クリスマスローズの花言葉と育て方|種まき・増やし方・注意点も
クリスマスローズは初心者でも育てやすい上に、寂しい冬の庭を華やかに彩ってくれることから、ガーデニング好きの間でとても人気のある花です。苗の選び方や花が咲いた後のケア方法、病害虫対策まで、クリスマスローズを長く楽しむポイントを紹介します。
クリスマスローズとは?
クリスマスローズは、ヨーロッパ原産の多年草です。寒い季節でも長く花を楽しめるため、栽培にチャレンジする人が多く、品種改良も盛んに行われています。クリスマスローズの特徴と種類、花言葉を紹介します。
『冬の貴婦人』の愛称を持つ花の特徴
12~3月にかけて開花するクリスマスローズは、冬枯れのシーズンに欠かせない存在です。『ニゲル』という原種がクリスマスの時期に咲くことから、『クリスマスローズ』と呼ばれています。
オフホワイトやくすんだピンク色など、落ち着いた色合いの花がうつむきがちに咲く姿が、クリスマスローズの大きな魅力です。その清楚な様子から日本では『冬の貴婦人』の愛称でも親しまれています。手を広げたような形の、濃い緑色の葉も、冬の庭に彩りを与えてくれます。
クリスマスローズの種類
クリスマスローズは本来、キンポウゲ科ヘレボルス属の『ヘレボルス・ニゲル』という品種を指す名称です。しかし日本では『ヘレボルス・オリエンタリス』『ヘレボルス・フェチダス』などのヘレボルス属の植物を全て、クリスマスローズと呼んでいます。
また、クリスマスローズは種から育てた場合、元の花と同じ色や形になりません。このため交配による品種改良が盛んで、新しい色柄の花が次々に登場しています。どのような花が咲くのか、育ててみなければ分からない点もクリスマスローズの魅力といえるでしょう。
また、クリスマスローズは生え方によって大きく『有茎種』と『無茎種』の2種類に分けられます。有茎種は立ち上がった茎に葉が出て、その一番上に花が咲きますが、無茎種は『葉がら』と『花がら』が別々に根茎から直接出てくるのが特徴です。
クリスマスローズの花言葉と由来
クリスマスローズの花言葉は『追憶』『私を忘れないで』『私の不安を和らげて』『慰め』『中傷』などが有名です。
原種のクリスマスローズは香りが強く、古代ギリシャでは精神安定剤として使われていたことから『私の不安を和らげて』や『慰め』といった花言葉が生まれたとされています。
『追憶』や『私を忘れないで』は、戦場に向かう騎士が恋人にクリスマスローズを贈ったという、中世ヨーロッパの逸話が元になっています。また『中傷』の花言葉は、クリスマスローズの毒性に由来しているそうです。
クリスマスローズの育て方【準備編】
クリスマスローズを育てるなら、生育に適した用土や鉢、置き場所を確保する必要があります。事前準備のやり方を見ていきましょう。
用土について
クリスマスローズは多湿を嫌うため、水はけのよい土を用意します。
自分でブレンドするなら『赤玉土5:腐葉土3:バーミキュライト2』または『赤玉土4:腐葉土3:鹿沼土(軽石)3』の割合で混ぜ合わせた土に、緩効性の化成肥料を少し混ぜ1~2週間寝かせます。
よく分からない場合はホームセンターやネット通販サイトで、クリスマスローズ専用の土を買うとよいでしょう。鉢植えで育てる人は根腐れを防止するために土にゼオライトを混ぜ、鉢の底にネットと軽石を敷きます。
クリスマスローズの置き場所
クリスマスローズは基本的に屋外で育てます。秋から春にかけては成長が活発になるので、日当たりのよい場所に置いてあげましょう。寒さに強く積雪にも耐えられますが、葉や花が傷むことがあるため、雪や霜が直接当たらないように注意します。
また、クリスマスローズは乾燥した地域の原産なので、日本の夏のような蒸し暑い気候は苦手です。強い日差しも葉焼けの原因になるため、夏は直射日光が当たらない、風通しのよい場所に移しましょう。
苗から育てる際の選び方
クリスマスローズの苗は、主に以下の3種類に分けられます。
- 開花株:既に開花しているもの
- 開花見込み株:今シーズン咲く予定のもの
- ポット苗:来シーズン以降に咲くもの
早く花を見たいなら開花株や開花見込み株を、育てる過程を楽しむならポット苗を選ぶとよいでしょう。
また、苗には種から育てた『実生苗』と株から育てた『メリクロン苗』があります。クリスマスローズは種によって花の咲き方が変わるため、実生苗は開花するまでどのような花を咲かせるのかが分かりません。
一方のメリクロン苗は、必ず元の株と同じ花が咲きます。花の色柄を指定して開花見込み株やポット苗を選びたい人には、メリクロン苗がおすすめです。
苗を選ぶときは、葉の色ツヤや芽の太さ、根の張り具合をチェックしましょう。花芽や葉がたくさんついているものよりも、根茎がしっかりとしていて芽が太いものの方が、花を咲かせやすいとされています。
クリスマスローズの育て方【実践編】
クリスマスローズは、種まきと苗のどちらでも栽培可能です。クリスマスローズの植え方や育て方を、具体的に見ていきましょう。
乾燥に注意したい「種まき」
種から育てる場合は、花をつけるまで2~3年待たなければなりません。しかし自分で種から育てたクリスマスローズには愛着がわき、開花したときの喜びもひとしおでしょう。
種まきに適した時期は9~10月です。種は花が咲き終わった5月頃に採取できますが、すぐにまいても発芽はしません。9月までは、乾燥に注意して日陰で保管しておきましょう。
種をまくときは、必ず新しい土を用意します。市販の培養土や『赤玉土8:バーミキュライト2』などの割合でブレンドした土を使いましょう。
種同士が重ならないように均等にまいたら、やさしく土をかぶせてたっぷりと水やりをすれば完了です。
苗から育てるなら「植え付け」
クリスマスローズの苗は、成長が始まる10~12月または花が終わる3月頃に購入し、鉢や庭に植え付けます。
植え付けの手順は以下の通りです。
- 根を軽くほぐし、水に浸けて古い土を全て落とす
- 傷んで黒く変色した根を取り除く
- 芽が隠れないよう、浅めに植え付ける
鉢植えにする場合は苗のポットよりもふた回り大きなサイズの鉢を用意します。根が伸びやすいように、深さのあるものを選びましょう。
水やりと肥料の頻度
水や肥料を与える頻度は、季節によって変わります。10~5月までは成長が盛んな時期なので、水切れや肥料不足に注意が必要です。
水は基本的に、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。鉢植えの場合は鉢底から流れてくるまで与え、受け皿の水は捨てておきましょう。冬は根が凍るのを避けるため、晴れて暖かい日の午前中に水やりを済ませます。
肥料を与える時期は、10月と4月の2回です。緩効性の化成肥料を植替え用の土に混ぜておくか、株の周りに適量まきます。
鉢植えは水やりのときに肥料分が流れてしまうため、肥料不足になりがちです。このため、成長期(10~5月)に肥料が不足しているようなら、週に一度を目安に液体肥料で補うとよいでしょう。