月下美人の正しい肥料の与え方。与える時期とおすすめの肥料
『月下美人』を育てる場合、開花を成功させることが最大のゴールとなるでしょう。そのためにも、肥料を最大限に活用し、味方につけることが重要です。株を大きく育てながら開花させるには、肥料を与える時期・種類が大きなポイントになります。
肥料選びの基本
月下美人の肥料選びについて、まずは基本知識を押さえておきましょう。肥料の種類や含まれる栄養素などを知っておくと、目的に応じて適切な肥料を選びやすくなります。
肥料の種類を知る
肥料は、効き目の早さで分けて三つの種類に分類できます。
『速効性肥料』は名前の通り、効き目の早い肥料です。水で薄めて使うタイプが多く、花付きを良くしたいなど、明確な課題がある場合に使います。
『緩効性肥料』は、徐々に効果が出る肥料です。植え付けや植え替えのタイミングで使います。三つの中では中間に位置するので、一番使いやすいかもしれません。
『遅効性肥料』は、最も効き目が緩やかに出る肥料です。時間をかけてじわじわと肥料効果が出るので、与え過ぎに注意したい場合に向いています。
植物に必要な要素
植物の生長に必要な3大要素、それが『窒素』『リン酸』『カリウム』です。根の発育に重要な『カルシウム』、光合成を活発にする『マグネシウム』を含めて、5大要素とする場合もあります。
窒素は植物の幹や葉の生長を助けるもので、葉緑素を作るのに必要です。リン酸には、開花や結実を促す効果があります。カリウムには根の発育を促す作用があり、植物に体力をつけたいときに有効です。
また、カリウムには病気への免疫力を高める作用もあります。肥料を与える際には、目的に応じて要素の配合率を確認し、適切なものを選びましょう。
月下美人に肥料を与える時期
『月下美人』を開花させるには、どのように肥料を与えていけばよいのでしょうか。具体的な与え方を知れば、時期と種類を把握するヒントになります。
元肥は5~9月
月下美人の植え付けや植え替えは、5~9月に行います。このときに、『元肥(もとごえ)』も与えましょう。『元肥』とは、最初に与える肥料のことです。
月下美人の元肥には、『緩効性の無機質肥料』が向いています。植え付けや植え替え前のタイミングで、用土にしっかりと混ぜておきましょう。
ベースになる用土には、市販の培養土を使うのが一番手軽です。ブレンドから楽しみたい人は、赤玉土:鹿沼土:腐葉土=5:2:3の割合を目安にします。
40~60日後に追肥を
2回目以降に与える肥料のことを『追肥(ついひ)』といいます。月下美人は肥料を多く必要とするので、追肥は必須です。『緩効性の無機質肥料』と『速効性の液体肥料』を並行して与えましょう。
時期の目安は、元肥を与えてから40~60日後あたりです。生育期のピークである4~10月は、特に肥料を切らさないように注意します。
11月以降の冬場は、生長が止まる休眠期間です。この時期は、栄養過多を避けるため、基本的に肥料を与えません。
肥料の与え方とポイント
肥料の与え方には、いくつかのポイントがあります。大切なのは、月下美人の『生育段階ごと』に適切な肥料を与えることです。
おすすめはリン酸とカリが多めの肥料
開花が期待できる大きさに育ったら、開花を促すリン酸や、株の体力を高めてくれるカリウムを含んだ肥料を与えます。株の様子を見ながら、配合を考えましょう。
このときのポイントは、窒素が少なめの肥料を選ぶことです。ここで窒素を多めに与えてしまうと、葉や茎ばかりが育ってしまい、花が付きにくくなってしまいます。肥料の効果を把握していれば、必要なタイミングも自然と分かるようになるはずです。
挿し木は窒素の割合を多めに
挿し木から育て始めた幼苗には、窒素の多い肥料を与えます。月下美人は、大きく生長しないと花を咲かせません。生長の促進を優先するためにも、まずは窒素を与えるのがおすすめです。
開花できるほど十分な大きさに育ったら、タイミングを見計らって、リン酸とカリウム多めの肥料に切り替えていきます。
肥料の上げ過ぎに注意
肥料を与え過ぎると、根と土の間で浸透圧の調整が上手くいかず、月下美人が枯れてしまうケースがあります。これを『肥料やけ』といいます。
月下美人は肥料を多めに必要とする植物なので、肥料やけのリスクは低めです。万が一、肥料やけを起こしてしまった場合は、株を鉢から抜きましょう。傷んだ根を取り除いてから水洗いし、新しい用土に植え替えます。
このとき、用土には肥料を混ぜてはいけません。正常な状態に戻ったら、徐々に肥料を与え、回復させていきましょう。
まとめ
月下美人の花を咲かせるためには、生育タイミングに合わせた『肥料の種類選び』『肥料の与え方』がとても重要です。元肥が終わっても、追肥を繰り返しましょう。
窒素を与えてまずは株を大きくし、十分に生育したら、開花を目指してリン酸とカリウムを与えましょう。とはいえ、肥料の与え過ぎには要注意です。肥料を正しい方法で最大限に活用し、開花を成功させましょう。