アンスリウムとは?花の特徴・花言葉・育て方・手入れ方法を紹介!
観葉植物で知られるアンスリウムは、艶やかな緑の葉の中に浮かぶ赤やピンクのハート型が印象的です。園芸店などでも、よく販売されています。今回は、そんなアンスリウムの栽培方法について、花言葉などの情報と合わせて紹介します。
アンスリウムとはどんな花?
アンスリウムと言えば、赤やピンクに色づいたハート型の花を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、ハートの部分は花ではなく、仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる葉の一種です。仏炎苞の中心からひも状の肉穂花序(にくすいかじょ)が伸び、そこに多数の小さな花を咲かせます。仏炎苞は、この肉穂花序を守るためのものです。
それでは、アンスリウムの基本情報や特徴を見ていきましょう。
アンスリウムの基本情報
学名や原産地など、アンスリウムの基本情報です。
科・属 | サトイモ科、アンスリウム属(ベニウチワ属) |
和名 | 大紅団扇(オオベニウチワ) |
英名 | Flamingo flower、Tail flower |
学名 | Anthurium |
花の色 ※実際には苞の色 | 赤、ピンク、白、緑、紫、茶、複色 ※実際には苞の色 |
原産地 | 西インド諸島、熱帯アメリカ |
開花時期 | 5〜10月 |
アンスリウムの特徴
熱帯地域が原産のアンスリウムは、日本では初夏から花を咲かせます。特徴である仏炎苞は豊富な色数を持ちますが、普段私たちがよく目にするものの多くは、赤く色づく品種です。アンスリウムの仲間は約600種あるといわれ、サトイモのように地面に生えるものやほかの大型植物に着生するものなど、さまざまな姿があります。熱帯地域原産のため耐寒性は乏しく、栽培の適温は25℃前後、冬場でも10℃以上の環境が必要です。そのため、日本の環境では庭植えには不向きで、通常は鉢植えで育てられるほかハイドロカルチャーにも利用されます。
花名の由来
アンスリウムという名前は、ギリシャ語の「antho saura(花)」と「oura(尾)」からきており、2つの言葉を合わせて「尾っぽのような花」を意味します。英名のTail Flower(テイル・フラワー)は尻尾のように見えることから、Flamingo flower(フラミンゴ・フラワー)は、フラミンゴの立ち姿のようであることから名づけられました。
和名の大紅団扇は、ハート型の仏炎苞がうちわのように見えることに由来します。
アンスリウムの開花時期や見頃の季節
通常、アンスリウムは5~10月頃に花を咲かせます。花もちは非常によく、暖かい場所では1カ月近く咲き続けます。また、1~1.5カ月ごとに新しい花をつけるので、生育に適した環境下であれば半永久的に咲かせ続ける植物です。肉穂花序に密集して咲く花は小さく目立ちませんが、花びら4枚と雄しべ4本、雌しべ1本があります。
また、色づいた苞や花を楽しむ園芸品種の中には、切り花として利用されているアンスリウムもあります。切り花の日持ちは2週間ほどで、延命剤の使用は効果がありません。長持ちさせるにはこまめな切り戻しと水替えを行い、茎の切り口を新鮮に保ちましょう。
アンスリウムの花言葉と由来
アンスリウムの花言葉は、花そのものではなく色鮮やかな仏炎苞の姿からつけられています。どのような花言葉なのか、さっそく見ていきましょう。
花言葉
アンスリウム全般には、「煩悩」と「恋にもだえる心」という花言葉があります。花色別についている花言葉もあり、赤は「情熱」、白は「熱心」、ピンクのアンスリウムは「飾らない美しさ」です。
また、西洋では「hospitality(温かいもてなし)」の花言葉がついています。
花言葉の由来
アンスリウム全般についている「煩悩」と「恋に悶える心」の花言葉は、花の姿からきています。ハート型で鮮やかな色彩の苞を持つアンスリウムの姿が、強く恋焦がれる胸の内のようであるというのが由来です。
アンスリウムの種類・品種
葯600種類あるといわれるアンスリウムの姿は、品種によりさまざまです。ここでは、最もポピュラーなレッドチャンピオン、赤い実が美しいバーケリー、葉を楽しむクラリネルビウムの3種を紹介します。
レッドチャンピオン
レッドチャンピオンは、その名の通り艶やかで真っ赤な仏炎苞が特徴的なアンスリウムです。苞の形は丸みのあるハート型で、黄色を帯びた肉穂花序をつけます。多花性の中型品種で、鉢植えがよく出回っています。
バーケリー
アンスリウムの原種であるバーケリーは、細長い葉と花後にできる赤い実が特徴です。細い葉は垂れ下がってくるので、高さのある鉢やハンギングなどによく合います。葉の濃い緑と赤い実のコントラストが美しい品種です。
クラリネルビウム
クラリネルビウムは、葉の美しさが楽しめる原種のアンスリウムです。緑色の花は地味で目立たない一方、葉は人の顔ぐらいの大きさに育ち、深緑色のマットな質感に白い葉脈が浮かびます。人気の高い品種で、栽培も比較的容易です。
アンスリウムの育て方・栽培方法
アンスリウムは、鉢植えを購入して育てるのが一般的です。栽培自体はそれほど難しいものではありませんが、育て方を間違えると花が咲かなかったり、根腐れを起こしたりします。元気な株を育て美しい花(苞)を長く楽しむには、栽培のポイントを押さえておくことが大切です。
用土
アンスリウムには、できるだけ水はけのよい用土を用います。市販の用土なら、アンスリウム専用土や、洋ラン用の培養土がおすすめです。観葉植物用の培養土を用いる場合は、ピートモスがベースであれば使用できます。
自分で配合する場合には、ピートモス5:パーライト4:赤玉土1、または鹿沼土:パーライト:ピートモス同割合での配合がおすすめです。
植え付け方法と時期
アンスリウムの植え付けは、5~8月の湿度が高い時期に行います。購入苗のポットよりも一回り大きな植木鉢を用意しましょう。
植木鉢に鉢底ネットを敷いて鉢の1/5程度の高さまで鉢底石を入れ、用土で苗を植えます。植えつけ後はたっぷりと水を与えてください。また、根が出ていない株の場合には、発根まで常に土が湿っているように注意します。
肥料と水やり
肥料 アンスリウムは施肥を行わなくても育ちますが、与えた方が成長が早くなります。春~秋の成育期に緩効性の置き肥をするか、1000倍に希釈した液肥を10日に1回の割合で与えてください。与えすぎると肥料焼けを起こすので、十分に注意しましょう。休眠期にあたる冬の施肥は必要ありません。
水やり アンスリウムの水やりは、土が乾いてきたらたっぷりと与えましょう。2~3週間に1回行うのがだいたいの目安ですが、季節や鉢の置き場所によって用土の乾き方は異なります。たっぷりと与えた時の鉢の重さを覚えておき、半分程度の重さになったら水やりを行うとよいでしょう。
アンスリウムの手入れ方法や増やし方
アンスリウムを元気に育てるには日あたりと温度、風通しに気をつける必要があります。光の強さは、「手をかざしてみて熱さや痛さを感じない」程度が目安です。気温が10℃を下回ると株が傷むので、置き場所を変えるなどの対策をとりましょう。また、風の動きが全くない環境下でも枯れることがあるので、注意が必要です。
株が育ってくると鉢の中が根でいっぱいになるため、2年に1回を目安に程度の植え替えや鉢替えをしましょう。また、気根や花がらの剪定も必要になってきます。アンスリウムの増やし方と合わせて、詳しい手順などを見ていきます。