香りのよい沈丁花の特徴や品種。苗からの育て方やお手入れ方法も紹介

2020 11/17
香りのよい沈丁花の特徴や品種。苗からの育て方やお手入れ方法も紹介

ふわりと漂うよい香りを楽しみたいなら『沈丁花』がぴったりです。丈夫で育てやすいため、植物の栽培に慣れていない初心者にも向いています。お手入れのポイントを押さえて、芳しい香りの花を咲かせましょう。基本的な特徴や代表的な品種も紹介します。

目次

香り豊かな沈丁花、その特徴は?

香り豊かな沈丁花、その特徴は?

春先になると香り豊かな花を咲かせる『沈丁花(じんちょうげ)』は、どのような植物なのでしょうか?特徴や花言葉について見ていきましょう。

早春に咲く常緑の低木

『沈丁花』は、中国中部から雲南省とヒマラヤ地域が原産のジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木です。樹高はおよそ1~1.5mで、1年中緑色の葉をしています。

丸くこんもりとした樹形で、剪定なしでもキープしやすいため、生け垣に使われることもあります。丈夫で育てやすいという点も魅力で、初心者でも比較的簡単に育てられます。

特徴的なのは、早春の『2月下旬~4月中旬』ごろに咲く香りのよい花でしょう。ピンクや白の花があるため、好みに合わせて選べます。

また、英語名は『Daphne(ダフネ)』といい、ギリシャ神話の下級女神から名付けられています。

花言葉と由来

花言葉は『栄光』『不死』『永遠』『不滅』などが代表的です。沈丁花が常緑樹であることから、常に繁栄し続けている様子が連想されたと考えられます。

香りのイメージから『歓迎』『青春のよろこび』『甘美な思い出』といった花言葉もあります。

また、沈丁花の英語名ダフネは、アポロンとキューピッドが登場するギリシャ神話のエピソードが由来です。

アポロンの言葉に怒ったキューピッドが、アポロンに恋の矢を、ダフネに拒絶の矢を打ちました。そのため、ダフネはアポロンに追われます。ついに逃げ切れなくなったとき、ダフネは月桂樹に姿を変えました。

そして、月桂樹と沈丁花の葉が似ていることから、ダフネと名付けられたのです。

主な種類と品種

主な種類と品種

沈丁花にはいくつかの品種があります。よく栽培されている代表的な種類を紹介するので、好みのタイプを見つけましょう。

ウスイロジンチョウゲ

日本で最もよく見かける沈丁花は『ウスイロジンチョウゲ』という園芸品種です。花の色は、内側が白、外側が薄紅色という控えめな配色をしています。

小さな花が複数集まって咲くため、全体的にほんのりピンクに色づいて見えるのが特徴で、丸みを帯びた花の集まりが可憐な印象を与えます。

シロバナジンチョウゲ

『シロバナジンチョウゲ』は、外側も内側も白い花を咲かせる品種です。緑の葉の中に、白い花が複数まとまって咲いている様子が、清楚さを醸し出します。

白い花がシンプルなため、どのような雰囲気の庭にも合わせやすいでしょう。

フクリンジンチョウゲ

葉の周りに覆輪(ふくりん)という斑が入っている品種を『フクリンジンチョウゲ』といいます。覆輪は白か黄色です。

葉の緑と覆輪の色とのコントラストも魅力といえます。庭全体の雰囲気が単調になってしまったとき、フクリンジンチョウゲがあるとアクセントになるでしょう。

沈丁花は苗から育てよう

沈丁花は苗から育てよう

自宅で沈丁花を育てるときには、苗から始めるのが一般的です。健康な苗を選び、植え付けるためのポイントを紹介します。

苗選びのコツ

苗は3~4月、もしくは9~10月に店頭に並びます。しっかり根付かせるためには、小さな苗から育てるのがおすすめです。

健康に育っている苗を見分けるためには、枝ががっしりとしていて、根元まで青々とした葉がそろっているものを選ぶのがポイントです。大きく育っているように見えても、ひょろひょろと細長く枝が伸びていて、充実していないものは避けましょう。

葉の様子もよく観察します。黄色くなっていたり、落葉していたりするのは、苗が弱っている証拠です。

また、虫食いがないかも確認しましょう。フクリンジンチョウゲの場合には、斑の境目がくっきりしているものを選びます。

植え付けの手順

植え付けは『3月下旬~4月下旬』か『9月下旬~10月下旬』が適期です。新芽が伸び始める前に実施します。移植を嫌うため、またすぐに植え替えることのないよう、しっかりと広い場所を選ぶことが大切です。

どこに植え付けるか決まったら、その場所に、根が土を抱え込むように張っている根鉢という部分の2倍以上の大きさの穴を掘ります。そして、根鉢を崩さないように穴の中にそっと苗を置きましょう。

沈丁花は根が繊細で、傷つくと枯れる恐れもあります。植え付けるときに傷つけないよう、慎重に扱うようにしましょう。

苗の周りに土を足し、株が安定したら水やりをして完了です。

鉢植えの手順

沈丁花は鉢植えでも育てられます。根が大きく育つよう、苗よりも一回り大きな鉢を選ぶのがポイントです。

用意した鉢に、鉢底ネットと鉢底石を入れ、培養土を1/3の高さまで入れます。ここに苗を置きますが、地植えする場合と同様、根を傷つけないよう丁寧に扱うことが大切です。根鉢も崩しません。

苗がぐらつかないよう土を入れ、鉢底から水が出るくらいたっぷりと水やりをします。

育て方の三つのポイント

育て方の三つのポイント

健康に育てきれいで香りのよい花を咲かせるためには、ポイントを押さえた育て方が大切です。沈丁花を育てるときの三つのポイントを見ていきましょう。

土作り

土は『水はけがよく有機質の多い』ものが適しています。弱酸性を好む性質がありますが、そこまでこだわる必要はありません。水はけのよさを重視しましょう。

土作りからする場合には、赤玉土(小粒と中粒を同量でブレンドしたもの):腐葉土=7:3で配合します。配合に慣れていない場合には、花木用の培養土を用意すればOKです。

地植えの場合、土壌の水はけをよく確認します。水はけが悪い場合には、川砂やパーライトなどを混ぜることで改善可能です。また、植え付けの2週間前くらいに、腐葉土やたい肥を混ぜ込み、肥沃にしておくことも大切です。

ほかにも、沈丁花を植える際は『新しい土を使う』ことも重要なポイントです。生育の悪さや病気のかかりやすさにつながる連作障害を避けられます。

水やり・肥料

ほかの樹木より細い根が少なく『水を吸収しにくい』ため、乾燥しないよう注意して管理することもポイントです。

鉢植えの場合には、土の表面を確認し、乾燥していたらたっぷり水やりします。春から秋にかけての生育期は、特に水が必要です。朝と夕方の2回、土表面の乾燥を確認します。

地植えでは基本的に水やりの必要はありません。ただし、春や夏は水切れの心配があります。土がカラカラになっていたら、水やりが必要です。

肥料は、4月・9月・1~2月の年3回与えます。

4月は来年の新芽のために、9月は株自体の成長のために、緩効性肥料を株元に施すのです。また、1~2月に施す有機質肥料により、花の時期に株が弱るのを予防します。

病気・害虫

病害虫の被害を受けないよう予防することも大切です。例えば、沈丁花がかかりやすい『白紋羽病(しろもんぱびょう)』という病気は、根に菌糸が生え、生育の悪さや枯死につながります。

そこで、植え付け前の消毒で予防するのです。根を殺菌剤のベントレー水和剤で消毒し、新しく清潔な土を使いましょう。

害虫は、特に『アブラムシ』や『ハマキムシ』に注意が必要です。アブラムシは新芽や葉裏に付き栄養を吸い取るほか、病気を媒介することもあります。そのため、発見したらガムテームや手で取り除きましょう。

ハマキムシは、葉を糸で丸めたりくっつけたりしてその中で生活し、葉を食べるため、ハマキムシが住み着いた葉ごと取り除いて駆除しましょう。

お手入れ方法もマスターしよう

お手入れ方法もマスターしよう

日々の育て方のほかに、定期的に行うお手入れ方法を押さえておくことも大切です。適切なお手入れで、元気に成長しやすい状態をキープできます。

剪定の時期と方法

沈丁花は、自然と半球状の樹形になるため、小まめに剪定する必要はありません。

ただし、枝や葉が多くなり過ぎると、株全体の風通しが悪くなってしまいます。蒸れは病害虫の発生につながることもあるため、剪定により風通しを確保しましょう。

剪定の適期は、開花後の『4月上旬~5月中旬』です。夏以降に剪定をすると、翌年に花が咲かなくなるため注意しましょう。

また、沈丁花は強い剪定に弱いため『間引き剪定』という方法で行います。花が終わったあとに伸びてくる新しい枝をつけ根から切り落とすのです。ほかにも、枯れた枝や重なり合った枝をつけ根から切ります。

枯れるのを防ぐため、太い切り口に『癒合剤』を塗って仕上げれば完了です。

植え替えの時期と方法

植え替えに向かない性質の沈丁花ですが、鉢植えの場合には、定期的な植え替えが必要です。鉢の中が根でいっぱいになると成長しにくいため、一回り大きな鉢へ植え替えます。適期は『5月下旬~6月下旬』です。

まずは、一回り大きな鉢に『鉢底ネット』『鉢底石』をセットし、さらに『新しい土』を鉢の1/3まで入れ準備します。株を古い鉢から取り出したら、丁寧に土を落としましょう。このとき、根を傷つけないようにします。

新しい鉢に株をセットしたら、振動させたり細い棒を差し込んだりしながら土を追加し、株を安定させます。根の間にも土をしっかり入れ、最後にたっぷり水やりをすれば、植え替えの完了です。

挿し木で増やす方法

株を増やしたいときには『挿し木』が有効です。4月に行う春挿しは前年に伸びた枝を、7~8月に行う夏挿しは今年伸びた枝を使います。

まずは、前日の夕方に水やりをした株から、約10~15cmくらい枝の先端を切り取りましょう。先端の葉2~3枚を残し、ほかの葉を切り取ったら、切り口をななめにカットし1時間ほど水に浸します。

発根促進剤を切り口に付けたら、湿らせた赤玉土へ枝を挿し、土が乾燥しないよう管理しましょう。発根までは約2~3カ月かかります。10cmくらい根が出たら、鉢に植え替えて育てましょう。

地植えする場合には、翌年に植え付けます。

まとめ

芳しい香りが特徴の沈丁花は、育て方のポイントを押さえれば、簡単に育てられる植物です。地植えで生け垣にしたり、鉢植えで育てたりできます。

真っ白の花や、外側がピンクの花、葉に斑が入っているものなど、品種による違いがあるため、好みの沈丁花を育てましょう。

苗は、青々とした葉が付き、枝が充実したものを選ぶのがポイントです。植え付けの際は、根を傷つけないよう注意しながら、水はけのよい有機質の多い土を入れた鉢に植え付けます。

定期的な剪定や植え替えも行います。株を増やしたいときには『挿し木』も可能です。適切なお手入れで、沈丁花を栽培してみましょう。

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