イワヒバはどんな植物?基本情報・育て方・手入れ方法を紹介!
イワヒバは、日本や韓国、中国が原産のシダ植物。スギやヒノキのような形状の枝葉が岩に着いて成長するため、「岩松」とも呼ばれます。春には若い葉が出て、秋には紅葉するので、年間を通して色合いの変化を楽しめます。イワヒバの特徴・育て方を紹介します。
イワヒバとは?
イワヒバは、とてもゆっくりと成長するシダ植物です。日本では、本州や九州の広い地域で岩場に自生していているため、イワヒバとの呼び名がつきました。漢字では「岩檜葉」と表記します。手入れしやすく剪定の必要もあまりないために、昔から盆栽に多く使われてきたのが特徴です。日本でも古くから親しまれてきた植物である、イワヒバの基本情報と特徴を紹介します。
イワヒバの基本情報
イワヒバはイワヒバ科イワヒバ属の植物で、学名は「Selaginella tamariscina」です。日本では別名として「イワマツ(岩松)」、「フッカツソウ(復活草)」とも呼ばれています。日本、中国、韓国などが原産で、東南アジアやロシアの一部にも自生しています。非常に長寿で、一定以上の大きさには成長しないため、ロックガーデンや盆栽に最適です。シダ類の植物ですが葉の形状がヒバに似ていて、岩場に自生するためにイワヒバと呼ばれます。葉に見える部分は、実はイワヒバの枝です。
科・属 | イワヒバ科イワヒバ属 |
別名 | イワマツ(岩松)、フッカツソウ(復活草) |
和名 | イワヒバ、イワマツ |
英名 | Selaginella |
学名 | Selaginella tamariscina |
原産地 | 日本、中国、韓国、東南アジアやロシアの一部 |
イワヒバの特徴
イワヒバは、常緑生の多年草です。草丈は通常5cm程度ですが、大きなものは45cmほどに成長する場合もあります。岩場で育つ植物なので、耐寒性も耐暑性も高いのが特徴です。乾燥にも強く、耐陰性もあることから、生命力が強い植物であることが分かりますね。乾燥すると葉を内側に巻き込みますが、じゅうぶんな水分が得られると、葉を再び広げる特性があります。園芸店などにはあまり流通していない植物です。
イワヒバの花言葉・由来
ゆっくりと成長し、厳しい環境でもよく育つイワヒバは、植物の特徴にぴったりの花言葉を持っています。イワヒバを栽培するなら、花言葉も事前に確認しておきたいですね。イワヒバの花言葉と、その由来を紹介します。
イワヒバの花言葉
イワヒバの花言葉は、負けない心、長寿、稔りです。どれもイワヒバの特徴をとらえていて、縁起がよい花言葉ですね。
イワヒバの花言葉の由来
イワヒバの花言葉の「負けない心」や「稔り」は、水分が不足した際には葉を丸め、水分量が足りてきたら葉を再び広げる様子に由来します。また、長く楽しめる生命力が強いことから、「長寿」という花言葉もあります。9月8日はイワヒバが誕生花の日なので、9月8日生まれの人にイワヒバを贈ると喜ばれること間違いなしです。
イワヒバの種類・品種
盆栽などに多用されるイワヒバは、江戸時代には番付が出るほど人気の植物でした。人気が高かったため、江戸時代以降には品種改良が盛んに行われ、現存する品種は200以上あるのが特徴です。現在でも毎年数種類の新品種が世に送り出されています。品種によって葉や枝の形状、葉色などが異なります。季節によって色合いを変える品種もありますので、お気に入りのイワヒバを探してみるのもよいでしょう。イワヒバの種類と品種について詳しく紹介します。
イワヒバの種類
イワヒバは、ヒバ(檜葉)によく似た形状の葉を持つことからイワヒバの名がつきました。イワヒバは岩に張り付くように自生し、松の葉にも似ている形状の葉を持つことから、「イワマツ(岩松)」や「コケマツ(苔松)」との別名もあります。品種改良の結果、多くの品種があるイワヒバですが、一般に流通しているのは主に代表的な品種です。盆栽に使われることが多いので、盆栽の愛好家に特に人気が高いのが特徴の植物です。葉の形状や色、株の大きさなどは、品種によってさまざまです。
イワヒバの品種
伸ばした枝の先が放射状に分かれて、羽状の葉を広げるのがイワヒバの特徴です。なかには、ヒモのような形状の葉をつけるめずらしい品種もあります。古典的な園芸植物として親しまれてきたイワヒバには、いくつかの代表的な品種があります。「御所錦」は、中型サイズのイワヒバの品種です。だいだい色の葉を持ち、気温が上がるにつれて葉が白っぽくなるのが特徴。また「紫金欄」は、大きめの葉を横に広げて成長する品種です。葉には黄金色の斑があり、気温が上がると紫に変化します。品種ごとの色合いの違いを比較して楽しみたいですね。
イワヒバの育て方・注意点
過酷な環境でもよく育つイワヒバは、盆栽初心者にも育てやすいと人気の植物です。イワヒバは一般的なホームセンターなどでは流通していないこともあるので、盆栽や山野草を専門に扱う園芸店で購入するのがよいでしょう。インターネットでも購入が可能です。購入時には、新芽が出ていて、葉や枝に勢いのある株を選ぶのがおすすめです。イワヒバの育て方と、育てる際の注意点を紹介します。
イワヒバの育て方
イワヒバは、盆栽として鉢植えにするか、庭石などに植え付けるのが一般的な植栽方法です。植え付けの時期は、春から秋ごろが最適です。鉢植えにする場合には、株よりもひとまわり大きな鉢を選ぶとよいでしょう。盆栽の下草として利用する方法もあります。庭石に植え付ける際には、植え付け場所に穴をあけ、土を入れましょう。イワヒバは根付くまでに時間がかかります。タコ糸などで固定して根付くのを待ちたいですね。
イワヒバの注意点
イワヒバは、冬期には休眠期をむかえます。冬には生育しないため、鉢植えの場合には、直射日光や雨に直接当たらない場所に移動させるのがおすすめです。屋外でも越冬は可能ですので、庭石に植え付けた場合には、移動させる必要はありません。冬期には一見すると枯れてしまったかのように見える場合もありますが、気温が上がってくると新芽が出て生育を開始します。葉が混み合った場合には、適度に剪定することで、病害虫の予防が可能になります。
イワヒバの土・肥料
イワヒバは、栄養分が少ない岩肌などにも自生する植物です。鉢植えや庭石などに植え付けて栽培する場合にも、土や肥料にそれほど手をかける必要はありません。イワヒバはゆっくりと成長し、ある程度まで成長すると、枝や葉を伸ばすことをやめてしまいます。成長が止まっても、追肥する必要はほどんどないといえるでしょう。イワヒバを育てるのに最適な土の環境と、施肥の方法について紹介します。
イワヒバの土
イワヒバを育てる用土は、市販されている盆栽用や山野草用のものを使うとよいでしょう。イワヒバには、水はけがよく弱酸性の土が向いています。鹿沼土を使用する際には、定期的に植え替えをすることを心がけましょう。鹿沼土は時間が経過するとアルカリ性用土になるために、イワヒバが生育しにくくなってしまうからです。保水性と排水性のバランスがよい土に植え付けることで、イワヒバは順調に育ちます。
イワヒバの肥料
自生している品種のイワヒバには、施肥は必要ありません。もともと栄養が少ない環境に適応しているため、肥料を与えると栄養過多になり、枯れてしまうこともあります。しかし、品種改良で誕生した品種のイワヒバには、少量の施肥をすることで順調な生育を促します。盆栽用として販売されている肥料を、ごく少量与えるのがおすすめです。株の根本ではなく、鉢のふちあたりに施肥するのがポイントです。液体肥料を使用する場合には、規定量の10倍程度薄めに作るとよいでしょう。
イワヒバの温度・置き場所・水やり
岸壁や岩肌などに自生するイワヒバは、耐寒性、耐暑性ともに優れているのが特徴です。鉢植えやロックガーデンで栽培する場合にも、年間を通して屋外での栽培育成が可能です。ただし、夏場の温度や日当たりには注意が必要です。イワヒバを栽培する際の、温度管理や鉢の置き場所、季節ごとの水やりのポイントを紹介します。栽培のコツをしっかりと押さえておくことで、イワヒバが生育しやすい環境を整えられます。
イワヒバの温度
イワヒバは日当たりの良い場所で育てるのがおすすめですが、耐陰性もあるので、裏庭やシェードガーデンでも栽培が可能です。温暖な気候の地域では、冬でも屋外での栽培ができます。しかし、寒冷地や夏の暑さが過酷な地域で栽培する場合には、冬と夏には温度管理をすることでより順調に栽培できるでしょう。冬には根が凍らない場所に移動し、暑すぎる夏には半日陰か屋内におくのがおすすめです。
イワヒバの置き場所
生命力が強いイワヒバは、どんな場所でも順調に育ちます。イワヒバは日当たりのよい場所を好みますが、夏の直射日光には注意が必要です。日当たりがきつすぎない場所に蜂を移動するのがおすすめです。また。庭石に植え付けた場合には移動ができませんので、遮光ネットの利用がおすすめです。ネットを使う場合には、風通しに気をつけることで、病害虫の発生を抑制できます。品種によって最適な栽培場所が異なるので、購入前に最適な栽培環境を確認しておくとよいでしょう。
イワヒバの水やり
岩場でも育つイワヒバは、乾燥に強い植物です。地植えの場合には、特に水やりの必要はありません。晴れが続いて土の表面が乾燥してきたときのみ、たっぷりと水やりをするとよいですね。春から秋にかけての成長期にはたっぷりと水をやり、冬には水やりを中止しましょう。加湿には注意が必要です。鉢植えの場合には、梅雨時には雨が直接当たらない場所に鉢を移動させ、通気性を保って管理するのがおすすめです。
イワヒバの植え替え・増やし方
イワヒバは冬に休眠期を迎えます。そのため、植え替えなどは成長期である春から秋に実施するのがよいでしょう。休眠期は、葉の紅葉が終わった時期に開始します。葉色で判断できます。イワヒバは株分けや挿し芽で増やすことが可能です。イワヒバは育てやすい植物ですので、増やすのも難しくはありません。イワヒバの植え替えや増やし方について、それぞれ詳しく紹介します。
イワヒバの植え替え
イワヒバは、植え替えすることで新しい根を伸ばして成長しやすくなります。株を大きくしたい場合には、1年に1回の植え替えを実施しましょう。植え替えに最適な時期は、春から秋にかけてです。ひとまわり大きな新しい鉢を準備し、盆栽用の用土を入れます。植え替えの際には、根を傷つけないように優しく扱うのがポイントです。植え替え後には、水をたっぷりと与えるとよいですね。成長スピードがゆっくりとしているイワヒバは、成長具合を見て植え替えが必要かどうかを判断しましょう。
イワヒバの増やし方
イワヒバは、株分けや挿し芽で増やすことが可能です。株分けや挿し芽は、成長期の春から秋にかけて実施しましょう。子株を丁寧に分けて新しい鉢に植え付けるか、枝を5cm程度切り取って土に挿します。挿し芽をした場合には、芽が出るまでには1カ月程度を要します。この期間には、水切れを起こさないよう、こまめな水やりを心がけたいですね。株分けした際にも、根が張るまでは水を多めに与えるのがおすすめです。
イワヒバの病気・害虫
イワヒバは生命力が強く、病害虫にも強いのが特徴の植物です。冬に葉が茶色くなってきても、たいていの場合には春になると新芽が出て成長を始めます。しかし、水分が多すぎると根腐れを起こしたり、まれに病害虫の被害が発生したりすることも考えられます。株の様子をよく観察し、必要であれば薬剤を使用するなどの対処を行いましょう。イワヒバに発生することが考えられる、病気や害虫について紹介します。
イワヒバの病気
イワヒバは、高温多湿の環境でまれにベト病を発生することがあります。ベト病になったイワヒバは、葉が茶色く枯れます。他の枝や株にもベト病は伝染しますので、発生した場合には葉や枝を切り落としましょう。ベト病用の薬を使用することで、病気の蔓延を抑制できます。ベト病を予防するには、イワヒバを乾燥気味な環境で栽培するのがおすすめです。水のやり過ぎに注意し、風が抜ける場所で育てるとよいでしょう。冬期に茶色くなるのは、ベト病ではなく生理的な現象のこともありますので、株の状態を見極めたいですね。
イワヒバの害虫
イワヒバは害虫が発生しにくい植物です。しかし、水やりや日当たりに気を配っていても株が弱ってきた場合には、ヨトウムシの被害が懸念されます。ヨトウムシによる被害は、幼虫による葉の食害です。ヨトウムシの幼虫は、緑がかった色をしています。株の状態が悪くなってきたら、葉や枝をしっかりと確認しましょう。ヨトウムシのフンが確認できたら、食害にあった葉を剪定し、専用の薬剤を散布するのがおすすめです。早めの駆除で、株の全滅を防げます。