蓮の特徴と育て方を解説。種や苗から育てる手順や季節ごとのポイント

2020 11/18
蓮の特徴と育て方を解説。種や苗から育てる手順や季節ごとのポイント

神秘的な雰囲気の蓮は、十分な水を入れておける深さの鉢があれば、自宅の庭やベランダでも育てられます。一般的な苗から育てる方法はもちろん、種からも栽培可能です。2種類の育て方の手順や、季節ごとの管理の仕方を紹介します。

目次

蓮の基礎知識

蓮の基礎知識

蓮の栽培をするにあたり、まずは基本的な知識を身に付けましょう。特徴や品種を知ることで、スムーズな栽培や好みの蓮を選ぶことにつながります。

早朝に開花する蓮

東南アジア原産の『草本性水生植物』である蓮は、朝早い時間に花が開き、昼には閉じます。そのため、美しい花を観賞するなら、早朝が見頃です。

長い柄があり、大きなものだと水面に1.5m以上も伸びる葉は、円形や楕円形をしています。水を弾くため、葉の表面に丸い水の玉が転がっている様子も観察可能です。

鑑賞用はもちろん食用としても用いられる植物のため、世界中で栽培されています。日本で食材として使われる部位は、地中に埋まっている『レンコン』です。他の国では葉から茎まで食べられています。

『蓮茶』も有名です。アジア各地に、花・葉・実などを使ったお茶があります。また、仏教を始め、さまざまな宗教において特別な意味を持つ花です。

主な蓮の種類

蓮にはさまざまな種類があります。花がピンクで『ハス』と呼ばれるヌシフェラ種と、黄色い花が咲く『キバナハス』と呼ばれるルテア種が代表的です。両者を交雑させた品種も作られています。

『大賀蓮』はハスの代名詞といわれている品種です。千葉県で出土した2000年前の種を大賀一郎博士が発芽させました。花色は縁が濃いピンクのグラデーションです。千葉県の天然記念物に指定されています。

北米原産で一重の黄色い花を咲かせる『アメリカキバナハス』は、キバナハスを代表する品種です。

また、ハスとキバナハスを交雑し作られた『ミセス・スローカム』は、花の咲き始めはピンク、開花後3日ほどたつと黄色に変化します。

蓮を自宅で育てるには

蓮を自宅で育てるには

自宅で蓮を咲かせる方法は2種類あります。どちらも自宅で無理なくできる方法です。それぞれの栽培方法を見ていきましょう。

種から育てる

蓮は種からも育てられます。ただし、普通の花とは異なり、ただ種まきをしただけでは発芽しません。蓮の種は硬い殻で覆われていて水を吸わないため、金属製のやすりで外側の殻を削らなければいけないのです。

殻を削るときは、『とがった方と反対側を削ること』と『中身を傷つけないこと』がポイントといえます。中身が見えるくらい殻を削れたら、透明な容器に水と種を入れ、日の当たる場所に置けばOKです。

ただし、種から育てた実生の蓮の場合、親と違う色や形の花が咲くことがあります。どのような花が咲くか分からない楽しみがある反面、育てたい品種がはっきりしている場合には向いていません。

苗を育てる

苗を植え付けて育てるのは、種から育てるよりも一般的な方法です。レンコンの状態の苗や、ポットに植え付けされているポット苗を植え替えて育てます。

レンコンの状態なら、よく洗ってきれいにしてから、土を入れた鉢に植え付けましょう。ポット苗の場合には、一緒に土が入っているため、土ごと取り出して植え替えます。

種と異なり、どのような花が咲くか分かっているため、育てたい品種が決まっている場合に向いている育て方です。

蓮の育て方のポイント

蓮の育て方のポイント

きれいな蓮を咲かせるためには、ポイントを押さえた栽培が大切です。適切な育て方をすることで、毎年きれいな蓮を観賞できます。

種まきや植え付け

種から育てる場合、種まきには『4~5月』が適期です。先に紹介したように、殻を削り、水に浸します。

葉が2~3枚出て根が約5cmまで伸びたら、鉢やポットへ植え付けます。種まきから植え付けまでの期間は2週間が目安です。

鉢やポットに田んぼの土を2~3cm入れ、苗を置き、さらに土を容器の1/3ほど入れ、植え付けます。そこへ水を注ぎ入れて完成です。

苗から育てるなら、『3~4月』の植え付けが適しています。

7~10号の鉢を用意し、2/3ほど田んぼの土を入れましょう。そこへ、新芽が上向きになるよう苗を置きます。苗に土をかぶせた後、鉢の縁まで水を注げば完了です。

肥料や水やり

肥料は、鉢に入れる土に元肥を混ぜ込みます緩効性化成肥料か、骨粉と油かすを同量混ぜたものを与えましょう。その後は、秋になり花や葉が枯れるまで、1カ月に1度のペースで同じ肥料を施します。

水生植物である蓮を育てるときには、水の管理もポイントです。

土の表面から10~15cmは水が必要なので、小まめに『継ぎ足し』ます。じょうろを使い、水があふれるように継ぎ足すと、表面に汚れが浮くのを予防できます。

交換ではなく継ぎ足しで日常的な管理をするのは、水温を下げずにキープすることと、水中のバクテリアを増殖させるという目的があります。このように管理することで水が腐りにくくなるのです。

水の交換は植え替えのときだけ行います。

蓮の病気について

管理の仕方によっては、蓮が病気にかかることがあります。

代表的な病気は『腐敗病』です。普段は地中にいて悪影響のない菌が、蓮の地下茎へ侵入することがあります。菌の侵入が原因となり、根・葉・茎が腐るのです。

菌が侵入するきっかけとなるのは乾燥です。そのため、常に水が不足しないよう継ぎ足すことが、病気の予防につながります。

『鉄欠乏症』になり、葉が黄色に変色することもあります。そのまま放っておくと、白っぽくなり、光合成ができなくなってしまうのです。栄養分を作り出す光合成ができなければ蓮は枯れてしまいます。

そのため、葉が黄色くなったら、栄養素を含む肥料を与えましょう。予防のために鉄くぎを沈める方法もあります。

栽培環境や季節ごとの注意点

栽培環境や季節ごとの注意点

植え付けた蓮を健康に育てるためには、栽培環境を整えることや、季節ごとのお手入れが欠かせません。蓮にとって快適な状態をキープするための注意点を紹介します。

室内や水槽では日当たりに注意

日当たりのよい場所で管理することで、蓮はすくすくと育ちます。そのため『直射日光が半日以上当たる場所』で育てるのが基本です。庭やベランダの中でも、日当たりがよいところを選んで置きましょう。

特に注意したいのは、水槽に植え付け室内で栽培する場合です。室内でも日当たりがよい場所に設置できれば、十分育ちます。南側の窓辺に置いたり、上から光を当てたりすればOKです。

夏場の蓮の管理

開花期の夏は、特に水の管理に注意しましょう。暑さによる蒸発や、蓮自身の吸収により、水切れが起こりやすいからです。葉がしわしわと縮れてくるのは水切れのサインのため、小まめに確認し水を継ぎ足します。

また、花が枯れた後のお手入れも大切です。翌年も蓮の花を楽しむには、蓮の根であるレンコンの生育状況も考慮しなければいけません。そのため、枯れた花は種ができる前に刈り取り、株の消耗を予防します。

種を採取する場合には、開花後の花をそのままにしておきましょう。すると、種の詰まった実が大きく生長し、蜂の巣のような形状になります。実が黒くなったら採取可能です。

冬場の苗の管理

冬になると、蓮は休眠状態に入ります。そのため、地上から見える部分には何も起こりません。休眠する冬には、肥料を施さなくてOKです。ただし、水の管理だけはほかの季節同様に行います。

また、翌年の夏にも花を咲かせるためには、『2~3月』にレンコンを株分けすることも大切です。新芽を傷つけないよう取り出し、新芽が出ている部分を2節半~3節半くらいで切り分け、植え付けます。

まとめ

蓮は家庭でも育てられる植物で、種からでも、苗からでも栽培が可能です。たくさんの品種からランダムに選ぶなら種が、気に入った品種を育てるなら苗が、それぞれ向いています。

種でも苗でも、半日以上直射日光の当たる場所で管理すると、健康に育ちます。水切れに注意して、小まめに水を継ぎ足すことも大切です。

夏に枯れた花を摘み取りレンコンを充実させることや、冬に水切れしないよう小まめに管理することで、翌年もきれいな蓮の花を咲かせられるでしょう。

目次
閉じる