かぼちゃの育て方と栽培方法|手入れの仕方や増やし方、注意点も
かぼちゃは緑色の表皮や黄色の中身が鮮やかなウリ科の植物です。栄養が豊富で緑黄色野菜としても有名です。生育が早いうえに強いので、初心者にもおすすめの野菜です。この記事では、かぼちゃの基本情報から栽培方法まで詳しく解説します。
かぼちゃを育てる前に知っておきたいこと
かぼちゃは強い作物で、栽培する土質も選ばず育つので、初心者がチャレンジする家庭菜園の植物としてもおすすめです。ここではまず、かぼちゃの基本的な情報や特徴を学びます。かぼちゃを育てる前に最低限必要な知識を知っておきましょう。
かぼちゃの基本情報
かぼちゃは南アメリカ大陸・北アメリカ大陸原産のウリ科の植物です。非常に古くから栽培されている記録があり、紀元前4000年頃には既にかぼちゃの栽培がなされていたと言われています。日本には1540年頃の天文年間にカンボジアから持ち込まれたとする説が有力です。じゃがいもと同様、痩せた土地でも育つため、重要な食糧として重宝されていました。
かぼちゃの特徴
かぼちゃは緑色の固い表皮と鮮やかな黄色の果実が特徴的な野菜です。5月から9月の間が旬で、夏野菜としても知られています。保存性に優れており、収穫したままの状態であれば常温でも数カ月保存しておけます。ベータカロテンをはじめとする栄養価が高く、ビタミンを多く含む緑黄色野菜の1つです。一方で炭水化物も多く含まれているため穀類や芋類の仲間として扱われることもあります。
かぼちゃの種類と選び方
現在日本で栽培されているかぼちゃは、大きく分けると西洋かぼちゃ、日本かぼちゃ、ペポかぼちゃの3種類です。ここではそれぞれの種類のかぼちゃに関する特徴と選ぶ時のポイントについてまとめました。基本的には、自分の好きなものを選んで育てるとよいでしょう。どの種類を選んでも、栽培の難易度はほとんど変わりません。ほとんどの品種がつるを広く伸ばして大きく成長していきますが、つるをあまり伸ばさない品種や、小さめに育つミニカボチャなどもあるので、省スペースでかぼちゃを栽培したい場合にはそれらの品種がおすすめです。
西洋かぼちゃ
西洋かぼちゃは普段スーパーでよく目にするかぼちゃです。ホクホクしていて、甘味が強いのが特徴です。栗のような食感から、栗かぼちゃと呼ばれることもあります。乾燥した冷涼な気候を好むため、高冷地での栽培が比較的適しています。
日本かぼちゃ
日本かぼちゃは皮がごつごつしており、ねっとりとした食感が特徴です。近年は流通が少なくなっているため、高級食材にもなっています。古くから日本で栽培されており、高温多湿の気候でも育ちやすい種類です。
ペポかぼちゃ
ペポかぼちゃは、一風変わった品種が多く、珍しいかぼちゃの栽培を楽しめます。ハロウィン用のかぼちゃやズッキーニ、そうめんかぼちゃなどがペポかぼちゃの仲間です。暑さに強く、育てやすいのが特徴です。
かぼちゃを育てる時に必要な準備
かぼちゃは比較的簡単に栽培が可能な植物ですが、育てる前にしっかり準備をしておけば収穫量が増えたり、かぼちゃが大きく育ちやすくなったりします。ここでは、かぼちゃの栽培に最適な置き場所やかぼちゃが好む土作り、種の準備について解説します。
日当たり・置き場所
かぼちゃは直射日光を好む植物なので、日当たりの良い場所に置きましょう。地面に沿ってつるが伸び、果実ができていくので、水はけの良い場所がおすすめです。暑さ寒さには強いですが、あまり風が強く当たらない場所の方がよいでしょう。ベランダや庭で栽培する場合には、エアコンの室外機から出る風が当たらない場所を選んでください。
用土・土作り
かぼちゃは中性から中酸性の土地を好みますが、土の質や栄養分の多寡はあまり選びません。逆に肥料を与えすぎてしまうと、つるボケしてつるばかりが伸びたり、着果が減ったりするので注意が必要です。特に窒素は少なめにするとよいでしょう。市販されている野菜用の培養土を使用すると、手軽に土作りがおこなえるので便利です。つるが地面を這って広がるので、畝の幅や畝どうしの間隔を広めにとっておきましょう。
種の準備
栽培用の種を使用する場合には、特に事前に種の準備をおこなう必要はありません。スーパーで野菜として売られているかぼちゃや、収穫したかぼちゃから種をとって栽培する場合には、種についているワタをしっかり取り除き、きれいに洗ってからよく乾燥させましょう。3日から1週間ほど自然乾燥させておくのがおすすめです。
かぼちゃの育て方・栽培方法
ここからはかぼちゃの栽培方法について、種まきから収穫、増やし方まで順を追って詳しく見ていきましょう。それぞれの段階でより良く育てるためのポイントがあるので、意識しながら育てるとよりたくさん、よりおいしいかぼちゃを収穫できます。また、ベランダなどでプランター栽培する際の方法も紹介します。
かぼちゃの種まき、苗木の植え付け時期と方法
かぼちゃは種を直接畑にまいても、ポットにまいて苗木を植え付けても構いません。栽培の適温は20度前後、発芽するのは地温が25度以上に上がってからなので、種をまいてからはホットキャップや小さなビニールハウスなどでしっかり保温をしてあげましょう。種をポットにまいた場合、本葉が4枚程度になった頃に、畑に植え付けます。時期的には4月の終わり頃から6月頃までが最適です。植え付ける前には苗にたっぷりと吸水させてください。
かぼちゃの土作り・水やり・肥料の与え方
かぼちゃは痩せた土地でも日当たりが良ければ元気良く育つ強い植物なので、市販の野菜用培養土を使えば、その他特別な土作りは必要ありません。乾燥にも強いため、頻繁に水やりしなくても大丈夫です。プランターや植木鉢で栽培する場合には、土の表面が乾燥してきたら水をあげてください。地植えで栽培している場合は自然の雨で充分です。雨が降らない日が続き、地面が乾ききってしまうようであれば水をあげてください。
かぼちゃの植え替え・鉢替えの時期と方法
地植えであれば基本的に植え替えは必要ありません。種をまく時に直接畑にまかず、ポットにまいた場合は、種が発芽してから1カ月前後の、本葉が3枚から5枚程度になった頃に畑に植え替えるとよいでしょう。プランターや植木鉢で育てている場合、鉢の中に根が回り過ぎたり、成長の勢いが衰えたりしてきたら、大きめの鉢やプランターに植え替えてください。
かぼちゃの手入れ・剪定・切り戻しの時期と方法
かぼちゃは放っておくとどんどんつるを伸ばしていきます。つるが伸びすぎると栄養分が均等に行き渡らず、かぼちゃが小さくなったり、大きさがばらついたりします。効率良くかぼちゃを収穫し、管理をかんたんにするためには、つるの手入れが必要です。つるの手入れは、長く伸びた親づるだけを残し、脇から出る子づるをすべて剪定する方法や、よく成長している子づるを2、3本残して他を剪定する方法などがあります。親づるについている本葉が5枚程度になったら、伸びている先端の葉あたりを摘心して、子づるに栄養を回してあげるとよいでしょう。
かぼちゃの収穫時期と方法
かぼちゃは花が咲いてから30日から45日ほど経つと、ヘタのあたりが乾燥してひび割れてきます。ヘタの部分が割れてコルクみたいになった頃が収穫時期です。かぼちゃは日が当たらないところの色が悪くなるので、実が大きくなってきたら、全体にまんべんなく日が当たるようにかぼちゃの角度や位置を調整してあげるとよいでしょう。かぼちゃの下に藁やマットを敷くと害虫やカビからかぼちゃを守れます。収穫したら、1週間から1カ月ほど風通しの良い日陰に置いておくと、さらに甘味が増しておいしいかぼちゃになります。
かぼちゃの増やし方
かぼちゃを効率的に収穫するには、自然の受粉に任せるよりも人工的に受粉させる方が確実です。かぼちゃを増やしたい場合にはこまめに受粉させるとよいでしょう。雄花と雌花を見分けることが人工受粉を成功させるポイントです。花の付け根をよく観察し、付け根が膨らんだ雌花と膨らんでいない雄花のおしべ同士をくっつけて受粉させてください。かぼちゃは種からかんたんに増やせる植物です。収穫したかぼちゃから種を取り出し、ついているワタなどをきれいに洗ったら1週間ほど自然乾燥させておきましょう。
かぼちゃのプランター栽培の方法
かぼちゃはプランターでも栽培することが可能です。畑で栽培するのと同様に育てましょう。そのままだとつるが地面に沿って伸びていくので、支柱を立てたりフェンスに誘引したりして、空中でかぼちゃが育つようにすると省スペースで栽培できます。
かぼちゃを育てる時の注意点
基本的にかぼちゃは病害虫に強く、育てやすい植物ですが、リスクがまったくないわけではありません。ここからは、かぼちゃを栽培する時に気を付けてもらいたい病気や害虫について解説します。
かぼちゃを育てる時に気をつける病気
かぼちゃは全体的に乾燥気味に育てるので、うどんこ病が発生しやすい環境にあります。うどんこ病は粉っぽくて白いカビが広がる病気です。葉から発生し、悪化すると茎や果実までカビに覆われてしまいます。白っぽいかたまりがみられたらすぐに取り除き、なるべく風通しの良い状態を保ちましょう。
かぼちゃにつきやすい害虫
かぼちゃを含むウリ科の植物は、ウリハムシの大好物です。葉っぱを食べ、穴だらけにしてしまうだけでなく、かぼちゃの生育を妨げてしまいます。ウリハムシは光の反射を嫌うので、銀色のマルチを使用したり不要なCDをつるしたりすると予防できます。
まとめ
かぼちゃは病害虫や暑さにも強く、短期間の栽培でたくさん収穫できるので、初心者にもおすすめの植物です。育てて楽しく、食べておいしいかぼちゃで家庭菜園を楽しんでください。