観葉植物がかかる病気を知ろう。風通しや害虫が原因のときの対策は?
すす病に発展することも
すす病は『すす病菌』というカビが増殖することで、葉が黒くまだらに変色する病気です。光合成や葉の蒸散ができなくなるため、植物が弱る原因となります。
コナカイガラムシに寄生されていると、ベタベタした排泄物がすす病菌を集めやすい環境を作ってしまい、すす病に発展してしまうのです。
コナカイガラムシの駆除方法
コナカイガラムシの数が少ない場合は、目視で駆除が可能です。布や竹串など、植物を傷つけない方法で取り除きましょう。
コナカイガラムシの幼虫には、殺虫剤がよく効くため、数が多ければ土に薬剤を散布するのがおすすめです。
しかし、成虫になってしまうと、虫体被覆物という殻状のものを身にまとうため、薬が効きにくくなります。歯ブラシでこそぎ落とすか、ティッシュでふき取るようにするとよいでしょう。さほど力を入れなくても軽く落とせるので心配いりません。
このとき、葉に付着したベタベタした排泄物も、忘れずにふき取りましょう。
コナカイガラムシについてはこちらの記事でも対策を紹介しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
炭疽病
葉に黒や灰色の斑点が出たり、穴があいたりする症状があれば『炭疽病』を疑いましょう。炭措疽病菌というカビが原因菌です。
炭疽病は広がりやすく、一度症状の出た部分は回復できません。できるだけ早く発見し、対策をする必要があります。
黒い斑点ができる
初期症状としては、葉や茎に灰色や黒ずんだ円形のまだら模様が生じます。進行していくと、症状の範囲が広がるとともに、穴があき枯れてしまうのです。光合成を阻害し、植物を弱らせて、やがて枯らしてしまいます。
ほぼすべての植物に感染し、株から株へと広がっていくため、他の観葉植物にも被害が及ぶ可能性がある病気です。
病気の部分を全て取り、処分する
見つけ次第、症状が出ている部分をすべて切り取りましょう。発生初期であれば、薬剤の散布もおすすめです。予防薬として使われるのが『オーソサイド』、治療薬が『ベンレート』という名で流通しています。
植物全体に症状が出ている場合は株ごと処分するほかありません。それを避けるためにも、普段から異変がないかチェックしましょう。
うどん粉病
葉にうっすらと白いカビが発生するのが『うどん粉病』と呼ばれる病気です。まるでうどんの粉をかけたように見えるこの病は、どんな植物でも1年通してかかる可能性があります。
気温が高く、ほかのカビとは異なり乾燥した環境で活発に繁殖するのが特徴です。植物の葉にとりつき、養分を吸い取るため、植物が弱る原因となります。
白い粉のようなカビが生える
うどん粉病の原因は、糸状菌と呼ばれるカビです。進行すると葉全体が真っ白になり、光合成が妨げられて成長が鈍ります。花や果実ができなくなったり、葉や茎の形がいびつになったりするだけではなく、最悪の場合は枯死してしまう病気です。
土の水はけをよくし、適切な湿度に保つことと、日当たりをよくすることで、うどん粉病になりにくい環境をつくることができます。窒素やカリウムの不足も、うどん粉病になりやすくなるので、肥料で補充してやるとよいでしょう。
重曹やお酢のスプレーで対策
実は、うどん粉病に効く散布用殺虫剤として、重曹やお酢が農薬取締法で指定されています。
病気の初期段階であれば、重曹やお酢を水で希釈しスプレーすることで、うどん粉病に効果が期待できます。酢と重曹は、それぞれ病原菌の弱点である、酸性とアルカリ性を持っているのです。
病気が進行してしまうと、スプレーだけでは菌の繁殖が止められなくなるため、より強い殺菌剤の使用が必要となります。
殺菌剤を使用する
うどん粉病の原因菌はいくつかの種類があり、感染する植物も異なります。そのため、感染した植物の名前を確認し、それに見合った薬剤の使用がポイントです。
薬をまくときは、白く症状が出ている葉の部分のみにかけたくなりますが、地面に近い部分の葉や茎、葉の裏にもかけるようにすることで、より効果を期待できます。
発病してから時間が経過しすぎていると、殺菌剤を使っても症状が改善しない場合もあります。病気にかかった部分の葉を切り取り、処分しましょう。
青枯病
青枯病は、細菌が原因の伝染病です。菌の侵入経路は根であり、茎を通り上へ上へと進み、やがて植物全体に広がります。
青いまま枯れてしまうことから『青枯病』という名で呼ばれており、夏の高温時に発生しやすくなります。進行が速いため、気が付いたら病気にかかっていたということも、珍しくありません。
急激に株全体が枯れる
青枯病は今まで元気で青々としていた植物が、急に元気を失い、緑色のまましおれてしまい、やがて枯れてしまうという困った病気です。
とにかく急激に進行が進み、数日のうちには株全体がだめになってしまい、根まで腐ってしまうという特徴があります。
治すことができない
青枯病は、残念ながら薬剤での対処ができません。株全体に症状が急速に広がるという特徴から、一部を切り取って進行をおさえることも不可能です。
病気になってしまった株はあきらめ、早めに処分することで他の植物への感染を防ぎましょう。青枯病の原因菌は土に潜んでいるため、土壌を消毒する必要があります。植木鉢で育てていた場合は、消毒後に新しい土に入れ替えましょう。
観葉植物を健康に保つために
観葉植物を健康に保ち、できるだけ長生きさせるためには、水やりや日光、栄養状態など、育て方の基本を守ることが大切です。
水やりの量を誤ると、根腐れのほかにも、湿度が高くなることで病気を引き起こすさまざまな菌や害虫を呼び寄せてしまいます。
日光量も重要です。日光に当たる時間が少なくても、逆に直射日光に当てすぎても植物を弱らせる原因となります。室内で育てる観葉植物だからこそ、日光量の調節には気をつけましょう。
観葉植物の種類によって育て方は異なるため、自分の育てている植物の種類をきちんと把握しておくことが大切です。
それぞれの植物が好む環境を知る
観葉植物によって最適な環境はさまざまです。