椿の種類とおすすめ5選。上手な育て方のポイントや注意点も

2020 11/17
椿の種類とおすすめ5選。上手な育て方のポイントや注意点も

日本原産の花である椿は、寒く暗くなりがちな冬の景色に彩りを添えてくれます。その花の美しさから、海外でもガーデンプランツとして人気が高いようです。庭木としてだけでなく、食用や化粧品としても親しまれている椿の魅力と育て方を紹介します。

目次

椿とは

椿とは

椿は日本生まれの花木です。縄文時代の遺跡からも椿の種が発見されており、日本人にとっては古くから親しみのある花といえます。

人々を魅了し続けている椿について、名前の由来・種類を見てみましょう。

名前の由来

『椿』という名前が付けられた由来は諸説あります。

古語で『光沢があること』を『ツバ』といわれていたことから、葉に光沢のある木=つばき、という説があります。このほか、艶のある葉の木=艶葉木(ツヤハキ)、強い葉の木=ツヨハキ、厚みのある葉の木=アツバキ、という説もあります。いずれも椿の葉に人々が注目し、呼び名が付けられたようです。

また『椿』という字は、まだ寒い早春に花を付け『春を知らせる木』ということから、『木』と『春』を合わせ日本で生まれた国字といわれています。

どんな種類があるの?

万葉集にも登場するほど、長く親しまれている椿は、日本国内で2,200種以上の品種があるといわれています。海外へと渡ってからは各国で品種改良がされ、日本人でもあまり知らない品種が存在するほどです。

椿の原種(野生種)には、ヤブツバキとユキツバキの2種類が挙げられます。

日本原産のヤブツバキとユキツバキ

日本原産のヤブツバキとユキツバキ

日本だけでなく世界で庭木として愛される椿は、その学名を『Camellia japonica(カメリアジャポニカ)』といい、日本で生まれた誇るべき花の一つです。

暑さにも寒さにも強く日陰でも育つ椿は、1年を通して気候の変動が激しい日本の環境でも問題なく育ち、東北から九州にかけて自生しています。

そんな強く美しい花木の元になった、日本生まれの原種を紹介します。

ヤブツバキの特徴と開花時期

ヤブツバキは多くの椿の原型です。海岸や山地に自生し、およそ10~15mの高さまで到達します。支えともなる幹はなめらかで白く、生育とともにしっかり堅くなり、磨くと表面に光沢が出ます。古代では武器の材料となり、邪気を払う不老長寿の霊木とされていました。現代では将棋の駒として使われています。

ヤブツバキの葉は長さ4~8cmほどの長さで、縁がギザギザとしていて、厚みのある楕円形が特徴的です。表面には光沢があり、濃い緑色で花とのコントラストを強め、その美しさをより際立たせます。

開花の時期は11~2月、または2~4月で、直径5~7cmほどの花を付けます。基本的に花の色は濃紅か紅色ですが、まれに淡紅色や白色の花を付ける木もあります。

ユキツバキの特徴と開花時期

ユキツバキは、東北から北陸・山陰地方の積雪量の多い日本海沿いのみで自生します。温暖な気候を好むヤブツバキが、厳しい寒さと豪雪に耐え抜くために変化して生まれたともいわれています。積雪に押されながら生育するため樹高は低く、1~2mほどです。雪の重みに耐えられるよう、枝はやわらかくしなやかなのが特徴です。

葉はヤブツバキと同じく楕円形で、表面に光沢があり濃い緑色をしていますが、光を当てると葉脈が見えます。ヤブツバキの葉と比べると薄く、また縁のギザギザがより鋭いです。

開花の時期は4~6月で、濃いピンクに近い紅色の花を付けます。ヤブツバキの花は筒状に開きますが、ユキツバキは平たく咲くのが特徴的です。

椿は花色や咲き方で選ぼう おすすめ5選

椿は花色や咲き方で選ぼう おすすめ5選

椿の種類は数多くあり、また品種によってその特徴は様々です。お気に入りの種類が見つけられれば、育てるのがより楽しくなるはずです。おすすめの5種を紹介します。

ピンク色の一重咲き 太郎冠者

太郎冠者(タロウカジャ)は古典椿の一種で、江戸時代から茶花として親しまれている品種です。

開花時期が12~4月と長く、その花の色は紫を帯びたピンク色をしています。花びらの数は少なく、雄しべが退化したことで花粉が出ない筒咲き(またはラッパ咲き)という開き方をします。花粉が落ちないため、花びらが黄色く汚れることがありません。

赤に白の覆輪が美しい一重咲き 玉之浦

『幻の椿』ともいわれる玉之浦(タマノウラ)は、長崎県五島で生まれたヤブツバキの一種です。

開花時期は1~4月で、鮮やかな濃い紅色に白い縁どりされた、コントラストの美しい花を付けます。一重で筒咲きの姿は清楚かつ可憐な印象です。日本国内のみならず、海外でも人気の品種です。

バラのように華やかな赤の千重咲き 紅乙女

紅乙女(コウオトメ)は古い園芸品種で、江戸時代から人々に愛され続けています。

開花時期は2~5月で、丸い花びらが重なり合うように咲く千重(センエ)咲きと呼ばれる開き方をします。また、黄色い雄しべが見えないのも特徴の一つです。華やかな咲き方に加え、目を惹く濃い紅色の花は、多くの人々を魅了しています。

花弁が細長い黄色の八重咲き 黄蓮華

椿の中でも希少とされる品種が、黄蓮華(キレンゲ)です。

椿の中では珍しい黄色系で、八重咲きの花を付けます。咲き始めから色がだんだん白へと変化するので、毎日眺めても飽きないことでしょう。開花時期が3~4月と短いのも、この品種の珍しさを助長させています。寒さに弱いので、冬季は室内で管理します。

白地に紅の小絞りが入る一重玉咲き 玉霞

玉霞(タマガスミ)は、花びらが雄しべを包み込むような『抱え咲き』という咲き方をする希少種です。

開花時期は11~4月ごろで、白~淡いピンク色のマーブル模様と、丸い形がなんとも愛らしい品種です。同じ玉霞でも、色合いや模様の入り具合が木々によって変わるのも注目したいポイントです。

上手に育てるポイント

上手に育てるポイント

椿は花があまり咲かない冬に美しく開花します。1年を通じて気候変動が激しい日本の風土に適しているので、寒さや風、土質や日当たりなどを気にせずに育てられる花木といえます。

適応能力が高いので初心者でも気軽に育てられそうですが、椿をより長く美しい状態を楽しむための育て方のポイントを紹介します。

栽培環境を整える

椿は日陰でも日なたでも育ち、また土壌も選びません。しかし、花の付きをよくするには、冷たい風が当たらない、明るすぎず暗すぎない半日陰の環境が最も適しています。

庭に苗を植え付ける際や、鉢植えを置く際は、西日を避けられる建物の東か南の方角で、乾燥しすぎないような環境を選びます。

花芽のできる6~7月ごろは、日当たりをよくしましょう。開花は冬ですが、乾いた寒風に当たるとつぼみが落下したり枯れたりする原因になるので、当たらないように管理することが重要です。

水やりや肥料の与え方

椿は水はけの良い環境を好みます。そのため、あまり多く水をあげすぎると、根腐れをする可能性があります。植え付けてから2年未満の株には、土の表面が乾いてから水を与えます。とくに開花期の株は、花びらを開かせるのに水分が必須なので、土のチェックを怠らないようにし、たっぷりと水をあげましょう。

庭に植えてから2年以上経過した株には、水やりの必要はありません。しかし、雨が少なく土の表面が乾きやすい真夏の時期には水を与えます。気温の上がる日中に水やりをすると、土の中の水温も上がり根が傷む原因になるので、比較的涼しい朝か夕方に水やりをするようにします。

肥料は、鉢植えの場合は年2回(春と秋)に、油かすや化成肥料を与えます。同じ場所に置いてしまうと、肥料焼け(肥料をあげすぎてしなびてしまう)や生育不良の原因となるので、肥料を置く場所は変えるようにします。

庭に植えた場合は年明けから春頃にかけて、ゆっくりと効く緩行性の肥料を与えます。成分の強いものや即効性のものは避けましょう。また、株の近くに肥料を置くと根に当たって肥料焼けを起こしてしまうので、株から20cm程度の間隔を空けて与えるようにしてください。

植え付けや剪定

庭に植える場合も、鉢植えの場合も、植え付けに最適なのは3~4月、または9~10月です。庭に植えるときは、苗よりも1.5倍の大きさの穴を掘り、深く植えないよう根鉢と地面の表面が同じになるように植えます。鉢植えの場合は、大きすぎる鉢だと根を伸ばすことに栄養が取られるので、苗よりも一回り大きいサイズを準備し、植えましょう。

どちらも植え穴、または鉢底に、元肥として緩行性の化成肥料や有機質肥料を入れてきます。根の間に土が入り込むように、土の表面を棒などで突き、その後たっぷりと水を与えます。

花の付きをよくするためにも、剪定を行いましょう。花が咲き終え、花芽を付け始める前の3~5月ごろが最適です。基本的には『透かし剪定』という、木にとって余分な枝を付け根から切り落とす作業を行い、風通しをよくします。

長く伸びすぎている枝、外側ではなく幹に向かって伸びている枝、枝先が分かれている枝や古い枝など、見た目を悪くしていたり、風通しを悪くしていたりする枝は処理しましょう。また、害虫が付いている葉がある場合は、その枝も付け根から切り落とします。

育て方の注意点

育て方の注意点

育てやすい椿でも、より上手に生育するには注意すべき点やウィークポイントを抑えておくことによって、安心して育てることができます。

どのようなことに気をつければ良いか、見ていきましょう。

良い苗を選ぶ

苗木は品種名や開花時期、品種の説明が書かれているラベルが付いているものを選ぶようにすると安心です。葉が黄色いと肥料不足の可能性もあるので、葉の色は深い緑をしているか確認しましょう。また、花の数が多い株は弱っていて上手く育たない可能性が高いです。

できるだけ長く、また育てやすさを考えると、接ぎ木苗を選ぶのがおすすめです。剪定した枝などから根を出す挿し木苗と比べて、強い台木に枝を繋げて作られた苗は、生長が早く花の付きもよくなります。

苗の大きさは、大まかに分けて大・中・小で販売されています。椿をゆっくりと大きく育てたい場合は小さいもの、購入してからすぐに花を咲かせたい場合は大きいものを選ぶようにすると良いでしょう。

病害虫に気を付けよう

椿は病気に強い花木ですが、育てていくうえで病害虫の被害も起こります。

中でもチャドクガという蛾の幼虫による被害が多く見られます。チャドクガの幼虫は、花の咲き終わりと夏場に発生し、葉を食い荒らしていきます。この幼虫に少しでも触れるとかぶれてしまうので、素手で対処しないよう気を付けましょう。

虫が発生しないよう殺虫剤や殺菌剤を散布し、もし発生してしまった場合は付着している葉や枝ごと取り除き様子を見ます。

まとめ

古来美しい姿で人々を魅了する椿は、育てやすく丈夫な花木です。鉢植えで生育して室内を華やかにしても良いですし、防犯ついでに庭を彩る生け垣として生育するのもおすすめです。

冬は緑や花が少なく景色が寂しくなりがちですが、椿を上手に育てられれば、寒い時期も待ち遠しくなることでしょう。

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