カルミアの育て方と栽培方法|手入れの仕方や増やし方、注意点も
カルミアは、小さいパラソル状の花をたくさん咲かせる常緑樹です。シャクナゲに似た葉を持っているので「アメリカシャクナゲ」の別名もあります。苗木から育て始めるのがおすすめで、地植えと鉢植えのどちらでも楽しめます。
カルミアを育てる前に知っておきたいこと
常緑低木のカルミアは、北アメリカからキューバに7種ほどが分布しています。一般的に日本で流通しているカルミアは、ラティフォリア種(Kalmia latifolia)です。
カルミアの原産地のアメリカでは、岩の多い森林地帯にも自生しています。インディアンがカルミアの木の根からスプーンを作り、使っていたということからも、カルミアが生活に溶け込んでいた様子が伺い知れます。
カルミアの基本情報
カルミアの基本情報は以下の通りです。
科・属 | ツツジ科、カルミア属 |
和名 | アメリカシャクナゲ(アメリカ石楠花) |
英名 | Kalmia |
学名 | Kalmia latifolia |
花の色 | 赤、ピンク、白、茶、紫 |
原産地 | 北アメリカ東部 |
開花時期 | 5月上旬~6月中旬 |
カルミアの特徴
カルミアは晩春にコンペイトウ状のつぼみを付け、初夏から梅雨時期にかけて2cmほどの大きさの花を房状に咲かせます。花はパラソルのような形状、赤やピンクなどの色がかわいらしい花木です。
カルミアの葉は光沢のある濃緑色で、長さは7〜10cmほどです。葉の形が似ている木の名前を取り、「アメリカシャクナゲ」や「アメリカンローレル」とも呼ばれます。
ツツジ科の木には有毒物質を含むものがあり、カルミアも同様です。カルミアの葉や花の蜜には神経麻痺や腹痛、嘔吐と下痢などを引き起こす毒があります。手で触る、ちぎるくらいなら問題ありませんが、子どもやペットが誤食しないようには十分注意しましょう。
カルミアの種類と選び方
カルミアは大きくは「ラティフォリア種」と「ポリーフォリア種」、「ポリーフォリア種」の3種に分かれ、多くの園芸品種は「ラティフォリア種」に属するものです。 ・カルミア・ラティフォリア:もっともポピュラーなカルミアの園芸品種。花びらは白く、つぼみは薄ピンク色で、樹高は30〜300cmほどに生長します。 ・レッドクラウン:複色の花を持ち、薄ピンク色の花びらの一部が濃い紅色に色づきます。50〜300cmほどの高さに生長。 ・オスボ・レッド:樹高が40〜300cmほど、地植えと鉢植えの両方で楽しめる品種。赤とピンク色の花びらを付けます。
カルミアを育てる時に必要な準備
カルミアは同じツツジ科のシャクナゲと性質が似ています。日当たりが良いと花付きが良くなりますが、暑さと湿気を避けられる涼しい場所で管理しましょう。土は弱酸性で、水はけが良いものを選びましょう。
日当たり・置き場所
カルミアは日当たりを好む反面、暑さと湿気が苦手です。ただし真夏の直射日光や西日にさらされると葉焼けしてしまうので、気をつけて栽培場所を選びましょう。
用土・土作り
ツツジ科のカルミアには、pH5.0~6.0(弱酸性)の土壌が向いています。水もちと水はけが良く、有機質が多く含んだ土を用意しましょう。
地植えで育てるときは、水はけの良い場所を選びます。水はけを良くするために土にパーライトや川砂を混ぜておき、さらに堆肥と腐葉土、ピートモスもプラスするとよいでしょう。
鉢植えで育てるときは、市販のツツジ・サツキ用の培養土を使うのが手軽でおすすめです。または山野草用の培養土と赤玉土を半々ずつ混ぜ合わせても。草花用培養土は中性なので、カルミア向きではありません。自分で配合するなら鹿沼土6:腐葉土4、または小粒の赤玉土4:ピートモス3:鹿沼土2:バーミキュライト1の割合にしましょう。
苗木の準備
カルミアの苗木は11〜5月上旬ごろに流通します。下枝までしっかりと枝葉が付いているもの、枝が太くて濃緑色の葉が付いているもの、つぼみがたくさん付いているような苗を選びましょう。
カルミアの育て方・栽培方法
カルミアは苗から育て始めるのが一般的です。もし購入した苗が小さく、頼りなさそうなときは、いきなり地植えせずに鉢植えで1年ほど育ててからにするとよいでしょう。
カルミアの苗木の植え付け時期と方法
カルミアの苗木の植え付けは3月上旬〜4月上旬か、9月下旬〜11月上旬に行いましょう。根鉢をわらや麻布で包んである根巻き苗はそのまま、ポット苗はポットから苗を抜いて植え付けます。
根を傷つけてしまうと回復するのに時間がかかり、その後の生育が鈍ってしまうことも。植え付けのときは根が切れてしまわないよう、ていねいに扱います。そして苗木を植え付けたら、たっぷりと水をあげましょう。
カルミアを地植えで育てる場合
カルミアを植え付ける場所に、根鉢の2倍以上の穴を掘ります。根が深く埋まりすぎないように苗を置き、苗の周りに土を入れて安定させましょう。苗がぐらついてしまうときは、支柱を添えて安定させましょう。
カルミアを鉢植えで育てる場合
用意した鉢に鉢底ネットを入れ、鉢底ネットと鉢底石を敷きます。そして土を鉢の1/3の高さまで入れましょう。カルミアの苗を鉢の中央に置き、安定するように土を足します。
カルミアの水やり・肥料の与え方
地植えのカルミアの場合基本的には水やりの必要はありませんが、夏の温度が高いときだけたっぷりの水を与えましょう。葉水を兼ねて朝に水やりをし、土が乾燥しすぎないようにします。冬の乾燥が気になる時期も、暖かくなった日の午前中に水をあげるとよいでしょう。
鉢植えのカルミアの場合、表土が乾いたときに水やりをします。水やりの目安は春と秋は1日に1回、夏は1〜2回、冬は2〜3日に1回です。基本的にはできれば朝や日が高くならない午前中に、鉢の底から流れ出るくらいの水をあげましょう。カルミアは湿気を嫌うため、鉢受け皿に溜まった水はすぐに捨てておきます。夏など乾燥が気になる時期は朝の水やりに加え、夕方涼しくなってから葉水をしましょう。
カルミアの植え替え・鉢替えの時期と方法
カルミアは根張りが浅く、根も細いので、ひんぱんに植え替えをするとかえってストレスになってしまいます。地植えの場合は、スペースに余裕があれば植え替えは不要です。
鉢植えの場合は植え替えは2〜3年に1回を目安にし、開花前の3〜4月上旬か9月下旬〜11月上旬に行うとよいでしょう。葉色が悪くなったり葉が小さくなったりしていると、鉢の中で根がいっぱいになる「根詰まり」になっている可能性があるので、植え替えが必要です。
今よりもひと回り大きな鉢と土を用意し、古い鉢からカルミアの株を抜きます。根鉢の下から上へと土を落とし、根をほぐして全体の1/3程度を崩したら、剪定バサミで根を切り落として整理します。そして新しい鉢にカルミアの株を植え付け、たっぷりの水をあげましょう。植え替え後1週間ほどは風を避けられる日陰で管理し、根がしっかり張るようにします。
カルミアの手入れの時期と方法
カルミアの木が疲労してしまわないよう、「摘蕾」をして花数を調整しましょう。カルミアはゆっくりと生長するため、手を入れずとも自然にこんもりとした樹形になります。ひんぱんな剪定は不要ですが、余分な枝を減らす「切り戻し」がおすすめです。
カルミアの摘蕾の時期と方法
カルミアの若木には、花芽がつきすぎてしまうことがあります。10月〜2月ごろにつぼみの1/3〜1/2ほどを摘み取る「摘蕾」をして、適度な花数になるよう調整しましょう。花が多すぎると木が疲労してしまい、翌年の花付きが悪くなってしまうことがあります。
カルミアの株全体のバランスを見つつ、間引きしたいつぼみがある房の下部分の枝を切り落としましょう。
カルミアの剪定の時期と方法
カルミアにはこまめな剪定は不要ですが、枝と枝とが重なり合っているところや若い枝が飛び出て樹形が乱れたところは「切り戻し」をしましょう。カルミアの切り戻しは、開花後なるべく早い時期から6月下旬までがおすすめです。