ウォーターマッシュルームとは？花の特徴・花言葉・育て方・手入れ方法を紹介
ウォーターマッシュルームは、丸く愛らしい葉が特徴的な多年草です。水草としての利用が一般的ですが、鉢植えでも栽培できます。別名ウォーターコインとも呼ばれ、ビオトープでも人気です。今回は、ウォーターマッシュルームの育て方などを詳しく紹介します。
ウォーターマッシュルームとはどんな花？
北アメリカに分布するウォーターマッシュルームは、ウコギ科に属する水生多年草です。葉がコインように丸いことからウォーターコインとも呼ばれ、元々は観賞用として各地に導入されました。現在では野生化し、日本を始めとするアジアやヨーロッパ、北アフリカや南アメリカなどの広い地域で帰化状態にあります。水中に葉を沈めても育つため水槽の中や睡蓮鉢、金魚やメダカなどを飼うビオトープに利用されています。日あたりを好みますが、夏場は水温が上がり過ぎないよう日陰に移動するなど、管理には注意が必要です。
日本において、ウォーターマッシュルームが特定外来生物であると記載されていることがありますが、それは間違いです。実際に指定されているのは、「ブラジルチドメグサ」という同じチドメグサ属の別種になります。
ウォーターマッシュルームの基本情報
アクアリストに人気の高いウォーターマッシュルームは、ウコギ科チドメグサ属に分類される多年草です。学名はHydrocotyle verticillata var. triradiata、葉が丸いため和名ではウチワゼニクサと呼ばれています。北アメリカが原産で英名をWater pennywortといいますが、これもウォーターマッシュルームの姿や性質に由来するものです。(pennywort＝葉がほぼ丸い植物)
葉の鑑賞をメイン目的に栽培されることが多いですが、6～10月には小さく白い花を咲かせます。
ウォーターマッシュルームの特徴
ウォーターマッシュルームは大変丈夫で、鉢植えからアクアリウムなどの水草まで、水陸両用で育てられる使い勝手のよい水生植物です。栽培に際して、特に注意するべき病害虫もありません。最大の特徴であるまるい葉は、鉢植えなどで育つと5cmほどまで大きくなり、水中で育てた場合は水上葉に比べて小さめになります。他の水中生物との相性よく、生き物に食べられたり、その逆に被害を与えたりすることもありません。適応水温は16～30℃、水質はph弱酸性～弱アルカリ性、軟水～中硬水と広い範囲で順応します。繁殖力が強く、水中で地下茎を伸ばしどんどんと増えていきます。耐寒性はやや弱めですが、寒冷地を除いて屋外での栽培も可能です。
花名の由来
ウォーターマッシュルームという名前は、水辺で育つ性質とまるい葉がキノコのように見えることからつけられています。別名のウォーターコインも、葉がコインのように丸いことが由来です。また、和名のウチワゼニクサも、葉の形を団扇に見たててつけられています。
ウォーターマッシュルームの開花時期や見頃の季節
ウォーターマッシュルームの花が咲くのは、6～10月です。白い五弁からなる花はとても小さく、葉の間から立ち上がる花茎の先にいくつも蕾がまとまってつき、次々に花開いていきます。
ウォーターマッシュルームの花言葉と由来
初夏から秋にかけて小さな花を咲かせるウォーターマッシュルームにも、ちゃんと花言葉がついています。どのような言葉なのか、確認しておきましょう。
ウォーターマッシュルームの花言葉
ウォーターマッシュルームには、「希望」という花言葉がついています。緑の丸い葉や白い花を元気に伸ばすウォーターマッシュルームの姿にピッタリな花言葉ですね。なお、つけられている花言葉はこのひとつだけです。
花言葉の由来
繁殖力が旺盛なウォーターマッシュルーム。「希望」という花言葉は、「キノコのようにニョキニョキと生える様子を、希望の芽生えに例えた」や「細い茎が水中でも陸上でも場所を選ばすどこまでも伸びていこうとする様子を例えた」などいくつかの説がありますが、残念ながらどれも憶測の域を出ません。
誰がどのような思いで「希望」という花言葉をつけたのか、いつかはっきりとわかる日が来るといいですね。
ウォーターマッシュルームの種類・品種
ウォーターマッシュルームは、生育環境により葉の育つ大きさが変化しますが、いくつもの種類があるわけではないようです。ただし、改良により小型化されたものがあり、ミニマッシュルームやドワーフマッシュルーム、ピグミーマッシュルームなどの名前で販売されています。この品種の葉径は1cm程度で、基本的な育て方は通常のウォーターマッシュルームと変わりません。
ウォーターマッシュルームの育て方・栽培方法
ウォーターマッシュルームが購入できるのは、ホームセンターの園芸コーナーやガーデニング用の植物などを扱う園芸店および通販サイトです。状態を確認してから購入できる店頭販売がおすすめですが、あらかじめ水生植物の品揃えや入荷確認をしておきましょう。
それでは、ウォーターマッシュルーム栽培に適した用土や水やりの仕方、肥料の有無などを見ていきます。
用土
ウォーターマッシュルームの栽培には、水生植物専用土のほか、赤玉土、荒木田土も利用できます。田んぼの土である荒木田土は水が濁りやすいですが、株がよく育ちます。ビオトープで用いる場合には、洗って再利用ができるボラ土もおすすめです。
植え付け時期と方法
ウォーターマッシュルームを植え付けは、生育期の4～9月の間であればいつでも行えます。ビオトープで用いる場合、底に敷いた用土に直接植えると容器全体に根や茎が張ってしまいます。鉢植えにしたものを沈めた方が、後の管理が楽です。土を使わず、根を水ゴケで包んだり、ハイドロコーンを使ってハイドロカルチャーにしたりもできるので、栽培環境に応じて植え付けてください。涼しげなガラス容器や水槽などで育てれば、室内のインテリアにもなります。
植えつけ後、春～秋は屋外もしくは室内の日があたる場所で水温に気をつけながら管理してください。屋外で地植えもできますが、その場合は水に沈み過ぎない場所を選びましょう。
肥料と水やり
肥料 丈夫な性質のウォーターマッシュルームは、肥料を与えなくても枯れることはありません。ただし、葉を増やし花付きをよくしたい場合には、4～9月の生育期間中に少量あたえるようにします。液体肥料を用いますが、濃度が高いと根腐れを起こす可能性があるため、通常の倍に薄めたものを与えてください。
水やり ウォーターマッシュルームは、水切れを起こすと株の元気を失い、やがて枯れてしまいます。鉢植えで育てる場合には、スイレン鉢など水を入れた容器に鉢ごと沈め、株の根元に水がかかっている状態を保ちましょう。株のすべてが水に浸かっていても大丈夫です。水ゴケやハイドロコーンを用いた場合も、必ず株元が水に浸かっているように十分に注意してください。
ウォーターマッシュルームの手入れ方法や増やし方
ウォーターマッシュルームの栽培には、それほど難しいことはありません。ただし、生育旺盛な株ではあっという間に根が張ったり、他の水生植物や生き物を押しのけるように増えすぎてしまったりすることもあります。そうした場合には、植え替えや適度な剪定が必要です。株を枯らさないための冬の管理や、ウォーターマッシュルームを増やす方法と合わせて紹介します。
植え替えや鉢替え
ウォーターマッシュルームの植え替えや鉢替えは、生育期間中の4～9月の間に行います。2年に1回が目安ですが、根が詰まってきたら大きめの鉢や容器に植え替えましょう。現状よりも株を大きくしたくない場合には、地下茎を切って好みの大きさに整えてから植え替えてください。
剪定・切り戻し
生育中のウォーターマッシュルームは、茎を伸ばして大繁殖することがあります。鉢植えから伸びた茎が、スイレン鉢など外側の容器に敷いた土に根を張ってしまうことも珍しくありません。増えすぎたと感じたら、地下茎を切り戻しましょう。切り取った茎は、ウォーターマッシュルームを増やすのに使えます。
冬場の管理
ウォーターマッシュルームの耐寒温度は3度といわれており、温暖な地域であれば屋外でも冬越しができます。気温が下がってくると水面から出た葉が枯れてくることがありますが、水中の葉が枯れることはありません。水面が凍っても株そのものに影響はないので、水面から出ている葉は切ってしまいましょう。冬の間に枯れたように見えても、春になって気温が上昇してくると新芽が出てきます。スイレン鉢やビオトープなどでメダカなどが一緒にいる場合は、魚が生きていればウォーターマッシュルームも生きています。
ただし、根まで凍ってしまうと株そのものが枯れてしまいます。水の中まで凍ってしまうような寒冷地では、鉢ごと室内で越冬させる方が安全です。
ウォーターマッシュルームの増やし方
ウォーターマッシュルームは、株分けでかんたんに増やせます。株分けの適期は4～9月の生育期間中で、植え替えや切り戻しで切り取った地下茎を使うのがおすすめです。別の場所に植えておくだけで増えていきます。
例えば、屋外で育てている株の冬越しに不安がある場合など、あらかじめ株分けで増やしておきましょう。万が一枯れてしまった場合でも、増やしておいた株ですぐに更新できますよ。
ウォーターマッシュルームと同じ科の花
ウォーターマッシュルームが属するウコギ科には、チドメグサ属をはじめ約60属900種の植物があります。野菜や山菜など食用になるものや薬用に用いられるもの、庭木や観葉植物に利用されるものなどその種類は多彩です。今回はその中から、シェフレラ、タラノキ、ヘデラの3種類を紹介します。
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