
すずらんの育て方と注意点。栽培環境や水やり方法などを徹底解説

春になると可憐な花弁を付けるすずらんは、見た目の印象に反してとても丈夫な植物です。初心者でも育てやすい花ですが、いくつか注意点もあります。すずらんの花を楽しめるように、栽培環境や管理方法についてチェックしましょう。
すずらんを育てる前に知っておくこと

白く小さな花弁を付ける『すずらん』は、清楚でかわいらしい見た目が人気です。ほのかな甘い香りを楽しみに、育てたいと考える人もいることでしょう。
そんな魅力的なすずらんですが、育てる前に知っておきたいポイントがあります。具体的な注意点をチェックしましょう。
葉・花・根の毒に注意
すずらんは、葉・花・根に毒が含まれています。特に、花や根に含まれる毒の量は多く、口にすると頭痛や心臓麻痺などの『体調不良を引き起こす可能性もある』のです。
最悪の場合は、命に関わることも考えられます。大人はもちろん、子どもやペットが口にしてしまわないように、手の届かない場所に植える・柵やカバーで囲うなど対処しましょう。
また、すずらんの毒は水に溶出するといわれています。触れた後は手を洗う・活けた水はすぐ捨てる・水やりの際に水が周囲に飛ばないようにするなどの注意を払いましょう。
種と苗、どちらから育て始める?

すずらんを育てる方法には『種をまく方法』と『購入した苗を植え付ける方法』の2種類があります。
初めて育てる場合は、どちらの方法が向いているのでしょうか?それぞれの特徴や基本的な育て方を見ていきましょう。
一般的なのは苗植え
すずらんは、種をまいてから花が咲くまで時間がかかる植物です。初めてすずらんを育てる人は『苗』から始めると、気軽に育てられるでしょう。
すずらんの苗植えに適した時期は『4~5月』と『10~12月』です。
鉢植えの場合は、苗が鉢の中で窮屈にならないように『苗よりも一回り大きな鉢』を準備しておきましょう。地植えの場合は、明るい日陰に植えます。
鉢植え・地植えどちらのケースでも、苗の根に付いた土を軽く落としてから植えることがポイントです。また、苗が倒れない程度に、少し浅めに植えるようにしましょう。
種からでも栽培は可能
すずらんを種から育てる場合は『花が咲くまでに数年かかる』だけでなく、そもそも園芸店で種を取り扱っていないことも珍しくありません。
そのため、種から栽培する方法は、育つ過程をじっくり楽しみたい人や種(果肉)を知人に譲ってもらった人におすすめです。
すずらんの種まきは、花が咲き終わり、実ができる『5月ごろ』が適しています。あずき色の実の中に種が入っているため、その実から種を取り出しましょう。
果肉を水できれいに洗い流したら、乾く前に市販の種まき用の土にまきます。
なお、すずらんの種にも毒が含まれています。素手で触ることは避け、必ず軍手や手袋をして種の採取・栽培に取り掛かりましょう。
すずらんの基本の育て方

すずらんは、元々は山や林に自生する植物で、環境さえ整えれば育てやすい植物です。きれいな花を楽しむためにも、育てるときの基本的なポイントを見ていきましょう。
栽培環境
すずらんは、日当たりのよい場所を好む植物です。ただし、あまりに日当たりがよすぎると、乾燥で枯れてしまうことも少なくありません。
植えるときは『直射日光が当たらない明るい日陰』を選ぶことがポイントです。また、高温多湿な環境が苦手なため、梅雨~夏の間は、風通しのよい場所で管理しましょう。
鉢植えと違って移動が難しい地植えの場合は、適度に湿気がある日陰を選ぶことで、すずらんを厳しい暑さから守ることが大切です。
なお、すずらんは秋に入ると枯れてしまいますが、これは『休眠期(一時的に成長を停止する期間)』に入る前触れであり問題ありません。枯れるまでは葉や根を傷めないように注意を払いましょう。
用土の準備
すずらんを植える土は、有機質をたっぷり含むものを準備しましょう。
鉢植えの場合は、赤玉土・腐葉土・軽石を6:3:1で混ぜたものを使用します。配合に慣れていない・簡単に始めたいという人は、市販の『草花用の培養土』を使用するとよいでしょう。
一方、地植えの場合は、植え付けたい場所の土を掘り起こし、腐葉土や堆肥を混ぜ込んでおきます。適度に湿気がある土であれば、水やりの手間を減らせるでしょう。
鉢植え・地植えどちらの場合でも、水はけと水もちのバランスがとれた用土を準備することが大切です。水はけが悪いと根が腐り、水もちが悪いと乾燥で枯れてしまいます。
水やりの方法
鉢植えと地植えで水やりの方法・ペースが異なります。鉢植えは、土の表面が乾いたときにたっぷり水を与えましょう。特に夏は土が乾燥しやすいため、小まめに水やりすることが大切なポイントです。
冬~秋にかけては、休眠期に入るため水やりはほとんど必要ありません。土に触れて湿り具合を確認し、乾燥しているようであれば、湿らせる程度に水をやるとよいでしょう。
地植えの場合は、湿気のある土であれば、水やりなしでもOKです。ただし、梅雨時は根が腐らないように雨除けをする・冬場は乾燥を気にかけることを忘れないようにしましょう。
肥料の与え方
すずらんは、基本的に肥料を必要としません。植えた直後~花が咲く前は、適度に水やりをするだけで、きれいに育ってくれるでしょう。
すずらんに肥料を与えるタイミングは『花が咲き終わる5~6月ごろ』です。この時期に、地下茎へ肥料を与えておくことで、翌年もかわいい花を咲かせてくれます。
鉢植えの場合は、緩効性肥料を与えましょう。地植えの場合は、牛糞や骨粉などの有機質の肥料を与えます。
ただし、あまりに多くの量を与えてしまうと枯れる原因になるため注意が必要です。購入した肥料の表示をチェックして、適切な量を与えましょう。
花を長く楽しむための管理方法

すずらんの開花を楽しめるのは『2週間程度』です。花を長く楽しむためにも、管理方法もチェックしておきましょう。合わせて植え替えや株分けについても紹介します。
病気・害虫の対策方法
すずらんは、毒性があることから『害虫が寄り付きにくい』花です。基本的に害虫の心配がないため、虫が苦手な人にとっても育てやすい植物といえるでしょう。
また、すずらんは野山で育つ植物であることから『丈夫で病気にかかりにくい』植物でもあります。適度な水やりを忘れず、地面の湿気をコントロールできれば、問題なく育ってくれるでしょう。
植え替えは定期的に
植物は、地面に張った根から生きるのに必要な水やミネラルを吸収しています。
同じ場所に植え続けていると、必要な栄養が吸収できなくなるほか、根を伸ばす空間がなくなるなどの理由から枯れてしまうこともあるのです。そのため、定期的な植え替えを忘れないようにしましょう。
すずらんの植え替えは、休眠期である『4~5月』または『10~12月』に行うとダメージを防げます。
鉢植えは1~2年、地植えは3~5年ごとの植え替えが望ましいです。なお、すずらんが成長している時期に行ったり植え替えを怠ったりすると、枯れてしまうことがあります。
大事に育てるためにも、植え替えの時期やタイミングは忘れずに行いましょう。
増やすときは株分けで
すずらんが成長して大きくなったら、株を二つ以上に分ける『株分け』をしましょう。株分けをすることで、1株が小さくなり、空間ができることで成長がよくなるのです。
また、数を増やすことで、すずらんの花をたくさん楽しめる・友人や家族に分けられることもメリットといえます。
すずらんの株分けは『植え替えと同じ時期に行うとよい』でしょう。植え替えをするときは、地下茎を掘り起こし、軽く土を落とします。
その後、ハサミやナイフで『4~5個の花芽が付くサイズ』に切り分け、苗植えと同様に地面に植え付けましょう。
まとめ
すずらんは、とても丈夫な植物です。適切な環境さえ用意すれば、初心者でも育てやすいでしょう。ただし、すずらんには毒があるため、素手で触れる・口にしてしまうことがないように注意が必要です。
また、何年もきれいな花が楽しめるように、適度な植え替えや株分け、水分量のコントロールなどを忘れないようにしましょう。