オレガノの育て方と栽培方法|手入れの仕方や増やし方、注意点も
オレガノは、地中海沿岸原産のシソ科ハナハッカ属の多年草。初夏から秋にかけてピンク色の花を咲かせ、オレガノの葉はハーブティーや香辛料、香草などとして幅広く活用されています。オレガノの手入れの仕方や増やし方、注意点など、育て方を紹介します。
オレガノを育てる前に知っておきたいこと
オレガノは、ヨーロッパでは肉料理や魚料理に用いられることが多いハーブです。丈夫で育てやすく、和名のハナハッカからもわかるように、花の美しさや香りのよさから、ガーデニングでも人気の植物です。オレガノの葉や茎は、ミントに似たさわやかでありながら、タイムのようなスパイシーで苦みのある香りを持ちます。ヨーロッパの原野に自生するたくましいハーブであり、古くから幸せを呼ぶハーブとしても知られています。オレガノには抗菌、殺菌作用があるとされており、消化器系や呼吸器系の不調の緩和、風邪予防の効果が期待できるといわれています。
オレガノの基本情報
オレガノの基本情報は以下の通りです。
科・属 | シソ科、ハナハッカ属 |
和名 | ハナハッカ(花薄荷) |
英名 | Oregano |
学名 | Origanum vulgare |
花の色 | ピンク、白、紫 |
原産地 | 地中海沿岸、中央アジア |
開花期 | 6〜9月 |
オレガノの特徴
オレガノは地中海沿岸や中央アジアに生息する多年草です。50cm程度に草丈が成長し、楕円形や卵型の葉を持つマジョラムとは近縁種の植物になります。開花時期には5cm前後の花序に、ピンクや白、薄紫色の小さな花をたくさん咲かせます。世界中に約50種分布するといわれており、料理などで使うバーブとしてのオレガノは、ハナハッカ属全般の植物を指す場合もあります。強い香りを放ちますが、味を主張しないため、バジルとともにさまざまな料理で活用されています。
オレガノの種類と選び方
オレガノは「オリガヌム類」「マヨラナ類」「アマラクス類」に大別されます。薬用や食用のハーブとして有名なオレガノは、オリガヌム類のワイルドマジョラムのことを指しますが、マヨナラ類もオリガヌム類の代用で用いられます。ほかにもアマラクス類のケント・ビューティーやベリシモ、ユノ、ロタンダ・フォーリアなどがあります。オレガノの苗を購入する際には、葉の裏や黒ずみがないか確認し、病害虫に侵されていない鮮やかな葉とぐらつきのない安定感のある株の苗を選んでください。
オレガノを育てる時に必要な準備
オレガノは初心者であっても育てやすく、病害虫も少ない植物ですが、効果的に栽培するには、状態をこまめに観察することが大事です。オレガノを育てる時に必要な準備を見ていきましょう。
日当たり・置き場所
オレガノは風通しがよく、日当たりがよい場所が適しています。初夏から秋にかけて花を咲かせますが、もともと高温で乾燥した地域で育っていた植物のため、日本の夏には弱い性質を持ちます。日光をたくさん浴びることで、より香りが強くなり、日当たりが悪いと花が咲きにくくなります。梅雨の時期などは室内や軒下のような雨の当たらない場所で管理するようにしましょう。
用土・土作り
オレガノは蒸れや過湿を苦手とする植物なので、水はけのよい土作りを必要とします。市販の土であれば、ハーブや山野草向けの土が適していますが、一般的な草花用の培養土を用いる場合は、土壌改良剤であるパーライトや軽石を3割程度混合するか、自作なら赤玉土6:腐葉土2:堆肥2の割合で混ぜ込んだ用土を使ってください。酸性の土壌を嫌うため、地植えの際は苦土石灰を混ぜておくとよいでしょう。
オレガノの育て方・栽培方法
オレガノは夏場の管理は少し注意が必要ですが、比較的丈夫で育てやすく、初心者向けの植物といえます。花の美しさだけでなく、葉もまた班入りの品種や黄金葉品種などもあり、葉色の持つ美しさから、花壇や庭で栽培されています。葉は生でもドライでも使用できますが、乾燥している方がより強い香りを放ちます。オレガノを育てるポイントと栽培方法を紹介します。
オレガノの種まき、苗木の植え付け時期と方法
オレガノは種まきでも苗植えでも育てることが可能で、春(4~5月)か秋(9~10月)に植え付けができます。種まきは、底の浅い苗ポットやセルトレイに培養土を入れて、重ならないよう均等に種をまきます。薄く土を被せ、細かい種が流れてしまわないよう注意しながら水やりをします。苗植えは、苗より大きめの鉢に植え付けていきます。オレガノは直根性なので、植え付ける際には根を崩さないように気をつけましょう。
オレガノの水やり・肥料の与え方
オレガノは土の表面が乾燥してきたら水やりをする程度で、乾燥気味の環境の方がよく育ちます。庭植えの場合は、植え付けの際にたっぷり水を与えているので、土が乾燥しすぎたときだけ水やりを行い、鉢植えでは鉢皿に水をためないよう注意してください。肥料は植え付け時に緩効性肥料を与えていれば、基本的に追肥は必要ありません。肥料を与えすぎてしまうと、枯れやすく香りも弱まります。
オレガノの植え替え・鉢替えの時期と方法
オレガノの植え替えのタイミングは2年に1度程度がベストで、植え替え時期は4~6月、または9~10月頃が適しています。鉢植えの用土の水はけが悪くなったとき、または鉢に根がまわってしまったときには、一回り大きい鉢やプランターに植え替えてあげてください。
オレガノの手入れ・剪定・切り戻しの時期と方法
オレガノは厳寒期は避けて、花が咲き終えた秋から春の時期、または葉が盛大に茂ってきたら刈り込みします。花後の切り戻しは、根元の葉を残し、茎を3~5cm程度にカットしてあげることで、繰り返し花を咲かせます。
オレガノの増やし方
オレガノは種まきや挿し木(挿し芽)、株分けで増やせますが、挿し木のが一番発根しやすい特徴があります。挿し木は3~4月、または9~10月に、茎を10~15cmほどの長さに切り、水はけのよい用土を入れた鉢に挿します。苗が大きくなったときや、植え替え時期に株分けをしてください。根を半分にカットしたら、それを2~3株に分けて、鉢や庭に植え付ければ株分けは完了になります。
オレガノのプランター栽培の方法
オレガノは横に大きく育つ性質があるので、大きめのプランター、または鉢で栽培します。何度も切り戻ししながら植え替えする場合、コンパクトに育てられる大きさのプランターでも構いませんが、本来のオレガノの姿を楽しむなら、横長のタイプを用意した方がよいでしょう。プランターや鉢植えは土が乾燥しやすいため、土の表面が乾いているのを確認してから水やりを行います。
オレガノの水耕栽培の方法
オレガノはプランターや鉢植え、地植以外にも、水耕栽培で育てることが可能です。料理用に購入したり、収穫したりしたオレガノは、使い切れなかったときに水に挿しておくと、数日ほどで新芽が出てきます。しんなりしてしまったハーブでも、数時間ほど水につけておけば、水が行き渡って元気になります。新芽が出てから、1週間ほどで芽がより大きく成長します。水につける箇所は葉を取り除き、茎の切り口を切り戻してから水につけてください。水の取り換えや循環を怠ると、水が腐り根腐れも生じるため、水はこまめに取り換えましょう。
オレガノを育てるときの注意点
オレガノは繁殖力が強く、頑丈で育てやすい性質を持ちますが、葉や茎が密生してきたら、茎を間引いて風通しをよくしてあげることが大切です。自宅で育てるときに気をつけたい病害虫や、夏越し・冬越しの方法について確認しておきましょう。
オレガノを育てる時に気をつける病気や害虫
オレガノは病気や害虫が発生しにくい植物ですが、アブラムシやハダニ、カビがつく場合もあります。オレガノが食用のときは、なるべく殺虫剤を使わずに駆除対策・予防に努めたいもの。アブラムシは春から初夏に雨風や天敵が少ない環境、または肥料や水の与えすぎで発生します。地植えでは被害がひどい場合のみ剪定し、鉢植えでは歯ブラシなどを使って水で洗い流すか、こすり落とす方法がおすすめです。高温多湿の梅雨の時期などには、株が蒸れてしまい、カビが引き起こされることがあります。葉が込んで蒸れないように定期的に刈り取るようにし、花後はこまめに花がらや枯葉を摘み取りましょう。
オレガノの夏越しと冬越し
オレガノは、夏の過湿で蒸れて葉が傷みやすいため、切り戻しをするなどして適度に風通しをよくする必要があります。植えたばかりのときは、直射日光にあたると葉焼けが生じる危険もあるので、夏場は日の当たる半日陰の場所で管理するのが最適です。寒さに強い性質から、冬場は雪が降っても支障はありませんが、花後は勢いある根だけを残して地上部分は切り詰めておくとよいでしょう。
オレガノと相性のいい寄せ植え植物
ガーデニングだけでなく、室内のインテリアとしてもハーブの寄せ植えは人気があります。寄せ植えをする際には、生育環境が近しい植物を一緒に植えるのがポイントです。オレガノと相性のいい植物には、乾燥を好み、寒さに強いセージやローズマリー、ラベンダー、タイムなどがあります。またこれらの植物は繫殖力が強い点もオレガノと同様なため、寄せ植えにぴったりです。性質が異なる植物でも、プランターや鉢内に仕切りを入れればうまく育てられます。
まとめ
オレガノは料理をはじめ、ハーブティーやポプリ、入浴剤、切り花として重宝される植物です。庭やベランダ、玄関周り、室内に飾って楽しめるハーブの寄せ植えやグランドカバーを作るときにも、美しく香りのよいオレガノは彩りを添えてくれます。オレガノの特徴や種類、育て方を学び、センスのよい空間づくりに活かしましょう。