
カーネーションの種類と育て方。花を長く楽しむためのポイントは?

カーネションは季節を問わずお花屋さんに置かれる花の一つで、一輪挿しや花束、鉢植えなどその楽しみ方はさまざまです。工夫次第では繰り返し花を咲かせることができ、さらには増やすことも可能です。カーネーションの魅力とともに、育て方を紹介します。
カーネーションとはどのような花?

カーネーションと聞くと、まっさきに「母の日に贈る花」として思い浮かべる人が多いでしょう。
毎年5月の第2日曜日は母の日に制定されていて、テレビのコマーシャルや広告などでは大々的に「母の日はお花を贈ろう」というキャッチコピーとともにカーネションがアピールされています。
一定の時期に注目されがちですが、カーネションは年中楽しめるお花の一つです。その魅力を紹介します。
歴史は古く、種類も豊富
カーネーションはギリシャ時代から栽培が始まったといわれ、かの有名なギリシャ神話にも美しい娘の生まれ変わりとして登場しました。
欧米で親しまれていたカーネーションが日本に輸入されたのは江戸時代で、オランダ船によって運び込まれたといわれています。その後明治35年に日本初の品種が新宿御苑で誕生し、今でもその進化は続いています。
色の違いだけでなく、花の形のバリエーションも多く、1995年には遺伝子組み換え技術によってめずらしい青色色素を持つ品種も作られました。種類の多さから、さまざまなイメージを演出してくれるお花です。
母の日に贈るようになった理由
お母さんへの感謝を表す日は世界によってさまざまですが、日本の母の日はアメリカにならって制定されています。
その起源は1907年5月12日、アメリカ南北戦争の負傷兵の衛生改善活動を行ったアン・ジャービスの娘のアンナが、亡き母が好きだった白いカーネーションを祭壇に飾ったことがきっかけとなっています。
これに感動したアンの教え子やその母親たちが、同じ教会で翌年1908年5月10日を「母の日」として祝いました。このとき、アンナは参加者に白いカーネーションを配ったとのことです。
このことから、アメリカでは白いカーネーションは母の日の象徴となり、1914年より5月の第2日曜日を母の日として定められました。
種類と見分けるポイントは?

古くから親しまれているカーネーションは、ギフト用でも8色、3000以上の種類が存在します。
花の付き方、咲き方、色の違いでさまざまに分類されるので、贈るときや自宅に飾る用として、イメージに合うものを選びたいものです。
その豊富な種類や見分け方について見ていきましょう。
花の付き方で2タイプ
茎に花がどのように付いているかで、「スタンダード」と「スプレー」、二つのタイプに分類されます。
その特徴は以下の通りです。
・スタンダード…1本の茎に1輪の花が付く。花が大きく、華やかな印象
・スプレー…枝分かれした茎に数輪の花が付く。花が小さめで愛らしい印象
ひとえにカーネションといえども、花の付き方で存在感ががらりと変わります。
さらに花びらの形で4タイプ
フリフリな花びらが可愛らしいカーネーションですが、その特徴でも分類されます。
「剣弁咲き」「極剣弁咲き」「丸弁咲き」「一重咲き」の4種類があり、特徴は以下の通りです。
・剣弁咲き…花びらの縁がギザギザ。たくさんの花びらが重なり合う
・極剣弁咲き…花びらの先端に切れ込みがあり、細く尖っている
・丸弁咲き…花びらの先に切れ込みがない、または少ない。希少品種
・一重咲き…花びらは小さめで、重なり合わない。ナデシコに似ている
花びらの種類で、華やかな印象だったり個性的に見えたり、見え方が違ってきます。
カーネーションの育て方

切り花として売られていることが多いカーネーションですが、鉢植えとしても売られているのを見たことがある人もいるでしょう。
室内で花瓶に入れて楽しむのもよいですが、自分の手で上手に育てれば長く楽しめます。
ポットカーネションの育て方を紹介します。
日当たりと置き場所
カーネーションは、日当たりがよく乾燥した環境を好むため、高温多湿や長い雨には弱いので注意が必要です。
花を咲かせるのには、できるだけ光を浴びさせるのがポイントで、室内の照明を当てるだけでも十分です。
お日さまが大好きな種類の花ではありますが、夏の直射日光を浴びると生育が悪くなる場合があるので、夏場は室内か半日陰の風通しのよい場所に置くのがおすすめです。
寒さに弱いので、冬場は寒風が避けられる場所に置いてあげましょう。花自体が水に強くないので、年間通して開花しているときは雨が当たらない場所に移動してあげます。
水やりの方法
カーネーションが植えられている土の表面が、乾いて白っぽくなったら水をあげるときのサインです。鉢の底から水が流れ出るくらい、たっぷりと与えましょう。
鉢から地植えにした場合は、水やりは必要ありません。雨や土から吸収する水分で十分なためです。
水分不足はカーネーションの株へ大きなダメージとなり、つぼみが開かない原因となりますので、萎えてしまう前に水やりをしましょう。
ただ、先述のとおり花自体は水に弱く、葉に水分が残ると蒸れて病気にかかりやすくなります。花やつぼみ、葉は避けて、株元に直接水を与えるようにするのが大事なポイントです。
肥料を与える回数
カーネーションは多年草なので、株をしっかりと強くさせるためにも肥料は定期的に与えます。
最初に植え付けるときに、土に元肥として固形の肥料を混ぜ込みます。そのあとは追肥として1カ月に1回程度、固形または液体の肥料を与えてあげます。
花が咲いているときは、真夏以外は1カ月に3回を目安に、液体肥料を水やりのときにあげるといいでしょう。
花付きをよくするには、カリウムやリン酸が多く含まれる肥料がおすすめです。しかし、生育に負担がかかる季節である真夏と冬の時期は、肥料は与えないようにします。
定期的なお手入れも大事なポイント

自分で楽しむために買った株も、プレゼントとして贈られた株も、できることなら長く楽しみたいものです。
また次の年も満開の花がたくさん付いている様子を見るために、お手入れは欠かせません。
定期的に行いたいカーネーションのお手入れ方法を紹介します。
剪定時期と方法
剪定は、伸びすぎた枝や葉を切って樹形を整える作業のことで、鮮やかなカーネーションを育てるのに欠かせません。
花が咲き終わるタイミングで行えば、次の開花のときにキレイな花を付ける可能性がグッと上がるので、6月中旬ごろと10月中旬ごろに行うとよいでしょう。
全ての茎の半分くらいの位置から切り戻しをします。まだ花が咲いている茎も思い切って剪定し、花瓶に入れて飾っておきましょう。こうすることで、新しい枝が出て、次のとき花付きがよりよくなります。
植え替え、植え付けの時期と方法
カーネーションの植え付けは、3〜5月か9〜10月が最適です。鉢植えでも地植えでもどちらでも育成できますが、夏場や冬越しで移動させることを考えると、鉢植えのほうが手軽です。
植え替えも、植え付けと同時期に行うようにします。鉢植えの場合、根詰まりを防ぐためにも定期的な植え替えが必要です。だいたい2〜3年で、それまで植えていたものよりも大きいサイズの鉢に植え替えてあげましょう。
地植えの場合は植え替えは必要ありません。しかし、カーネーションは冬の寒さに弱いため、越冬を考えると、鉢植えに植え替えて避難させてあげるとよいでしょう。
挿し木で増やす方法
カーネーションの株の増やし方の一つに、挿し木という方法があります。剪定で切り取った枝を使うので、無駄も出ないので一石二鳥といえます。
最適な時期は4〜5月、または9〜10月ごろです。主茎から出た若茎を10〜15㎝ほど切り取り、先端に付いている葉を数枚残して、それ以外は取り除きます。葉から水分が蒸発してしまうのを防ぐためです。
切り取った茎の切り口を数日水に浸け、あらかじめ用意しておいた挿し木用の土へ、切り口を潰さないように挿します。土が乾燥しないよう受け皿に水を溜め、半日陰の場所に置き管理します。
根が出てきたら鉢に植え替えたり、庭に地植えをしましょう。これでカーネーションが増え、より楽しみも増えます。
色によって変わる花言葉

どの花にも、その花が持つイメージから付けられた花言葉というものがあります。花を贈るときにはチェックしておきたいポイントの一つです。
同じ種類の花でも、色によって花言葉の意味が変わってきます。贈りたい相手や用途に合わせて色を選べることができると、買うのも楽しくなるでしょう。
カーネーションの花言葉を、色別で紹介します。
赤いカーネーション
赤は日本だと母の日に贈るイメージが強いです。それもそのはず、赤いカーネーションの花言葉は、「母への愛」「母の愛」を意味します。
そのほかには、「真実の愛」「純粋な愛」という意味もありますので、告白やプロポーズのときなどにもぴったりです。
しかし、深い赤色には「私の心に哀しみを」という意味があるそうです。さびしい印象を与えてしまいかねませんので、気になる人はプレゼント用としては避けるのがベターといえます。
白いカーネーション
母の日にカーネーションを贈るきっかけにもなった白色の花言葉は、「尊敬」という意味が込められています。憧れの人や尊敬している人へ贈るのにぴったりなカラーです。
また「純粋な愛」「私の愛は生きています」という意味もあります。結婚式のブーケに入ると、純白な花嫁の雰囲気を高めてくれることでしょう。
一方で、亡き母を偲ぶイメージもあります。そのため、存命されているお母様へのプレゼントとしては不向きといえます。
ピンクのカーネーション
見た目の可愛いピンクのカーネーションには、「感謝」「温かい心」という意味があります。お礼をしたいときのちょっとしたプレゼントにぴったりです。
このほかに、「気品」「美しい仕草」といった女性を褒めるような意味もあります。言葉に出して褒めるのが難しいとき、ピンクのカーネーションを贈って、代わりにその思いを伝えてみるのもよいでしょう。
「あの女性に花を贈りたいけど、何を選べばよいかわからない」と迷った男性には最適なカラーです。
オレンジのカーネーション
オレンジのカーネーションは、太陽のような明るい印象で、見ているだけで元気が出そうです。
その花言葉には、「純粋な愛」「熱烈な愛」という意味があります。ポジティブな愛情を示してくれるようなイメージですので、恋人向きといえます。
日本では、長く一緒に過ごしていると、愛を語るのが恥ずかしくなるカップルが大多数でしょう。言葉にするのは難しいのならば、オレンジのカーネーションを愛の言葉代わりに、記念日などに贈るといいですね。
まとめ
母の日でおなじみのカーネーションは、全体の意味としては「無垢で深い愛」という意味があり、まさに愛を表現するのにぴったりです。
フリルのような花びらで見た目も可憐なので、元気と癒やしを与えてくれそうです。
プレゼント用として贈るのもよし、自分の手で育てて心豊かにするのもよし、楽しみに幅のあるお花です。