サルスベリの花を毎年楽しむための剪定方法。時期と方法を徹底解説
サルスベリは生育がとても盛んな樹木であるため、剪定方法について学んでおくことはとても大切です。どのタイミングで、どのように剪定するか、また世話をする際のポイントやおすすめの道具についても一挙に紹介します。
サルスベリの基礎知識
サルスベリは、公園・街路樹・庭など、多くの場所で見られるポピュラーな樹木です。夏から初秋にかけて、白やピンクなどの可憐な花を咲かせ、見る人の心を和ませます。
まずは基本情報をチェックしましょう。
生育旺盛な落葉樹
ミソハギ科・サルスベリ属に分類される中高木植物です。幹肌が白くツルツルとしており、猿も木登りの際に滑りそうということから、『猿滑(サルスベリ)』と名付けられました。
花の色はピンク・赤・白・紫などがあり、開花時期は7~10月ごろです。秋には、紅葉・落葉し、実がなり種子を作ります。冬は休眠期となり、4~5月にまた新芽や枝が生えるという年間サイクルです。
開花が長いことも魅力
サルスベリは、別名『百日紅(ひゃくじつこう)』とも呼ばれます。これは、年間約100日にもわたって開花し続けるためです。
ブラックパール・ナツマツリ・カントリーレッド・ペチートサンシャインなど30種類以上の品種があり、樹高も品種によって3~7mと幅広いです。
大きくならないよう改良された『矮性品種』は、花壇や鉢植えで自宅のワンポイントとして、背が高い品種なら、庭の中心的存在ともいえる『シンボルツリー』としてなど、さまざまな楽しみ方ができます。
サルスベリの剪定は年に2回
サルスベリは生育が早いので、年に2回の剪定が必要です。木が成長しすぎることを防ぐだけでなく、樹形を美しく保ったり開花時期を長くしたりする効果も期待できます。
夏と冬の適切な時期に1回ずつ行いますが、それぞれ剪定方法も異なるため注意が必要です。
夏の剪定
8月初旬~中旬ごろに軽めの剪定を行います。人間に例えれば『伸びた髪をきれいに切りそろえる』といった感覚です。
方法は、開花している花房の枝を、付け根から2~3節目で切っていきます。
「せっかくきれいに咲いているのに、花を切るのはもったいない」と思うかもしれません。しかし、この作業によって、切った枝先からさらに新しい枝が伸び花を咲かせるため、より長い期間で開花を楽しめるのです。
不要な枝や葉についても、軽く剪定します。全体の樹形を整えると同時に、日当たりのよさと通気性を確保しましょう。
冬の剪定
落葉し、枝の形が判別しやすい冬こそが、本格的な剪定タイムです。12~3月の休眠期間に、枝を根元から剪定する『切り戻し』を行うことで、翌シーズンの新しい枝・芽の成長を促します。
人間で例えるならば『切りそろえるだけでなく、不要だったり傷んだりしている毛髪をバッサリと切り、より健康な状態を作るプロセス』あるいは『ヘアスタイルそのものを変える時期』といえるかもしれません。
不要な枝を剪定し、全体をバランスよく仕上げましょう。また、夏同様に日当たりと通気性をよくすることも大切です。
剪定後には、枝の切り口に『癒合材(ゆごうざい)』を塗っておくと、傷を癒すだけでなく菌が侵入することも防げます。
サルスベリを剪定するときのポイント
剪定は、適当に枝を切り落とせばよいというわけではありません。どんな箇所を切るのか、注意するポイントはどんな点かなどを知った上で作業しましょう。
ここでは、夏と冬どちらにも共通するポイントにフォーカスして説明します。
不要枝を切り取る
まず、枯れ枝や枯れ葉を取り除き、その後に不要枝を根元から切っていきます。不要枝とは、具体的には次のようなものです。
- 逆さ枝:内側へ伸びている
- 下がり枝:下向きに成長している
- 交差枝:ほかの枝と交差しており、通気性を悪くする
- ひこばえ:木の根元から生えてきた若芽や枝
- 胴吹き(どうぶき)枝:幹や枝の途中から生えてきた枝
- 徒長枝:以前剪定した枝の切り口付近からまっすぐ生える発育のよい枝
- 平行枝:ほかの枝と同方向に平行に伸びる枝
これ以外でも、樹形を乱す枝は切り取りましょう。特に込み合っている箇所は、枝を間引いて日当たり・風通しをよくすることが大切です。
同じ場所を切るとこぶができる
サルスベリの枝は、同じ箇所を何度も繰り返し切ると、切り口が肥大してゴツゴツした『こぶ』ができてしまいます。
「こぶがある方が好き」という人には、あえてこぶを肥大化させる『こぶ仕立て』という剪定方法がおすすめです。
逆に「こぶがあると見苦しい」「もっと自然な樹形がよい」という人は、肥大したこぶの下から枝ごと切り取りましょう。その後、切り口には『癒合剤』を塗布して保護をします。
また、なるべくこぶを発生させないためには、毎回少しずつ位置をずらして剪定することがコツです。
サルスベリの基本の育て方とコツ
サルスベリは、比較的育てやすい樹木だといわれますが、やはり生き物である限りは基本的な特徴や世話の方法を知った上で対応することが大切です。
『地植え』か『鉢植え』かによっても異なるので、それぞれに適した方法をとりましょう。
育てる場所
まず『地植え』の場合です。夏の暑さや直射日光にも強いので、とにかく年間を通じて日当たり・水はけのよい場所に植えることが大切です。
日当たりが悪いと、花が咲きづらくなります。カビの発生を防ぐため、通気性のよい場所であることもポイントです。
『鉢植え』の場合も、地植えと同様に日当たりのよい場所に置きますが、水切れには注意します。
水やり方法
『地植え』の場合は、植え付け後の期間によって世話の仕方が変わります。
植え付けてから1年未満の若い木は、まだ根の張りも吸水力も弱いものです。そのため、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。