アスパラガスの育て方と栽培方法|品種や手入れの仕方、コツ・注意点も
アスパラガスの特徴
アスパラガスはキジカクシ科(旧分類ユリ科)の植物です。英名:Asparagus、別名:オランダキジカクシ、オランダウド、マツバウド。通称「アスパラ」と呼ばれている春野菜のひとつです。私たちが食用としてしている部分は「若茎」の部分で、茎にある三角形部分が葉にあたり「はかま」といいます。葉のように見える部分は枝にあたり「偽葉(仮葉)」と呼ばれています。
茹でる・炒める・揚げる・焼くなど、さまざまな調理法に対応できます。メインディッシュからサブディッシュまで、活用の幅も広くなっています。
アスパラガスの品種・種類
アスパラガスの種類は、品種や栽培方法により、さまざまな種類があります。
グリーンアスパラガス
最も多く市場に出回り、茎が緑色で適度な歯ごたえ、風味豊かで甘みもある。冬場はメキシコ産などの輸入ものが店頭に並ぶ 品種は「ウェルカム」「スーパーウェルカム」「グリーンタワー」など
ホワイトアスパラガス
グリーンアスパラガスに日光を当てずに栽培したもの。日本では当初、缶詰用にホワイトアスパラガスがメインに栽培されていた
ミニアスパラガス
グリーンアスパラガスを早採りしたもの。細くてミニサイズなので調理しやすい。タイからの輸入ものが多い
紫アスパラガス
アントシアニンにより全体が紫色のアスパラガス 品種は「バーガンディ」「さぬきのめざめビオレッタ」など
さぬきのめざめ
香川県発祥のロングアスパラガス。すらりと伸びて穂先が締まっているのが特徴
アスペルジュ・ソバージュ
アスパラガスに似た山菜の一種、「ワイルド・アスパラガス」とも呼ばれている。大半はフランス産の輸入もの
アスパラガスの育て方・栽培方法
アスパラガス栽培の特徴は、1年目、2年目は株を成長させ、3年目から収穫することです。その後、手入れがよければ10年間収穫が可能です。
アスパラガスの萌芽を活性化するには、地下茎をしっかり育てる必要があります。根っこ蓄えられた養分をエネルギーとして生育させるので、地下茎が充実していれば、太くて甘みも多いアスパラガスを収穫できます。収穫まで年月をかけるのは、安定した地下茎を育てるためです。軟白栽培は、日光当てずに育てる栽培方法です。ホワイトアスパラガスに用いられます。
栽培の種類と次期
アスパラガスの栽培は、種まきから始める方法と、苗付けから始める方法、2タイプあります。栽培時期は、3月~4月に種をまき苗を育て、2年目に植え付けします。苗付けの場合、市販されている時期に合わせ、秋植え9月~10月・早春3月~4月に行います。
種まき
アスパラガスの種まきは、普通の植物のように土にまくだけでは発芽しません。種の発芽を促すため、発芽促進処理(催芽処理)を行います。アスパラガスの種を24~48時間ほど水に浸し、吸水させましょう。十分に水分を含んだ種を、間隔をあけ点まきします。プランター栽培であれば約30cm間隔、育苗であればポットに2~3粒を入れます。
大苗
アスパラガスの栽培は、種まきからも栽培はできますが、苗付けから始めるのが一般的です。「小苗」から始める場合、収穫は3年目からになりますが、早く収穫したい場合は、1年目から収穫できる「大苗」植え付けから始めましょう。大苗は、数年間すでに栽培されている根株です。ホームセンターなどで市販されています。
アスパラガス育て方のポイント
キュウリ・トマト・ナスなどの家庭菜園で育てやすい野菜に比べ、アスパラガスは収穫まで時間を要します。根気よく育てれば、10年以上収穫できます。早く収穫したい場合は、市販されている大苗から始めましょう。育成中は、伸びた茎が倒れないよう支柱を使い茎を支えます。また、収穫が終わり枯れた葉や茎は刈り取り、害虫で根が腐らないようにします。
土壌作り
アスパラガス栽培にも土壌作りは大切です。プランター栽培には、家庭菜園用の培養土が便利です。または、赤玉土の小粒:7、腐葉土:2、バーミキュライト:1で配合した土壌を作りましょう。アスパラガスは酸性の土壌を嫌うため、適正酸度はpH6.0~7.0を目安となります。庭や畑で栽培する場合は、植え付けの2週間ほど前に苦土石灰で土壌をならしておきます。その後、元肥や堆肥でさらによくなじませましょう。プランター、庭や畑も水はけのよい土壌は基本になります。
肥料
アスパラガスは地下茎である根をしっかり育てなければならないので、元肥や堆で耕しましょう。栄養分がバランス良く配合された肥料がおすすめです。肥料は収穫月の5月~6月に月1回、茎葉が枯れた12月にも追肥しましょう。
支柱
アスパラガスの植え付け後は管理が大切です。アスパラガスは成長とともに背丈が高くなるため、草丈が60cmほどの高さになったら支柱を立て、倒伏防止をしっかり行いましょう。プランターであれば、プランターの四隅に支柱を立て、支柱の周囲に紐を回し、背丈が高さに合わせ紐の位置を移動させます。
育成
(1年目)栽培のために準備します。
- プランターなど用具を揃える
- 土壌作り、種の発芽処理、種まき
- 発芽した苗を育てる
- 若茎が出たタイミングで間引きする(プランターに2株が目安)
- 追肥(2週間に1度を目安、草木にかからないように)
- 乾燥させないよう、水やりを忘れず行う
- 高くなった草丈に合わせ支柱対策をする
- 冬枯れした部分をカットする
(1~2年目)収穫に向け株をしっかり育成します。
- 春の新芽(1年目と同様に育てる)
- 収穫はせず3年目の収穫に向け株を育てる
収穫は3年目以降
アスパラガスの収穫は3年目から行います。収穫のタイミングは、葉茎が20~25cmの高さに成長し、穂先が締まっているものから根元部分を切り取ります。成長しすぎると、アスパラガスのすじが硬くなるので注意しましょう。
【春芽収穫】収穫時期は5月~6月
春に出た若芽を収穫します。6月以降の新芽は、来期に備え収穫せずそのままにし、栄養分を根に蓄えさせます。
【夏芽収穫】収穫時期は7月~8月
春芽収穫ですべてを収穫せず、1株あたり4~5本の茎を株に養分蓄えさせながら育てます。その後、また萌芽する夏芽は、8月頃まで収穫できます。
アスパラガス栽培と日当たり
アスパラガスは日当たりのよい場所を好むので、年間通して日が当たる場所を維持しましょう。夏場は日差しが強すぎ葉が傷んでしまうので、日よけをするか、プランターを風通しのよい日陰に置くようにします。冬場は日当たりのよさも大切ですが、霜よけ対策も心がけましょう。
アスパラガスを栽培するときの注意点
アスパラガスを栽培する注意点は3ポイントあります。広いスペース、根気づよさ、冬越え対策です。地下茎を充実させるため十分な広さの場所と年月、四季に合わせたこまめな作業が必要です。スペースの確保は、畑や庭などの広さがあれば理想ですが、深さもある大き目のプランターであれば十分育てられます。
プランターサイズは大きめに
アスパラガスは根の地下茎が深く育っていくので、深さのある大きめのプランターを選びましょう。深さ30cm以上、幅60cm以上がベストサイズです。アスパラガスを株分けするときは、プランターに2株を目安にしましょう。
長期戦で栽培
アスパラガスの栽培は、家庭菜園の中でも長期戦になるので根気が必要です。かんたんな夏野菜などは、春に植えて夏には収穫できます。アスパラは、1~2年目の育成中が重要な時期になり、3年間はしっかり株を育て、3年目に初めて収穫できます。念願の収穫まで、楽しみながらゆっくりじっくり育てましょう。