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月下美人ってどんな花?花言葉や育て方についても解説

『月下美人(ゲッカビジン)』は、はかなげでミステリアスなイメージで知られる花です。育て方のコツを押さえれば、自宅でも月下美人の花を咲かせられます。月下美人の花言葉・育て方・種類などを知り、実際に栽培するか検討しましょう。

月下美人とは?

月下美人とは?

桜やチューリップなどに比べると、月下美人は一般的になじみのない植物といえます。育て方を知る前に、月下美人の概要を押さえましょう。

サボテン科の常緑多肉植物

月下美人はサボテン科・クジャクサボテン属の常緑多肉植物(じょうりょくたにくしょくぶつ)です。通年で幹や枝に葉を付ける常緑植物であると同時に、茎・葉・根に水分を蓄える多肉植物の特徴を持ちます。

学名はエピフィルム・オクシペタルム(Epiphyllum oxypetalum)で、メキシコの熱帯雨林地帯が原産地です。花を咲かせるには根気強く世話を続ける必要があるものの、育て方のコツを押さえて小まめにお世話すればガーデニング初心者でも花を咲かせられます。

名前の由来は?

月下美人という名前は、神秘的で美しい花の魅力を体現しています。この名前の由来としては、昭和天皇のエピソードが有力です。

大正時代の台湾で、当時皇太子だった昭和天皇がある花の美しさに魅了されました。帯同していた駐在大使に花の名前を昭和天皇が尋ねたところ、「月下の美人です」と答えたそうです。この逸話から、月下美人と呼ばれるようになったと伝えられています。

月下美人の花や香りの特徴

花や香りの特徴

月下美人は花や香りに特徴があります。特に香りについては、別名の『月来香(ゲツライコウ)』に香の字が用いられるほどです。自宅で育てる前に、月下美人の特徴を把握しておきましょう。

直径20~25cmほどの白い花

月下美人は、直径20~25cmほどの白い花を咲かせます。ボウリングのボールが直径約22cmで、開いたときの花とほぼ同じ大きさです。家庭で育てる花としては、かなり大きい部類に入るでしょう。大きな花を咲かせるのは、コウモリの受粉への適応が理由とされています。

つぼみの時点で花はうつむいているものの、開花日が近づくにつれてつぼみは上向きます。開花日当日になると大きくつぼみが膨らみ、美しい花を咲かせるでしょう。

月下美人の花は、白く薄い花びらが重なり合っています。花の内側にびっしり並んだ先端の黄色いものが雄しべで、前面に長く突き出た放射線状のものが雌しべです。

海外では香水としても人気の香り

約10m離れていても匂いが分かるほど、香りの強い花として月下美人は知られています。その香りはやわらかく上品で、強いもののきつい香りではありません。ジャスミンに似た香りともいわれ、海外では香水に用いられるほど月下美人の香りは人気です。

花の姿が見えなくても、漂う香りで月下美人の開花が分かるといわれています。それほど月下美人の香りが強いのは、暗闇でもコウモリを惹き付けるためといわれています。コウモリは月下美人の花粉の運搬役を担ってくれる動物です。花の色が白いのも、暗闇で目立つのが理由とされています。

月下美人の花言葉の意味や由来

花言葉の意味や由来

月下美人には、いくつかの花言葉があります。海外の花言葉には日本のものと異なる印象があり、より月下美人の魅力を多角的に知る手助けとなるでしょう。

あでやかな美人

月下美人の花言葉の一つが『あでやかな美人』です。華やかな見た目やコウモリを誘う魅力的な香りが、この花言葉の由来とされています。

花の名前にも花言葉にも美人と付くことから、女性らしい雰囲気を感じさせる花であることが分かります。『夜の女王(Queen of the night)』と直訳される英名が付けられているのも、その一例といえるでしょう。

はかなさや情熱も意味する

同じクジャクサボテン属の花の寿命は、一般的に約2~3日です。数日でも短いのに、月下美人の花の寿命は1日とさらに短くなります。1日といっても、花開くのは夜の数時間だけです。開花時間の短さに由来する花言葉も少なくありません。

その例が『はかない恋』『はかない美』です。生育期間の長さに対して開花時間があまりに短いことから、『ただ一度だけ会いたくて』という花言葉も月下美人にはあります。

これらの花言葉と対照的なのが、『秘めた情熱』です。月下美人のはかなさや短命さに焦点を当てた花言葉に対し、短時間に全力で咲き誇る力強さをこの花言葉では表しています。また、とても強く香る花の匂いも由来といわれています。

海外ではイメージの異なる花言葉も

日本での月下美人のイメージとは異なる花言葉も、海外にはあります。フランス語の『plaisir(快楽)』がその例です。月下美人の魅力的な外見や香りが由来とされています。

英語の花言葉は『dangerous pleasure(危険な快楽)』です。plaisirに比べて危険という言葉が含まれる分、その魅力に溺れたり依存したりする意味合いが含まれます。強い香りや華やかな見た目に惑わされ、快楽に浸って破滅してしまうようなイメージの花言葉といえるでしょう。

月下美人にまつわる俗説

月下美人にまつわる俗説

月下美人には、まことしやかにささやかれる俗説がいくつかあります。開花に関する俗説の内容と真偽を知り、月下美人の正しい知識を身に付けましょう。

同じ日に花が咲く

どの株も同じ日に花を咲かせる、という俗説が月下美人にはあります。日本に持ち込まれてから株分けや挿し木(さしき)によって数を増やしたクローンなら同じ時期に花を咲かせるだろう、というのが理由です。

実際は、株分けや挿し木で増えたからといって、すべての月下美人が同じ日に花を咲かせるわけではありません。クローンであっても個々が別の命を持つ植物であることに変わりなく、株ごとに体内時計を保有しています。栽培環境が違えば開花日も異なり、むしろ栽培環境が似ていないと同じ日に花を咲かせるのは難しいといえるでしょう。

1年に1回しか花が咲かない

広く知られる月下美人の俗説の一つが、1年に1回しか花を咲かせないというものです。ミステリアスな生態や一晩しか咲かない寿命の短さから、この説が定着したといわれています。

実際の月下美人の1年間の開花回数は、生育環境や株のコンディションによってさまざまです。育てやすい環境でうまく栽培できれば、開花期間のうちに約3~4回開花することもあります。反対に、1年間でまったく開花しない場合も珍しくありません。

月の満ち欠けと開花が連動している

月の満ち欠けと開花が連動し、満月や新月の夜に花を咲かせる、という俗説もあります。月下美人と別名の月来香が両者ともに月の字を含むことから、この俗説が広まったとされています。

実際の月の満ち欠けと月下美人の開花は連動していません。満月や新月以外の夜でも、花を咲かせます。

月の満ち欠けと同様に、夏の夜にしか月下美人は咲かないとする説もありますが、こちらも真実ではありません。夏に月下美人が咲くのは本当ですが、開花期間は6~11月頃と長いです。生育環境によっては、秋にも花を咲かせるでしょう。

月下美人の育て方・コツ

育て方のポイント

月下美人の開花回数は、育て方によっても左右されます。育て方のポイントを押さえ、きれいな花を観賞する機会をより多く獲得しましょう。

5~9月に苗から育てよう

基本的に、月下美人は市販の苗から育てます。種は流通量が少なく、入手しづらいのが理由です。ホームセンターや園芸店で、葉にシワがなくしっかりしている株を選びましょう。

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