芝生を庭に植える方法。主な品種や、育て方のポイントも解説

2020 11/19
芝生を庭に植える方法。主な品種や、育て方のポイントも解説

青々とした芝生の茂る庭に憧れる人は多いのではないでしょうか。芝生の種類は多く、地域や目的によってベストな芝生も異なります。芝生の植え方・主な品種・育て方のポイントなどを知り、自宅の庭ですてきな芝生を育てましょう。

目次

芝生の種類

芝生の種類

芝生にはいくつかの種類があります。芝生を植える目的や気候によって、適した芝生は変わります。芝生を育て始める前に、まずは『芝生の種類』を把握しましょう。

暖地型「夏芝」と寒地型「冬芝」

大きく分けて、芝生には『夏芝』『冬芝』の2種類があります。温暖な気候に適しているのが夏芝、寒冷地に適しているのが冬芝です。夏芝は『暖地型』、冬芝は『寒地型』とも呼ばれます。

高温多湿な環境に強い夏芝は、蒸し暑い日本の夏でもよく育ちます。春になると生長を始め、気温が約10度を下回る11~3月頃は休眠期です。夏芝の例には『野芝』『バミューダグラス』などが挙げられます。

冬芝は通年で常緑を保ちます。暑さに弱いため、夏枯れのリスクに注意が必要です。気温が約15~20度の春・秋頃に生長します。冬芝の例には『ブルーグラス類』『ベントグラス類』などが挙げられます。

日本芝と西洋芝

夏芝・冬芝とは別に、『日本芝』『西洋芝』という分類もあります。西洋芝には夏芝・冬芝の両方がありますが、日本芝は夏芝だけです。

日本で自生していた品種の日本芝は、その名の通り日本の気候に適しています。西洋芝に比べると葉の生長が遅く、メンテナンスしやすいのがメリットといえるでしょう。日本芝の例には『野芝(ノシバ)』『高麗芝(コウライシバ)』が挙げられます。

海外原産の西洋芝は、やわらかく細い葉が特徴です。冬芝なら通年で芝生を楽しめます。寒地型の場合、北海道や東北地方での栽培がおすすめです。西洋芝の例には『バミューダグラス(夏芝)』『ブルーグラス(冬芝)』が挙げられます。

主な品種

主な品種

芝生にはさまざまな種類があり、用途によって使い分けます。芝生選びで迷ったときは、主な品種から選ぶと失敗しにくいでしょう。

日本全国に広く自生する野芝

本州全土に四国・九州と、日本全国に広く自生するのが『野芝』です。日本芝の中では耐寒性があり、比較的寒い地域でも自生しています。

野芝は病害虫・乾燥に強い芝です。ゴルフ場のラフにも使用されています。ゴルフボールの落下衝撃に耐えうるほど、野芝はタフな芝生といえるでしょう。他には道路脇や河川敷などでも見られます。

葉の幅は約4cm以上と広めで密度は低く、チクチクするのも野芝の特徴です。肥料をあまり必要としない上に生長が遅いので、頻繁にお手入れをする必要はありません。比較的管理しやすい芝生といえるでしょう。

日本で最もポピュラーな高麗芝

日本で最もポピュラーなのが『高麗芝』でしょう。管理がしやすく、一般家庭の庭に張られる芝としても人気です。高温多湿な日本の風土に適した芝で、東北地方以南の地域でよく見掛けます。

約1~4mmと野芝に比べて葉の幅は細く、高密度なのが特徴です。刈り込みによって、きめ細かく美しい芝生を作れます。病害虫に強いのは、野芝との共通点といえるでしょう。

一般家庭の庭以外での高麗芝の用途は、スポーツ競技場・公園・校庭など多岐にわたります。高麗芝には、より葉の細い『姫高麗芝(ヒメコウライシバ)』という品種もあります。

世界中の暖地で人気のバミューダグラス類

夏芝の『バミューダグラス類』は、世界中の暖地で人気を博しています。『ティフトン』『リビエラ』がバミューダグラス類の例です。日本では、関東より西の本州で生息しています。

生育適温が高かったり寒さに弱かったりと、西洋芝ながらバミューダグラス類は日本芝に近い性質を持っている芝生です。他の西洋芝に比べると、葉は色鮮やかで、幅は細めといえるでしょう。

踏みつけや擦切圧に強いため、バミューダグラス類はスポーツ競技場や公園などで使われています。生長が早いため、小まめなお手入れが必要です。

欧州の寒地で一般的なブルーグラス類

『ブルーグラス類』は、欧州の寒地で一般的な冬芝です。西洋芝ではポピュラーな芝生で、日本でも北海道や東北地方の北部で栽培されています。

『ケンタッキーブルーグラス』『ラフブルーグラス』がブルーグラス類の例です。その名の通り、青みがかった緑色の葉が特徴です。

西洋芝の中では、ブルーグラス類は比較的メンテナンスしやすいといわれています。病害虫に強く、生長が遅いのが理由です。踏圧にも強く、スポーツ競技場やゴルフ場・公園などで使われています。

お手入れのしやすさから、一般家庭でもブルーグラス類は人気です。ただし、暑さや乾燥に弱いため、芝生を張る地域を選ぶでしょう。

何を基準に選べばいいの?

何を基準に選べばいいの?

芝生の種類や品種を知ったところで、自宅で栽培する芝生選びで迷っている人もいるのではないでしょうか。芝生選びの二つの基準を踏まえ、自分に適した芝生を見つけましょう。

気候に適したものを選ぶ

芝生を栽培するなら、住んでいる地域の気候に適したものを選ぶとよいでしょう。夏芝・冬芝があるように、芝生には品種ごとに生育に適した気候があります。具体的には、北海道や東北地方なら冬芝、関東地方以西なら夏芝がおすすめです。

また、地域の気候だけでなく、芝生を張る場所固有の環境にも注意を払いましょう。降雨量が少なく乾燥がちだったり日当たりが悪かったりする場合、そうした環境に強い品種を探す必要があります。

どんなに質の良い芝生でも、土地の気候に合わず枯れてしまってはもったいないです。元気な芝生を楽しむためにも、土地や環境に合った芝生を選びましょう。

用途や見た目で選ぶ

気候や環境の他には、用途や見た目で選ぶ方法もあります。自宅の庭でゴルフのパッティングを練習したい場合、多くのゴルフ場のグリーンで使われているベントグラスを選ぶとよいでしょう。サッカーの練習をするなら、踏圧や擦切に強い芝生がおすすめです。

見た目で選ぶ場合、冬も緑色の芝生を楽しみたければ寒地型の芝生が適しています。密度が高く美しい芝生を好むなら、高麗芝や姫高麗芝がおすすめです。

また、生育速度が遅ければ、頻繁に芝刈りする必要がありません。一般的に西洋芝の方が生育速度が速いため、日本芝の方が手間を減らせる傾向にあります。

芝生を育てる床土作り

芝生を育てる床土作り

元気な芝生を育てるには、しっかりとした床土(とこつち)作りが重要です。生長はもちろん、病害虫の発生や根腐れにも床土は影響します。床土を正しく作り、長く芝生を楽しみましょう。

雑草や石を除去する

床土を作る際は、事前に雑草や石を除去しましょう。芝生の根は床土に張ります。雑草や石があると、芝生が根付くのを邪魔したり、芝刈り機の刃を傷つける原因になったりします。

すべての石を取り除く必要はないので、大きな石を中心に取り除きましょう。目の細かい『土ふるい』を使うのもおすすめです。

反対に、雑草は草刈機や手を使ってしっかり取り除きます。うまく取り除けない場合は、除草剤を使ってもよいでしょう。床土に雑草が残ったままだと、芝生を張ってからも雑草が生えてしまいます。

土を耕し床土を作る

芝生が好むのは、水はけの良い土です。水はけの良い床土を作るため、庭の土を耕しましょう。最初は、庭の土を約15cm耕します。まだ石や雑草が残っていれば、ここでしっかり取り除きましょう。

もし庭の土が粘土質な場合、腐葉土や砂を混ぜ込むとよいでしょう。粘土質の土は吸水性・排水性が悪く、病害虫や根腐れの原因になります。

水はけを良くするため、約4~5cmの厚さで砂を平らに敷きましょう。砂を敷いた上から、芝生の床土用の土を約3cm敷きます。芝生の床土用の土は、ホームセンターや園芸店などで購入可能です。全体に散水したり足で踏んだりして、土を固めましょう。

緩やかな傾斜をつけ表面を均一に

表面の水はけを良くするために、緩やかな傾斜を土につけます。雨水枡(うすいます)や水溝の方に水が流れるように、傾斜をつけるとよいでしょう。

傾斜がついたら、傾斜を残しつつスコップやレーキなどで土の表面を均一に整えます。これで床土作りは終了です。

この上から芝を張り、芝生同士の間に目土(めつち)を入れましょう。目土は芝生の上にまく土で、ホームセンターや園芸店などで購入可能です。ホウキやトンボなどで均一に目土をまいたら足で踏み固め、最後にたっぷり水やりしましょう。

芝生の植え方のパターンは三つ

芝生の植え方のパターンは三つ

芝生の植え方には、『種まき』『芝生シート』『まき芝』の3パターンがあります。それぞれのメリットや特徴を踏まえ、適切な方法で芝生を植えましょう。

種まきをする

芝生の種まきの適期は、3~5月頃です。秋の9月頃も、芝生の種まきには適しています。

耕した土に、まんべんなく芝生の種をまきましょう。種をまいた後は、種を隠すように薄く均一に目土をかけます。目土をかけ過ぎると発芽の妨げになるため、注意が必要です。

トンボやレーキなどで軽く土を締め固めたら、たっぷり水を与えます。水圧で種が飛び散らないように、やわらかい水の出るジョウロやホースを使いましょう。種まきから約1週間~10日で発芽するため、それまでは乾燥させないよう適宜水やりをします。

芝生シートを張る

芝生シート(切り芝)を張るのも、芝生の植え方の一つです。張芝法(はりしばほう)とも呼ばれます。芝生シートの並べ方によって、張芝法はさらに細分化されます。

代表的なのは、隙間なく芝生シートを張り付ける『ベタ張り』です。多くの芝生シートを要するため費用はかかりますが、庭一面をすぐに芝生にできるでしょう。

市松模様に芝生シートを並べる『市松張り』は、コストがかからない方法です。庭一面が芝生になるまでに時間を要するため、芝生ができるまでの過程を楽しみたい人に向いています。

芝生シートを並べたら隙間に目土を入れ、軽く土を締め固めます。芝生シートを張ってから約2週間は、しっかり水を与えましょう。

まき芝をする

まき芝とは、約10cmの長さに切った芝生の匍匐茎(ほふくけい)を土にまく方法です。匍匐茎とは、地面を這うように伸びる茎のことです。庭一面を芝生にするまでに時間がかかるものの、低コストで芝生を作れます。

床土に深さ約4cmの溝を約5cm間隔で掘り、そこに匍匐茎を植え付けます。このとき、匍匐茎は半分ほど葉が地上に出るようにしましょう。この後は上から目土をかけ、しっかり締め固めます。

床土に芝生が根付くまで、乾燥させないよう注意が必要です。まき芝から約1~2週間は、たっぷり水を与えましょう。

植えた後の管理はどうする?

植えた後の管理はどうする?

どんな方法で芝生を植え付けても、床土に芝生が根付くまでには時間がかかります。植えた後に正しく管理することで、しっかり芝生を庭に根付かせられるでしょう。

根付くまでの水やり

芝生が根付くまでの水やりは、基本的に朝に行いましょう。根付くまでは水分吸収力が弱いため、水切れに注意が必要です。土の表面が乾いていたら、たっぷり水を与えましょう。1回に与える水が少ないと、土の表面にたまる水を根が求めるため、深く根付かない原因になります。

水を与える頻度は、暑くなるにつれて増やしましょう。発芽・生育の適温を下回る12~1月頃は、芝生の植え付けには適しません。水を与える頻度の目安は、次の通りです。

  • 2月:約3~4日に1回
  • 3月:約2~3日に1回
  • 4月:1~2日約に1回
  • 5~9月:毎日1回(特に暑い夏の日は朝晩2回)
  • 10月:約1~3日に1回
  • 11月:約2~4日に1回

梅雨時や台風接近時など、しっかり雨が降った場合は、目安の頻度で水やりする必要はないでしょう。芝生が根付いてきたら、水やりのペースを落としても構いません。

養生期間を取る

芽が約2cmに伸びるまでは、養生期間を取ります。その間は、芝生の上を歩かないようにしましょう。上を歩くと芝生がずれてしまい、根付くまでに時間がかかる原因になります。

水やりで芝生に立ち入る場合は、目地(芝生同士の間)をそっと歩きましょう。ペットや子どもがいる家庭の場合、養生期間中は庭で遊ばせないよう注意が必要です。

芝生を植え付けて目土をかけた後、水を通す不織布で種まきした場所を覆いましょう。四隅は竹串や重石で固定します。保湿・保温効果と、雨による土の流失や食害の防止効果が期待可能です。芽が約1cmになったら、不織布を外しましょう。

シーン別お手入れのポイント

シーン別お手入れのポイント

根付いた後も、芝生には『水やり』『施肥』『芝刈り』『除草』といったお手入れが必要です。各お手入れシーンのポイントを押さえ、きれいな芝生をキープさせましょう。

水やりの方法

芝生の水やりは、状態を観察しながら行いましょう。住んでいる地域や環境によっても異なりますが、春と秋は約2~3日に1回、夏は毎日水やりをします。夏の暑い時期は朝晩2回与えてもよいでしょう。冬の水やりは冬芝だけで、休眠期の夏芝には必要ありません。

水やりのタイミングは、比較的涼しい朝のうちがおすすめです。日差しの強い夏は、日中に水を与えないようにしましょう。日中に水やりをすると根が蒸れて、傷む可能性があるためです。

水やりでは、たっぷり水を当てましょう。深くに潜った土まで、しっかり水が染み込むようにします。ただし、水を与え過ぎると根腐れの原因になるため、芝生や土の状態を見ながら調整しましょう。

肥料の施し方

芝生に肥料を与える時期は、芝生の生育期がよいでしょう。具体的には、4~9月頃を指します。ただし、肥料焼けを防ぐために猛暑の施肥は避けるため、実際に肥料を与えるのは4~7月頃や9月下旬頃です。

与える肥料は、市販の芝生専用肥料です。市販の芝生専用肥料の多くには、チッ素・リン酸・カリ(カリウム)が同じくらいの比率で含まれています。液体肥料なら毎週1回、粒状肥料なら毎月1回が、施肥の目安です。ただし、肥料の説明書に従って施肥の頻度・量・液肥の希釈を調整しましょう。

芝刈り作業

美しい芝生をキープするには、芝刈り作業が欠かせません。芝生を植え付けた後、約5cm以上に芝生が伸びたら、芝刈りを始めましょう。

日本芝は月に約3回、西洋芝は月に約1~3回が芝刈りの目安です。目安通りでなくても、伸びたと感じたら芝刈りして構いません。

効率的な芝刈りには芝刈り機がおすすめです。庭の四隅や刈り残しなど、芝刈り機の手が届かないところを刈るために、芝刈りバサミがあると便利でしょう。

きれいに芝生を刈るコツは、少しずつ切ることです。短く切り過ぎると、伸びるまでに時間がかかります。

芝刈り機で芝生を刈り終えた後は、ホウキやレーキなどでゴミを除去しましょう。ゴミを放置すると病害虫の原因になります。

除草

芝生を刈る芝生と異なり、除草は雑草を取り除く作業です。芝刈りと一緒に除草すれば一石二鳥に感じますが、おすすめできません。

やわらかい芝を刈るために作られた芝刈り機で硬い雑草を刈ると、芝刈り機の刃が傷む可能性があるためです。芝刈り機に雑草が絡むのを防ぐためにも、除草してから芝刈りしましょう。

除草の頻度に目安はありません。害虫を寄せ付けたり栄養を奪ったりするため、雑草を見つけたらその都度取り除きましょう。

基本的に手で除草します。子どもやペットが芝生で寝転がったり遊んだりすることを考えれば、除草剤は控えた方がよいです。どうしても除草剤を使うなら、芝生専用の除草剤を選びましょう。

まとめ

芝生を庭に植える方法は三つあります。根が張るまでの期間やかかる費用は異なるため、日常生活で無理なくできる方法を選ぶとよいでしょう。

芝生の品種は多く、気候や目的などに応じて選ぶのがおすすめです。数日に1回水やりをする以外は、それほど頻繁にお手入れする必要がありません。粒状肥料を選べば、あまり手間をかけずに育てられます。

芝生全般の基礎知識を身に付け、きれいな芝生を庭に作りましょう。

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