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ライチ栽培は難しい?家庭で育てる際の注意点と成功のコツをチェック

ライチはアジアを代表するフルーツです。硬い皮に覆われた状態はあまり美味しそうに見えませんが、皮を剥くと半透明のつるっとした実が飛び出し、魅惑的な香りを発します。かの有名な王妃に愛された果実を家で栽培するための方法を紹介します。

ライチは家庭で栽培できる?

家庭菜園で野菜を育てる人は多いですが、果実を育てているケースはそれほど見かけません。ライチは専門農家でなくても育てることができるのでしょうか。まずはライチとはどんな植物か確認します。

ライチの基本情報

ライチの原産地は中国南部で、熱帯から亜熱帯の気候を好む果樹です。日本では輸入されたものが多く見られますが、国内の中でも温暖な沖縄や鹿児島、宮崎で栽培されています。

8m以上の高さに背を伸ばす樹には、細長い楕円形の葉がたくさん茂り、かたまって咲く黄緑色の花が2〜4月に開花します。赤い色の果実は6〜8月に実りますが、樹から落とすと1日程度で茶色く変色してしまうくらい鮮度が落ちやすいです。

そのため冷凍してから市場に出回ることが多い果物でしたが、現在は技術の進化により、生のまま流通するようになりました。本来ならば落葉性の高木ですが、管理しやすくするため、農家での栽培においては2〜3mの高さに抑制されます。

「茘枝(レイシ)」とも呼ぶライチの特徴

ライチの果実は、直径2〜3cmほどのボールや卵のような形をしています。皮の表面は赤くゴツゴツと隆起していて、あまり魅力を感じる見た目ではないかもしれません。

しかし強面の皮を剥くと、白く半透明でツルッとなめらかな実が顔を出し、独特な甘い香りを漂わせます。そんな魅惑的な実にはビタミンCが豊富に含まれ、肌にうれしい美白効果が期待できます。また、むくみに効くカリウムや、貧血に効果的な葉酸も含まれ、特に女性にとってうれしい効能を備えるフルーツといえます。

楊貴妃がこよなくライチを愛したのは、味の美味しさはもちろんのこと、若く美しくあり続けたい彼女が求めている栄養が詰まっていたからでしょう。

ライチの育て方について

ライチは食べ終えた実から出る種から栽培することもできます。しかし、この方法は長い時間がかかるので、市販の苗から育てる方がおすすめです。ライチが成長するための環境や植え方について紹介します。

日当たりの良い場所で育てる

熱帯生まれのライチは、暖かく湿度が高い気候と日光の当たる環境を好みます。成長するのに最適な温度は15〜30℃で、暑さには強いですが寒さには弱い樹木です。地植えだと、沖縄以外の環境では冬を越すことが難しいため、移動させやすいよう鉢植えで育てましょう。

春から秋にかけては日当たりと風通しの良い、できれば屋外に置いて育てます。まだ成長し始めの若い木は、直射日光に当てすぎると枯れてしまう恐れがあります。真夏の時期は、明るさもある半日陰の環境に置いて育てるのが良いでしょう。

成長するのに適温である15℃を下回ったら、屋外から室内へ移動させます。5℃以上を保つようにし、日が良く当たる場所で冬を越させます。

重要なポイントになる用土

良い土は樹木を育てていく上で重要なポイントになります。ライチを栽培するための用土には、水はけが良く弱酸性のものが最適です。

理想の土の配合は、全体の6割に赤玉土を、残りの4割にはピートモスと川砂を半々で混ぜ合わせます。または市販されている園芸用の培養土を全体の7割に使用し、残り3割は鹿沼土を混ぜるのも良いでしょう。

植え付けの時期と方法

先にも述べたように、ライチを種から育てると時間がかかるため、苗を植えて育てるのが一般的です。

苗を準備したら、一回り大きい鉢に植えます。植え付けの時期は3〜4月ごろがおすすめです。水はけや通気性が良くなるよう鉢底に石を敷き、あらかじめ用意しておいた土を鉢の3分の1くらい入れます。

鉢の中心に苗を置き、周りに残りの土を入れて倒れたりしないよう安定させます。植え付けが終わったら、たっぷりと水をあげ、日が良く当たる場所に置きましょう。

ライチのお世話方法をチェック

苗の植え付けが完了したら、いよいよライチの栽培が本格的に始まります。苗を大きく成長させても実を付けさせるにはコツがいります。お手入れの仕方をしっかり確認しておきましょう。

水やりと肥料をたっぷり

ライチには日の光と同様にたっぷりの水分が必要です。多湿の環境を好みますが、常に土が湿っている状態だと根腐れするので、水やりは適切な量とタイミングで行います。

成長が著しい時期は、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るくらいの水を与えます。特に結実の時期にあたる6〜8月は1日に2回以上水をあげ、水切れしないようにします。たっぷりと水分を与えることで、成長した実が美味しくなります。

休眠期の秋から冬にかけては、水を必要としないので、乾燥気味にしておきます。こうすることで、新芽が花や実になるよう成長を促すことができます。

ライチの成長期でもある4〜11月に、2〜3カ月に1回の頻度で肥料をあげます。この時、肥料に含まれるチッ素が多いと花芽が付きにくくなることもあるので注意が必要です。花と実の付きを良くするリン酸が多く含まれる化成肥料か、固形の有機肥料がおすすめです。

大きくなりすぎないよう剪定を

ライチは手入れをしないとどんどん空に向かって伸びていき、10mまで成長します。管理しやすくするためにも、2〜3m程度の樹高になるよう整えておきましょう。

8月頃から収穫を終えた9〜10月が剪定時期に最適です。上へと伸びていく枝は根元から切り詰め、高さを調整します。内側へ伸びた枝や、混み合った古い枝も切り、幹に日の光が当たるようにしましょう。

花芽は前の年によく伸びた枝に付くので、そういった枝は剪定しないようにします。

果実の収穫時期について

ライチの収穫時期は6〜8月です。鮮やかな赤色に色づいた、完熟している実から採っていきましょう。

木から外れて1日経つと、黒ずんで褐色に変色してしまいます。鮮度が落ちやすく、日持ちもしないため、収穫後はすぐに皮を剥いて食べるのがおすすめです。

食べずに保存する場合は、冷蔵庫のチルド室へ入れましょう。冷凍保存でも良いですが、実の色が黒ずんで見た目が悪くなります。

ベランダ栽培を成功させるコツ

ライチは発育が活発で、適宜剪定をしないとビルの3階くらいの高さまで伸びていきます。元気すぎる樹木を、家のベランダという限られた空間で栽培するには、どのようなことに気を付ければ良いでしょうか。

定期的に植え替えをしよう

よく成長するライチは、1〜2年に1回植え替えをしましょう。鉢を一回り大きくしたり、根を少しカットしないと、根詰まりしてしまい枯れる原因になります。

苗を植え付ける時と同じ用土を準備し、それまでの大きさよりももっと大きくしたい場合は一回り大きい鉢も準備します。現状維持の大きさのままが良い場合は、植え替え前に使用していた鉢と同じ大きさのものを用意します。

根を傷つけてしまうと枯れる原因になるので、根に付いた土はそのままにして植え替えます。大きくさせたくない場合は、根を少しカットしてから植え替えることで、同じ大きさのまま育て直せます。

気を付けたい病気、害虫

ライチは気を付けるべき病気というものは特にありません。しかし、害虫による被害はあるので、予防と対策はしっかりと行いましょう。ライチに付く害虫で代表的なものに、ハダニやカイガラムシ、カメムシがいます。

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