アロマティカスの育て方と栽培方法|手入れの仕方や増やし方も
アロマティカスは、食用としても観賞用としても人気の多肉植物。「アロマ」と名前がつくように、ミントに似た爽やかな香りと味わいを持つハーブとしても知られています。インテリアにもぴったりで、育て方も難しくないため、初心者でも育てやすい植物です。
アロマティカスを育てる前に知っておきたいこと
アロマティカスは、インドや南アフリカを原産とするシソ科プレクトランサス属の多年草です。ミントのような良い香りを持っていることから、「育てる芳香剤」といわれています。アロマティカスはペースト状にして料理にトッピングしたり、紅茶やリキュールの香りづけにしたり、アロマ精油のように香りを楽しんだり、さまざまな活用方法があります。原産地では、火傷や炎症が起きたときに、メディカルプランツとして利用しています。
アロマティカスの基本情報
アロマティカスの基本情報は以下の通りです。
科・属:シソ科・プレクトランサス属 和名:キューバンオレガノ、スープミント 英名:Aromaticus、cuba oregano 学名:Plectranthus amboinicus 花の色:白、青、紫 原産地:インド、南アフリカ 開花時期:4月~8月
アロマティカスの特徴
アロマティカスは、爽やかな香りを持つ多肉質のハーブです。4月から8月の間に、1cmほどの小さな花をまれに咲かせ、草丈は20cmから大きくても50cmまで成長します。近年では観葉植物としても楽しまれていますが、香りの良さからハーブやアロマとして長く活用されています。多肉植物の多くは乾燥地帯で生息していたこともあり、アロマティカスもまた、乾燥気味の環境を好みます。見た目も可愛いうえに、病気や害虫に強い性質から、初心者からも人気の植物です。
アロマティカスの種類と苗の選び方
アロマティカスのようなプレクトランサス属には、およそ200種類もの品種があります。インドや南アフリカ以外にも、アジアやオーストラリアの熱帯・亜熱帯地域にさまざまな品種が生息しています。プレクトランサス属は種類が豊富で、枝や茎が地面を這うように伸びる匍匐性の品種や、上に向かってまっすぐ伸びていく立ち性タイプの品種もあります。ミントに似た香りを放つミントリーフや、ローズマリーに似た爽やかな香りのサルコステムモイデスも、プレクトランサス属に分類されます。苗を購入するなら、葉の色が鮮やかで、茎や根元がしっかりした、葉にボリュームのある苗を選ぶようにしましょう。
アロマティカスを育てる時に必要な準備
アロマティカスは、成長速度も速く、育てる難易度も易しい植物とされています。アロマティカスが好む環境を整えてあげることで、どんどん健康な葉を成長させます。季節ごとに育て方が異なるため、基本的には鉢植えで育てるとよいでしょう。
日当たり・置き場所
アロマティカスは日光を好むため、生育期の春と秋には、風通しがよく、日光がよく当たる場所に置くようにします。直射日光が当たる場所だと、葉焼けしてしまう可能性もあるので、夏は日差しを避けて、半日陰の場所に移してください。
温度・湿度
アロマティカスは高温多湿が苦手で、耐寒性の低い植物です。暖かく、乾燥した環境を好むので、夏の蒸し暑さと冬の寒さ、霜や雪には注意が必要です。夏場は日当たりがよすぎる場所から風通りのよい場所に移動し、冬場は気温が10℃を下回ったら室内で適切に管理しましょう。
用土・土作り
アロマティカスを育てる用土は、観葉植物用の水はけのよい土が適しています。自分で土作りするなら、赤玉土小粒7:腐葉土1:川砂2の割合か、赤玉土小粒8:バーク堆肥2でブレンドした用土がおすすめです。観葉植物用の用土が水はけが良すぎる場合は、多肉植物向けやハーブ向けの培養土がホームセンターや園芸店で購入して使用してもよいでしょう。反対に水はけが悪いときは、改良用土のパーライトや川砂を混ぜてあげると、土の水もちが改善されます。
アロマティカスの育て方・栽培方法
アロマティカスは、育て方や栽培方法のコツを掴めば、初めて育てる人でも容易に育てられます。
アロマティカスの種まき、苗木の植え付け時期と方法
アロマティカスの苗木の植え付けは、3月~10月辺り、春から秋にかけて行います。耐寒性が低いので、冬の植え付けは適しません。またハーブの中でも、バジルやタイムは種から育成できますが、ミントやローズマリー、アロマティカスなどは、種からの育成が難しいといわれています。アロマティカスは鐘からではなく、苗木の植え付けか挿し芽で育てましょう。
アロマティカスの土作り・水やり・肥料の与え方
アロマティカスなどの多肉植物は、葉に水分を貯め込む性質があるため、ほかの植物に比べて、より乾燥を好みます。できるだけ乾燥した状態が適しているため、水のやり過ぎには注意が必要です。水を与え過ぎると根腐れを起こしてしまうので、春や夏は土がしっかり乾いてからたっぷりと水をあげます。生育がゆっくりになる冬は水を控えた方が耐寒性が高まることから、月に1、2回程度の水やりで留めておきましょう。肥料は基本的に必要ないので、葉色が悪いときだけ薄めた液体肥料を根元に与えてください。
アロマティカスの植え替え・鉢替えの時期と方法
アロマティカスは繁殖力が旺盛な植物なので、鉢が根でいっぱいになり、根づまりを起こしてしまいます。根がつまると根腐れが発生してしまうため、鉢底から根がはみ出てきたときや、鉢と比較して株が大きい場合は、株分けをして植え替えましょう。目安としては1年に1回程度でよいので、春から夏前までには一回り大きい鉢に植え替えてください。
アロマティカスの手入れ・剪定・切り戻しの時期と方法
アロマティカスは生育が盛んなので、すぐに生い茂ります。茂り過ぎて蒸れてしまうと、葉が黄色に変化して枯れていくため、湿気が多くなる梅雨の時期や夏場は繁茂した箇所はカットして風通りをよくしてあげましょう。根元の葉を間引いて剪定した茎や伸びすぎて切った枝は、挿し芽で増やすことが可能です。
アロマティカスの収穫時期と方法
収穫時期は特になく、1年を通して使いたいときに収穫できます。定期的に収穫することで、暫定の手間も省け、苦みの少ない新しい葉を摘んで使えるようになります。小まめに収穫しても、どんどん成長するので、見た目のよさを保つためにも適時収穫しましょう。
アロマティカスの増やし方
アロマティカスは、株分けか挿し芽で増やせます。剪定した枝や茎を土または水に挿して生育させる方法があります。元気そうな枝の先を5cm程度、2~3節ほどの長さにカットして、下葉を取ったら植え付けます。
アロマティカスのプランター栽培の方法
アロマティカスをプランターで栽培する際には、用土を事前に湿らしておいてから、土に穴を空けて挿し込みます。挿し終えたら水をたっぷり与えて、風通しのよい半日陰の場所で管理しましょう。土を乾かさない程度の水をやり、1~2週間ほどで根付くようになります。どんどん増えて大きくなった株は、切り分けて新しい鉢へ植え付けてください。
アロマティカスの水耕栽培の方法
アロマティカスは、挿し木のほかに水挿しでも増やすことが可能です。カットした枝の切り口を水挿ししてあげると、およそ数日から1週間ほどで発根します。根が伸びたら鉢へ植え替えてもいいですし、そのまま水耕栽培で育ててもよいでしょう。水挿しは根の成長が日々変わる様子を楽しめるため、水は小まめに取り換えて、風通しのよい場所に置くようにしてください。
アロマティカスを育てるときの注意点と気をつける病気や害虫
アロマティカスを育てる際に気をつけておきたい注意点と、発生することもある病気や害虫を確認しておきましょう。
アロマティカスの夏越し
アロマティカスは高温多湿な環境を苦手とするため、日本の夏には弱い特性があります。また葉が生い茂ってくると蒸れる原因になるため、定期的に間引いて風通しをよくしてあげてください。日当たりのよさを好みますが、直射日光が強すぎると葉やけを起こすので、半日陰で生育させましょう。
アロマティカスの冬越し
アロマティカスは夏の多湿な環境にも弱いですが、冬の寒さも苦手とします。特に10℃以下の場所に置いておくと、強い直射日光が当たったときと同様に、徐々に葉色が黄色になり、茶色になって枯れてしまいます。アロマティカスが弱ってしまう前に室内に入れて、明るい風通しのよい窓際などに移動させてください。日光不足でも葉が黄色に変色するだけでなく、葉同士の間隔が大きくなり、徒長してしまうので、光が差し込む場所で育ててあげましょう。
アロマティカスの注意すべき病気・害虫
アロマティカスは病気や害虫に強い植物ですが、時として病害虫が発生してしまう場合があります。寄り付きやすい害虫はアブラムシやカイガラムシ、ナメクジなどで、虫や病気が寄り付かないような環境を整えてあげることが大切です。アブラムシは風通しが悪く、株が密植した状態のときに発生しやすくなり、植物の汁を吸って生育を阻害します。カイガラムもアブラムシ同様に、植物の汁を吸い上げ、さまざまな病気を引き起こす害虫です。ナメクジは植物の葉や花びらをなどを食べ、生長不良の原因になります。多湿の場所を好むため、鉢やプランターの裏や土の中を小まめに確認することをおすすめします。
まとめ
アロマティカスは、丸くて肉厚の葉から、爽やかな香りがする多肉植物です。見た目は華やかではありませんが、観葉植物としてだけでなく、食用やハーブ、アロマとしても広く活用できます。さまざまな楽しみ方ができるアロマティカスは、育てやすいと人気の植物なので、ぜひ一度育ててみてはいかがでしょうか。