イベリスとは?花の特徴・花言葉・育て方・手入れ方法を紹介
イベリスは、まるで砂糖菓子のように愛らしい小さな花を咲かせます。一年草と多年草(宿根草)のタイプがあり、グランドカバーに使えるような草丈の低いものから高いものまで、その姿もさまざまです。この記事では、イベリスについて詳しく紹介していきます。
イベリスとはどんな花?
イベリスは、開花期の春になると可愛らしい小花をたくさん咲かせます。一年草と多年草があるほか、切り花として流通している草丈の高いものからグランドカバーなどに使える低い草丈のものまで、その姿は多彩です。ある程度の耐寒性があり、多年草の品種では耐暑性に強い反面多湿に弱い性質です。太陽に向かって花径が曲がりやすい特徴を持ち、アマラ種やオドラータ種などは花に甘い香りがあります。
イベリスの基本情報
イベリスの基本情報は、以下の通りです。
科・属 | アブラナ科・イベリス属(マガリバナ属) |
和名 | マガリバナ(屈曲花)、トキワマガリバナ、トキワナズナ |
英名 | Iberis、Candytuft |
学名 | Iberis sempervirens (イベリス・センペルビレンス) |
花の色 | 白、ピンク、赤、紫など |
原産地 | 南ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアなど |
開花期 | 6~9月 |
イベリスの特徴
イベリスは、白やピンクなどの愛らしい花が株を覆うように咲く姿が特徴的です。一輪の花に花びらがたくさんあるように見えますが、花ひとつの花弁は4枚で外側の2枚が大きく、小花が集まって大きな花房を作っています。また、咲き始めの花房は平らですが、咲き進むにつれて盛り上がり穂状になります。
花名の由来
イベリスという花の名前は、スペインの古い呼び名であるイベリア(Iberia)が語源となっています。これは、イベリア半島にはイベリスの多くの種類が自生していることが由来です。
また、Candytuft(キャンディタフト )の呼び名は、クレタ島の古都「Candia」(現在のイラクリオン)と、房を意味する「tuft」という2つの単語が組み合わさったものです。特に「tuft」は散房花序であることを表しているようで、いわゆるキャンディとは関係ありません。
イベリスの開花時期や見頃の季節
一般的なイベリスの開花時期は4~6月で、市場に流通しはじめるのは3月頃からです。ただし、トキワナズナと呼ばれる宿根性のセンペルビレンス種は、10~11月にも咲くことがあります。また、交配種の新しい品種では、春から秋まで長く花を楽しめるイベリスもあります。
イベリスの花言葉と由来
ここでは、イベリスについている花言葉を紹介します。西洋で伝わっている言葉や、花言葉の由来も合わせて確認していきましょう。
花言葉
イベリスの花言葉としてよく知られているのは、「初恋の思い出」や「甘い誘惑」、「心をひきつける」です。西洋には「indifference(無関心)」という花言葉が伝わっています。
そのほかには、「心変わり」や「無頓着」、「こまやかな人情」、「思いやり」などの花言葉もあります。
花言葉の由来
「初恋の思い出」と「甘い誘惑」の花言葉は、イベリスの愛らしい花姿や、花が放つ甘い香りに由来しています。「心をひきつける」という言葉は、花径が太陽に向かって曲がる特徴にちなんだものです。
イベリスの種類・品種
先に紹介したように、イベリスには一年草と多年草の品種があります。よく見かけるそれぞれの代表的な品種を紹介します。
一年草のイベリス
一年草タイプのイベリスには、アマラ種やオドラータ種、ウンベラータ種などがあります。
アマラ種
草丈は20~40cmほどで、香りを放つ白い花は大きくボリュームがあります。草姿は広がりが少ないので、寄せ植えなどの素材としてもおすすめです。
オドラータ種
小型の品種で、花色は白です。アマラ種よりも花の香りが強く、別名ニオイナズナとも呼ばれています。
ウンベラータ種
草丈が60cmほどと大きく、株立ちで分枝が多い種類です。花色が豊富で白のほか赤、ピンク、藤色などがあり、切り花にも利用されています。
多年草のイベリス
多年草のイベリスとしてよく親しまれているものには、センペルビレンスやマスターピースがあります。
センペルビレンス
多年草イベリスの代表的な種類です。花色は白や淡い藤色、花後もいきいきと緑の葉が育つので、花期以外の観賞価値もあります。花姿は低くふんわりとしており、花壇の前方やグランドカバーに最適な品種です。
マスターピース
交配種として誕生した、新しいイベリスです。草丈は30~50cmほどに育ち、白い花を春~秋まで長く楽しめます。夏の直射光や0℃以下の気温にも耐える強さがあり、寄せ植えにも適した品種です。
イベリスの育て方・栽培方法
イベリスは、比較的温暖で乾燥気味の日の当たる環境を好みます一年草と多年草では育て方に若干違いがあるので、きちんと確認しておきましょう。まずは、栽培に必要な用土や植え付け方法など解説していきます。
用土
イベリスは、水はけのよい用土を好みます。鉢植えの場合は、市販の草花培養土に軽石や鹿沼土などを2割程度混ぜるとよいでしょう。多年草イベリスを確実に夏越しさせたい場合は、山野草の培養土がおすすめです。
庭植えにする場合にはさほど土質を選びませんが、植え付け前に腐葉土や苦土石灰を混ぜておくとよいでしょう。多湿に弱いので、雨の後に水が溜まるようなところは避けます。
植え付け時期と方法
種から育てる場合、一年草タイプは9~10月頃に、多年草タイプは3~4月頃に種をまきます。育苗箱やポットなどである程度の大きさまで育て、コンテナや花壇などに移植します。移植を嫌う傾向にあるので、栽培場所に直まきで育ててもよいでしょう。直まきする場合は、本葉が2~3枚の頃に元気な芽を残して間引きを行ってください。
種まき方法
ポットを利用する場合は1ポットに3~4粒が目安です。覆土は5mmほど、底面給水をさせて発芽を待ちましょう。発芽後はよく日に当てるようにします。
種まきのほか、ポット苗を入手するのもおすすめの方法です。園芸店などで春(3~4月)と秋(10~11月)に販売されるので、好みの品種を選んで植え付けましょう。植え付けの際は根鉢を崩さず、庭植えでは後々移動させずにすむ場所を選んで定植します。
肥料と水やり
肥料
植え付けの際に、緩効性肥料を土に混ぜ込んでおきます。それ以外は春と秋に施肥を行いますが、春に与えた肥料が6月以降に残らないようにしましょう。秋まきの一年草は、本葉が開いたら薄い液肥を月に3~4回与え、冬までに株を充実させておきます。肥料の与えすぎは徒長を招くので、量や濃度には十分に注意してください。
水やり
イベリスは過湿を嫌います。水やりは、表土が乾いてからたっぷりと与えるようにします。庭植えの場合は、極端な乾燥が続かない限り降雨にまかせてかまいません。多年草タイプは花後の水やりを徐々に減らし、梅雨時は湿度で株が枯れてしまわないように注意しましょう。