ロゼット葉とは?代表的な植物と特徴をまとめて解説

2020 11/19
ロゼット葉とは?代表的な植物と特徴をまとめて解説

植物を育てていると、『ロゼット』という単語を耳にすることがあります。さまざまな分野で使用される言葉ですが、園芸ではどのように使われるのでしょうか。ロゼット葉を持つ植物の特徴や、代表的な種類を紹介します。

目次

ロゼットの意味は?

ロゼットの意味は?

ロゼットは必ずしも、植物のことだけを指す言葉ではありません。園芸用語として使う場合、どのような意味があるのか見ていきましょう。

放射線状に並んだ配列を指す

ロゼットは英語で『rosette』と書きます。バラのような形の飾りを意味する言葉です。

ゴシック教会建築の『バラ窓』や生物における『バラ状斑紋』も、ロゼットと表現します。さまざまな装飾品を指す用語として、聞く機会は多いかもしれません。

園芸では、植物の葉が『バラの花びらのように放射線状に並んだ形状』を、ロゼットあるいはロゼット葉と呼びます。例えば、『冬越しの間はロゼットで過ごす』のように使われることが多いです。

地表に水平に並んだ葉

ロゼット葉は、短い茎から生えた葉が地表付近で密集するように展開する葉を指しています。水平方向から見ると『丸い形状』をしていることが特徴です。

ロゼット葉を形成する植物は意外と多く、地面にぴったりと這うように生える種類の他、地表付近でやや立ち上がるように放射状に広がる葉もロゼット葉に含まれます。

厳しい環境でも育つのはなぜ?

厳しい環境でも育つのはなぜ?

ロゼット葉を展開する植物は、厳しい環境下でも生きていける種類がほとんどです。中には、多くの植物が適応できない高山や荒れ地に生える種類もあります。

ロゼット葉の植物が、厳しい環境を生き抜ける理由を見ていきましょう。

競合相手がいないから

ロゼット葉を形成する植物は、『過酷な環境』でも生育できる種類が少なくありません。

河原や砂丘など、他の植物にとって生育が厳しい場所に自生します。場合によっては、コンクリートやアスファルトなどのわずかな隙間からも生えるほどにたくましいです。

競争相手となる他の植物がいないので、日光や土の養分をとられずに済み、数を増やせるといわれています。

草刈りからも免れやすい

公園や農地では、定期的に除草が行われます。草刈りをしないと美観を損ねたり、養分をとられて作物が育たなくなったりするためです。

ロゼット葉を持つ植物は、草刈りの的になりにくい特徴があります。地面に張り付くように葉を展開するので、根こそぎ刈り取られるリスクが少なく、生き延びやすいのです。

地上部を全て刈り取られてしまうと、枯れてしまう植物は少なくありません。しかし、ロゼット葉を持つ植物は、たとえ葉が傷つけられたとしても根が大きなダメージを与えられなければ、再び葉を展開して生きていけます。

短い茎と広がる葉には理由がある

短い茎と広がる葉には理由がある

茎を長く伸ばし、左右対称に葉をつける植物もありますが、ロゼット葉は自分の葉が重ならないように展開していきます。植物が地面の近くで、ロゼット葉を展開する理由を見ていきましょう。

エネルギーの節約ができる

太陽の光は植物にとって欠かせない存在です。背を高くし、より多くの日光を取り込もうとする植物は少なくありません。

地表に近い位置で葉を展開すると光合成しにくいように思えますが、自分の葉同士が重ならないように葉を放射状に広げることで、『効率良く光合成』しています。

高い位置で葉を展開しようとして、茎を長く成長させる必要がない分、エネルギーを節約できる点がメリットです。葉や根に栄養を蓄える割合を増やし、厳しい条件でも生き抜きます。

地面の熱で葉温が上昇する

タンポポのように、ロゼットの状態で冬越しする植物は珍しくありません。年間を通して葉の生え方が変わらない種類もありますが、中には、季節によって葉の展開が変わる種類もあるのです。

気温が低くなる冬は、葉の温度も低下するため光合成しづらくなります。しかし、ロゼット葉は地面の近くで広がるので、『地表の熱を利用して光合成を促す』ことが可能です。

他の植物が生きていけなくなった低温下でも、わずかな光と熱で光合成し持ちこたえます。

動物の食害リスクを減らせる

草花は人間に刈り取られるだけでなく、動物の食害に遭うこともあります。食べやすい位置に生えている植物は、餌にされてしまう確率が高いです。

ロゼット葉を展開する植物は背が高い草花とは違い、地面に近い位置で成長するので草食獣の食害を受けにくい特徴があります。この特徴を利用し、芽吹いたばかりの時期はロゼットの状態で過ごす植物もいるのです。

例えば、「オミナエシ」「ササユリ」などの植物は、株が小さいうちはロゼット葉を展開して栄養を蓄え、ある程度大きくなってから茎を伸ばし、新しい葉を展開します。

また、地面に近い位置にあるので風にあおられにくく、葉や根が傷つくことが少ない点も、生き残りやすい理由の一つです。

ロゼット葉の代表的な植物

ロゼット葉の代表的な植物

ロゼット葉を展開する植物は決して珍しいものではなく、日本の至るところで見かけられます。

厳しい環境によく耐え、繁殖力も強いことから、雑草として駆除の対象となることも少なくありません。道端や農地などで見かける、ロゼット葉の植物を見ていきましょう。

セイヨウタンポポ

ヨーロッパ原産のタンポポですが、『日本各地に分布』しています。道路の脇や公園など、さまざまな場所に自生しているので見かけることが多いです。

日本原産のタンポポとは違い、受粉しなくても子孫を残せます。近くに他のタンポポがなく、受粉を媒介する昆虫がいなかったとしても簡単に増えていくのです。

条件が合えば一年中開花できる上、種子の量が多く小さいため、広範囲に広がります。厳しい環境でも数を減らすことなく、生き残ってきました。

日本に持ち込まれた詳しい時期は明らかになっていませんが、明治期にはすでに北海道で定着していたことが知られています。

ヒメジョオン

北アメリカ原産で、堤防や道端などで見かけることが多い植物です。一年中、ロゼット葉を形成しています。

草丈は50~150cmくらいになり、葉の両面に微細な毛が生えていることが特徴です。秋に芽吹き、冬を越して初夏に茎を伸ばし、夏~秋に白や薄い紫色の花を咲かせます。

1株あたり4万個以上の種を作り『繁殖力が旺盛』なので、花壇や農地に生えた場合は駆除の対象となることが少なくありません。

よく似た植物に「ハルジオン」があります。ヒメジョオンとの違いは、春から夏にかけて花を咲かせる点や、茎の内部が空洞になっているところなどです。

ヒメムカシヨモギ

北アメリカ原産で、世界中に分布しています。日本には明治期に入ってきました。北海道から沖縄まで、幅広い地域で見られます。

ロゼットの状態で越冬後に開花して種を残し、翌年には枯れる「二年草」です。成長すると1~2mの高さになり、茎の上部で円錐状にたくさんの花を咲かせます。

明治草(メイジソウ)、鉄道草(テツドウグサ)などの別名があり、道端や荒れ地などでも旺盛に生育している姿を見かけるでしょう。

まとめ

ロゼットは、放射線状に広がって生える葉の形状を指します。水平方向から見ると、丸い形をしていることが特徴です。エネルギーを節約しながら効率良く光合成できる形なため、越冬時や株の成長が未熟な間に『ロゼット葉を展開』する植物も少なくありません。

代表的なロゼット葉の植物は、セイヨウタンポポやハルジョオンなどです。どちらも非常に繁殖力が強い植物なので、空地や道路の脇などで見つけられます。

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