アイスプラントの育て方と栽培方法|手入れの仕方や増やし方、注意点も
アイスプラントとは
アイスプラントは、キラキラとした水晶のような粒とプチプチの食感が楽しめる野菜です。ヨーロッパでは歴史が古く、フランス料理の食材としてよく使われています。また、多肉多汁組織を持つ多肉植物の一面もあります。まずはアイスプラントの特徴などを、詳しく見ていきましょう。
アイスプラントの基本情報
アイスプラントの基本情報です。
科・属 | ハマミズナ科・メセンブリアンテマ属 |
和名 | アイスプラント |
英名 | Common Ice Plant、Crystalline Ice Plant |
学名 | Mesembryanthemum crystallinum |
花の色 | 白色 |
原産地 | ヨーロッパ、西アジア、アフリカ |
開花時期 | 7~8月 |
アイスプラントの特徴
アイスプラントは乾燥に耐える性質と高い耐塩性をもつ塩性植物です。プチプチとした食感と、ほのかな塩味があります。アイスプラントには、土壌から吸収した豊富なミネラル分やクエン酸、リンゴ酸などが含まれています。また、脂質や糖代謝の調整に効果的なミオイノシトールやピニトールなどの成分もあり、健康対策野菜としても注目されています。家庭でも比較的かんたんに栽培でき、水耕栽培では海水と同程度の食塩水でも栽培可能です。
名前の由来
アイスプラントの表皮には、塩を隔離するためのブラッダーと呼ばれる細胞があります。小さな粒に見えるこの細胞によって、葉や茎の表面が凍ったように見えることが名前の由来です。
アイスプラントの育て方・栽培方法
アイスプラントは、種と苗どちらからでも育てられます。地植えもできますが雨に弱い性質をもつので、鉢植えやプランターで育てるのが理想的です。植え付けから収穫まで、栽培方法を順を追って解説していきます。
アイスプラントの種まき、苗木の植え付け時期と方法
種まき時期
アイスプラントの種まき時期は、気温20℃前後ある春と秋の2回です。春まきは2月~4月頃、秋まきは9~10月頃になります。
種まき方法
3号ポットに培養土を入れて種3~4粒をまき、表土を薄くかけます。種が流れないように霧吹きで水を与え、日陰で乾かさないように管理しましょう。発芽したら2本に間引き、本葉が3~4枚になったら1本にします。本場が5~6枚になったら、プランターや植木鉢に定植しましょう。
苗木の植え付け時期
苗木を植え付ける適期は、気温25℃前後の春か秋です。春は3~5月、秋は10月頃に植え付けを行います。
植え付け方法
鉢底ネットと鉢底石を敷いて用土を入れ、鉢植えなら1株、プランターの場合は20~30cmの間隔をあけて苗を植え付けます。アイスプラントは葉がとてもやわらかいため、苗の取り出しや植え付けの際は傷つけないように慎重に扱いましょう。
アイスプラントの土作り・水やり・肥料の与え方
土作り
アイスプラントは、市販の野菜用培養土で十分に育ちます。ただし、水はけと水持ち共によい状態を保つことが大切です。また、一般的な野菜に比べて土壌から吸い上げる養分量が多いので、品質のよい培養土を準備しましょう。
水やり
乾燥気味の環境を好みます。水やりは、土の表面の乾きを確認してからたっぷりと与えましょう。特に、雨があたる環境下では、過湿とアイスプラントへの泥はねに注意が必要です。
肥料
定植時に、元肥として少量の化成肥料を施します。
アイスプラントの植え替え・鉢替えの時期と方法
アイスプラントは、定植後の植え替えや鉢替えは必要ありません。
アイスプラントの手入れ・剪定・切り戻しの時期と方法
アイスプラントが好むのは、日あたりと風通しのよい場所です。しかし、真夏の直射日光のもとでは下葉から枯れてしまうため、遮光対策をしましょう。また、氷点下の環境下でも枯れやすいので、冬は室内に取り込む方がよいでしょう。剪定や切り戻しは必要ありません。
アイスプラントの塩水補給と追肥の与え方
追肥の与え方
追肥は、植え付けた2週間後から与えます。2週間に一度の割合で、1株あたり3~5gの化成肥料を株のまわりにまきましょう。もしくは、500倍に薄めた液肥を1週間に一度水代わりに与えます。
塩水補給
通常は2週間に1回、収穫時期に入ったら1週間に1回の割合で、濃度1~2%の塩水を与えることで、ほんのりと塩味がつきます。塩水は、水1Lに塩大さじ1杯を加えて作りましょう。
アイスプラントの収穫時期と方法
アイスプラントは、植え付けから1カ月ほどで収穫できるようになります。大きく育った葉から、付け根部分で切り取りましょう。わき芽が伸びてくるので、繰り返し収穫が楽しめます。成長させすぎた葉は味がおちるので、タイミングを逃さずに収穫してください。
アイスプラントの増やし方
ほかの多肉植物と同じく、アイスプラントは挿し芽で増やせます。葉を食べた後の茎でもできるので、挑戦してみましょう。
挿し芽で増やす方法
あらかじめ、肥料成分がなく雑菌が少ない赤玉土やバーミキュライト、または挿し芽や種まき用の土を準備しておきます。挿し穂にするアイスプラントの芽は清潔なハサミやカッターなどで10cm程度の長さに切り取り、風通しがよい場所で切り口を乾かしましょう。ポットなどに用土を入れ、倒れない程度の深さに挿し穂を挿します。根が出るまでは土を乾かさないように注意し、日陰で管理しましょう。発根を確認したら、肥料を加えた用土に植え替えてください。
挿し芽ができる時期
挿し芽を行う適期は、生育期でもある春と秋です。気温20℃ぐらいを目安にしましょう。
アイスプラントを栽培するときの注意点
アイスプラントを栽培するときに、特に注意したい点を3つ解説します。少しでも長く多くの量を収穫するために、ポイントを押さえておきましょう。
他の植物と分けて育てる
一般的な植物の場合、土壌の塩分濃度が上がると浸透圧の変化により根が水分を吸い上げられなくなります。また、葉に塩が付いた場合もそこから水分が蒸発し、最終的には枯れてしまいます。栽培過程で塩水を与えるアイスプラントは、ほかの植物とは分けて育てましょう。
主な病害虫
アイスプラントは非常に丈夫で土壌の塩分濃度の高いことから、病気や害虫の心配がほとんどありません。ナメクジの食害が発生する場合には、株元に塩水をかければ防止できます。ナメクジは雨の多い6月頃や9~10月に多く発生するので、株の様子をよく見ておきましょう。
花芽を摘み取る
葉の先がうっすら赤く色づいてくると、アイスプラントの花が咲き始めます。花が咲くと株は枯れてしまうので、長く収穫したい場合は花芽を摘み取りましょう。ちなみに、花の後にできる種は次のシーズンに種まきができます。株が複数ある場合には、収穫期を長くする株と種を取る株それぞれを育てるのもおすすめです。