でアジサイの栽培を始めましょう。