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アーモンドの育て方と栽培方法|手入れの仕方や増やし方、注意点も

アーモンドを育てる前に知っておきたいこと

アーモンドを育てる前に知っておきたいこと

アーモンドを育てる前に、いくつか知っておきたいことがあります。植物としての基本情報やアーモンドの特徴を確認しておきましょう

アーモンドの基本情報

アーモンドの基本情報です

科・属バラ科・サクラ属
和名ヘントウ(扁桃)
英名Almond
学名Amygdalus dulcis
花の色ピンク色
原産地アジア西南部
開花時期3月中旬~下旬(育てる地域や品種による)

アーモンドの特徴

アーモンドはバラ科に属する落葉高木で、成木の樹高は5mほどです。春になると花茎3cmほどのサクラに似た花を咲かせ、花の見ごろが終わる頃に新葉が姿を見せます。モモやウメの仲間ですが、果肉部分は薄いため食用にはなりません。普段私たちがナッツとして食べているのは、種子の中にある仁(じん)と呼ばれる核の部分です。

アーモンドには湿度に弱く乾燥を好む特徴があり、湿度が高い気候では実の収穫がほとんど見込めません。そのため、梅雨があり台風が多い日本では、アメリカのカリフォルニアから輸入したアーモンドが市場の多くを占めています。日本国内では、小豆島などで栽培しています。

アーモンドの種類と選び方

アーモンドの種類と選び方

アーモンドは、スイート種(甘扁桃)とビター種(苦扁桃)に大別されます。食用とされるスイート種には100を超える品種があり、ノンパレイユ種やマルコナ種などの数種類が輸入されています。一方のビター種は、野生種に近い品種です。アーモンドオイルや着香料のほか、鎮咳などの薬用として利用されます。ビター種の苦みはアミグダリンに由来しており、加水分解によりシアン化水素が発生するため輸入規制されています。そのため、一般消費者がビター種を目にする機会はほとんどありません。

園芸店などで販売されている苗木は、「ダベイ種」という品種が一般的です。高温多湿な日本の環境への適応能力が高く、家庭でもスムーズな栽培が見込めます。1年生や2年生の接木苗として販売されているので、葉が下までついている、黄色く変色していない、病害虫の被害がない、苗木の高さや太さのバランスがよいことなどを目安に選んでください。アーモンドの種は入手が難しいものの、インターネットで販売しているケースがあります。

アーモンドを育てるのに必要な準備と適した環境

アーモンドを育てるのに必要な準備と適した環境

アーモンドを育てるには、必要な準備や適した環境があります。日当たりや用土など、具体的に見ていきましょう。

日当たり・置き場所

アーモンドを地植えする場合には、日あたりや風通しのよい場所に植えるようにします。鉢植えの場合も、よく日が当たり適度に影ができる場所を選び、必要があれば置き場所を移動してあげるとよいでしょう

用土

地植えの場合、日あたりや風通しがよければ土質は特に選びません。鉢植えの場合には、市販の果樹用培養土に赤玉土を混ぜたものや赤玉土と鹿沼土を混合したものなど、水はけや通気性がよい状態の土を用意します

種の準備

アーモンドの種は、一晩水に浸けてから植えるようにします。これは、種に含まれる酵素抑制物質を中和するためです。酵素抑制物質には、適した環境が整うまで種子内の酵素の働きを封じて発芽を抑制する働きがあります。種を浸水させることで酵素抑制物質は働かなくなるので、活発化した酵素によって発芽へのプロセスがスタートします。

アーモンドの育て方のポイントやコツ

アーモンドの育て方のポイントやコツ

元気なアーモンドを育てるために、栽培に必要なポイントやコツを確認しておきましょう。種まきや苗木の植え付けから剪定などのお手入れ方法まで、順番に紹介します。

アーモンドの種まき、苗木の植え付け時期と方法

種から育てる場合、種まきに適しているのは3月ごろです。まず、植木鉢の底に防虫網を敷き、鉢底石や軽石などを敷いてから用土を入れます。3~4cmの深さに穴をあけ、種を横向きにまきます。土を被せたら水をたっぷりと与えてください。発芽までのポイントは、種を乾燥させないことです。用土の表面が乾いてきたら、水を与えましょう。この際、過湿を防ぐために鉢の受け皿は置かないのがおすすめです。

苗木から育てる場合は2~3月が植え付けの適期ですが、そのほかの時期でも植えられます。鉢植えの場合は、苗木よりも1~2回り大きい鉢に植え付けます。鉢底にネットや石を敷いて1/3の高さまで土を入れ、鉢の中心に苗を置いたら用土を入れて株を固定しましょう。株が倒れそうなときは、支柱を立てて支えてください。

苗木を地植えにする場合は、植え付け場所は直径1.5m程度の余裕を持たせ、中心部に50cmほどの穴を掘ります。穴には完熟堆肥を20~30Lと熔リン200g、石灰資材200gを混ぜ込んでおきます。苗木を立てて根を四方に広げ、根の間に土を入れ込むようにして固定します。このとき、深植えにならないように注意します。地上面よりもやや高くなるように盛り土をし、そこに根を広げるように植えこみましょう。また、鉢植えでも地植えでも、苗木の接木部は土の上に出しておくのが大切なポイントです。植えつけ後は、たっぷりと水やりをします。

アーモンドの水やり・肥料の与え方

アーモンドの種をまいてから発芽までは、およそ1~2カ月かかります。芽が出たら、日光によく注意してあげましょう。幼木を長時間直射日光にあてると焼けてしまう恐れがあるため、日あたりがよく適度に日陰になる場所に置くのが最適です。水やりは、表面の土が乾いてから与えます。水はけの悪さや過湿は、枯れる原因になります。水をたっぷり与えたときと、土が乾いたときの鉢やプランターの重さを確認しておくのがおすすめです。苗木を植えた場合も同じく、表面の土が乾いたらたっぷりと水を与えます。いずれの場合も、暑い時期の水やりは早朝か日没後に行いましょう。苗木を地植えにした場合は、降雨に任せて問題ありません。

アーモンドは肥料過多を嫌うため、施肥をするのは年1回の元肥のみで追肥は行いません。10月~11月の根が活動している間に、元肥として有機質肥料を与えます。施肥量の目安は、1~3年目で200g、4~5年目が300g、5年目以降は500gです。根の先端に肥料が当たるようにまき、表面の土を軽く耕します。また、このときに化成肥料を与えると肥料負けを起こす場合があるので、使用する際には注意が必要です。

アーモンドの種が手に入らない場合

アーモンドの種が入手できない場合、生アーモンドで発芽に成功する場合があります。人の食用でも、ペットの餌として売られている生アーモンドでもOKです。ただし、発芽する割合は決して高くありません。どうしても種が手に入らない場合には、苗木から育てましょう

アーモンドの植え替え・鉢替えの時期と方法

種から育てたアーモンドを地植えにする場合、定植の適期は翌年の3~4月です。それまで、気温が下がる時期は室内で管理します。鉢植えのアーモンドは、2~3年を目安に植え替えを行います。鉢底から根が出ていたら植え替え時期のサインです。その際、株を大きく育てたい場合には、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。反対に、大きくしたくない場合には根を1/3ほど切り詰め、そのまま同じ鉢に植え戻します。植え替えの適期も3~4月で、花が終わってから行います。

アーモンドのお手入れ・剪定・切り戻しの時期と方法

アーモンドの剪定や切り戻しは、冬の落葉期に行います。内側に向かって伸びる内向枝や重なり合っている枝などは切り落とし、伸びすぎている枝も切り詰めます。また、徒長枝は花が付かず樹形を乱すので、ばっさりと根元から切り落とします。樹形を見極めながら、樹幹内部への日あたりや風通しを考えて剪定を行いましょう。

そのほか、接木苗の根元部分から「ひこばえ」と呼ばれる若芽が出てくることがあります。これはアーモンドではなく台木から出ている若芽なので、見つけたらすぐに取ってしまいましょう。そのままにしておくと、穂木のアーモンドが枯れてしまうことがあります。

アーモンドの収穫時期と方法

アーモンドの実は5~6月頃になると膨らみだし、日がよくあたる部分から成熟が進み収穫できるようになるのは8~9月頃です。実が熟しても自然には落ちないので、果肉が割れて中の殻が見えてきたらすぐに収穫しましょう。内部に水が入ると、カビが発生したり虫が入ったりして食べられなくなります。収穫した実は果肉を取り除き、殻付きのまま1週間程度陰干しします。しっかりと乾燥すれば、殻を割って中の実を食べられます。また、秋に収穫した種を風通しのよい日陰に干して乾かし、袋に入れて冷蔵庫で保管をすれば、翌春の種まきに使えます。

アーモンドの増やし方

アーモンドは、挿し木で増やせます。剪定の際に切り落とした枝を使って挿し木してみましょう。枝を適当な大きさに切り揃えたら、根元部分を一晩水につけておきます。根元先端に発根促進剤を塗った枝を、挿し芽用の土などを入れた鉢に挿します。倒れないように土を押さえつけたら、たっぷりと水をあげましょう。鉢の土が乾かないように注意して育て、根付いたのを確認したら有機肥料を土に混ぜて育てていきます。

アーモンドを育てる時の注意点

アーモンドを育てる時の注意点

アーモンドを育てるには、湿度や日あたりなど注意したい点がいくつかあります。管理を怠って枯らしてしまうことがないよう、しっかりと確認しておきましょう。

特に過湿に注意する

乾燥を好むアーモンドは、特に過湿に注意して育てましょう。鉢植えやプランターの場合は、過湿状態が続くと根腐れを起こし枯れる原因になります。地植の場合も、梅雨の時期など株の周りに水が溜まっていないか確認しましょう。

直射日光や寒さにも配慮を

アーモンドは、強い直射日光を長時間浴びると葉焼けを起こして茶色く変色することがあります。葉焼けは葉の組織が壊れてしまうため、緑色には復活しません。ベランダなどの照り返しでも起こるので、置き場所を変えてあげましょう。動かせない場合には、遮光ネットで直射日光が防げます。

また、冬場は防寒対策が必要です。-7℃の気温まで耐えるといわれますが、霜にあたると株が弱ってしまいます。鉢植えは室内に入れ、移動できないものは鉢に布やプチプチなどを巻いて防寒しましょう。地植えの場合は、株元に腐葉土やワラなどでマルチングをします。

病害虫対策をとる

アーモンドがかかりやすい病気に、黒星病や縮葉病があります。黒星病は多雨で発生が増え、胞子が飛び散って周囲に広がります。発病部は見つけ次第切り取って処分し、殺菌剤で対処します。縮葉病は、若い葉が変色して縮れた後に火ぶくれ状になり、やがて白いカビに覆われるのが特徴です。冬の間に枝や芽の表面などに付着して越冬します。新芽が出る直前に株全体を洗い流すように薬剤散布することで、被害を防げます。発病してしまった葉は、摘み取って処分しましょう。

また、アブラムシやコスカシバ、ウメケムシなどの害虫もやっかいです。特にアブラムシの増殖スピードはほかの昆虫と比較にならないほど速いので、早めの駆除が大切です。「スミチオン」を1000倍に薄めた薬液が効果的ですが、濃い薬剤は葉を枯らすこともあるので注意しましょう

まとめ

サクラと同じ仲間であるアーモンドは、家庭でも種や苗木から育てられます。過湿に弱い性質がありますが、対応した品種も販売されています。種が手に入りにくい場合には、無理せず苗木から育てましょう。日あたりや寒さ、かかりやすい病害虫などに注意して育てれば花も実も楽しめる植物です。この機会に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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