アガパンサスの種類と特徴とは?育て方やお手入れも紹介!
アガパンサスとはどんな花?
アガパンサスは長く伸びた茎に、小さな花びらが放射状にいくつも広がる優雅で美しい花です。花色は白、青紫、青、紫、ピンクなどがあり、草丈も30~150cmと豊富な品種が魅力。原産地は南アフリカで、花の形がユリや君子蘭に似ていることから「アフリカンリリー」、和名では紫君子蘭(ムラサキクンシラン)と呼ばれています。
耐寒性、耐暑性、耐陰性に強く、とても丈夫な性質です。植えっぱなしでも手がかからないので、初心者でも育てやすいでしょう。公園や道沿い、花壇などによく植えられており、切り花にも利用されています。
アガパンサスの名前は、ギリシャ語の「agape(アガペ・愛)」と「anthos(アントス・花)」から由来してるといわれています。「愛の花」という意味がありますが、情熱的な愛ではなく「無償の愛」を意味します。
開花時期
アガパンサスの開花時期は5月下旬~8月上旬頃です。梅雨の時期から咲き始め、初夏にふさわしい涼しげでさわやかな花を咲かせます。花持ちは7~10日で、切り花が出回る時期は5~7月頃。切り花は、フラワーアレンジメントやブーケなどに人気です。
ジューンブライドの季節に咲く花として、白い花色のアガパンサスがブライダルブーケにも使われています。6月27日の誕生花でもあり、花言葉は「恋の訪れ」や「ラブレター」です。ブライダルや恋人への贈り物にぴったりの花ですね。大切な人へブーケにしてプレゼントしてみてはいかがでしょうか?
常緑種と落葉種
アガパンサスは毎年花を咲かせる多年草で、常緑種と落葉種があります。常緑種は冬でも葉が枯れず、緑の葉が1年中楽しめるので、グランドカバーとしても人気です。落葉種は冬になると地上部の葉が枯れて休眠します。常緑種は半耐寒性で、落葉種は耐寒性が強い特性です。
アガパンサスの原種って何?
アガパンサスの原種は、アフリカに10~20種類ほど自生しています。主な原種を2種類紹介しましょう。
アガパンサス・プラエコクス・オリエンタリス
草丈が50~100cmほどある大型の品種です。花色は青紫や白で、葉は厚みがあり50~60cmの長さがあります。花数が多く、100輪以上の花を咲かせることも。この品種から派生して、多くのアガパンサスの園芸品種が作られました。常緑種で、日当たりのよい草原などに自生しています。
アガパンサス・イナペルツス
草丈が90~120cmほどあり、花の形と咲き方に特徴がある品種です。細長い筒状の花で、蕾のときは上を向いていますが、蕾が開くと下向きに咲きます。他のアガパンサスと大きな違いがあるので、見分けが付きやすいでしょう。耐寒性が最も強い品種で、マイナス15℃まで耐えられるほどです。落葉種で、日当たりのよい草原や、川の近くなどに自生しています。
アガパンサスで人気の種類・品種
アガパンサスは園芸品種が300種以上と、豊富な種類があります。草丈が30cmほどのものから、1mを超えるものまであり、花色もさまざまです。ここでは人気の品種を6種類紹介します。
リリプット
リリプットは、草丈が40~50cm、花径が10cmほどの小型の品種。花つきがよく、小さな花が20~25ほど咲き、花色は青紫です。コンパクトなタイプなので、鉢植えや狭い場所での地植えも可能。落葉種で、冬は地上部が枯れます。
ジューン・ブライド
ジューン・ブライドは、草丈が50~80cmで、名前にふさわしい純白の花を咲かせます。切り花にもよく利用されている品種で、ブライダルブーケなどウェディングのアレンジに人気。落葉性で、花径は15cmほどです。半日陰でも栽培が可能で、地植えすると大株に育ちます。
秋の空
秋の空は、草丈が90~110cmで、初夏と秋に花を咲かせます。1年に2回花を楽しめるのが魅力の品種です。落葉種で、冬は地上部が枯れます。関東より西では地植えが可能で、冬場はマルチングなどを施して越冬するとよいでしょう。花径は12cmほどで、花色は青紫です。
ゴールデン・ドロップ
ゴールデン・ドロップは、草丈が40~60cmで、斑入りの鮮やかで美しい葉が特徴です。花径は8cmほどで、花色は白や薄紫などがあります。鉢植えではコンパクトにまとまりますが、地植えも可能で大株に育ちます。落葉種で日当たりを好みますが、半日陰でも栽培可能。切り花にも利用できます。
ツイスター
ツイスターは、草丈が40~60cmで、白から青へ変化する珍しいバイカラータイプの品種です。耐暑性や乾燥、病気に強く、育てやすいのも魅力。鉢やプランター、地植えなど様々な場所で育てられます。耐寒性もありマイナス10℃ほどまで耐えられますが、寒冷地では冬場はマルチングをするとよいでしょう。落葉種で、花径は7~10cmほどです。
紫式部
紫式部は、草丈が90~110cmで、濃い青紫色が鮮やかな品種です。花径は約13cmで、切り花にも利用されます。落葉種で、耐暑性が強く日当たりを好みますが、半日陰でも栽培可能。寒冷地では冬場はマルチングするか、鉢植えなら室内に移すとよいでしょう。
アガパンサスの育て方・栽培方法
アガパンサスを育てるには、苗か根茎を植え付けるのが一般的です。種はほとんど流通せず、種まきから開花まで5年ほどかかります。アガパンサスの花が咲いた後に花茎を切らないでおくと種ができるので、種から育てたい場合は採取してみましょう。種の採取後はすぐに種まきするか、乾燥させて涼しい場所に保管しておきます。
アガパンサスを植える前の土作りも大切です。どんな土質でも基本的には育ちますが、湿気に弱いので水はけのよい土を選びましょう。鉢植えの場合は市販の草花用培養土を使うか、赤玉土が7、腐葉土が3の割合で混ぜた土を使います。地植えの場合は、堆肥や腐葉土を混ぜておくとよいでしょう。
水やりと肥料
アガパンサスは、乾燥に強く湿気に弱い性質なので、水やりは控えめにします。湿っている状態が続くと根腐れが起きやすいです。地植えならほとんど水やりをしなくてよいでしょう。雨が長期間降らないときは、土の状態を見て乾燥しているようであれば水やりします。鉢植えの場合は、土が乾燥している時だけ水やりを行ってください。水やりをする時間帯は、午前中の早い時間に行いましょう。
丈夫な花なので肥料はほとんど必要ありませんが、肥料を与えると花つきが多く、よく育ちます。地植えの場合は植え付けするときに腐葉土や堆肥を混ぜ込んでいれば、肥料を与えなくてもよいでしょう。鉢植えの場合、草花用培養土なら元肥が入っているので肥料は与えず、混ぜて作った土には緩効性化成肥料を混ぜておきます。春と秋に月に1回程度置き肥を行うか、月に2回程度液体肥料を与えましょう。
植え付けや植え替え
アガパンサスの植え付けに適した時期は4~6月または9~10月頃です。苗は根を傷つけないようにポットから抜き、15~20cm間隔で穴を掘って植え付けます。根茎は深さ2cmほどのところに浅めに植え付けし、芽が出ている場合は、芽が地上に出るように植えてください。鉢植えの場合、根張りが強いので大きめの鉢やプランターで育てるとよいでしょう。
地植えでは大きく育ちます。日当たりのよい場所が適していますが、半日陰でも栽培できる品種もあります。しかし、極端に日当たりの悪い場所では花が咲きません。植え付け後2年目ぐらいから本格的に花を咲かせます。
地植えの場合は10年以上植えっぱなしでもよく育ちますが、鉢植えの場合は根詰まりを起こしてしまうので、2年に1回ほど植え替えをしましょう。植え替えの時期は4~5月または9~10月頃が適しています。植え替える際に株分けも行うとよいでしょう。株を分けるときに、小さく分けすぎると花が咲かない場合があるので、注意してください。
お手入れ方法
アガパンサスは剪定の必要はありません。花が咲いた後は花茎を切っておきましょう。種を付けさせないようにすると、株に栄養分が残ります。種を採取したい場合は必要な分だけ残して、緑のさやができる様子を観察するのもよいでしょう。
アガパンサスにはあまり害虫はつきませんが、アブラムシが発生する場合があります。アブラムシを見つけたら粘着テープを貼り付けて取り除くか、殺虫剤で駆除してください。
落葉種は寒さに強いですが、常緑種は寒さに弱い性質です。寒冷地で育てる場合は、冬場は株元にマルチングをするか室内に移動するなどの対策をしましょう。
アガパンサスと組み合わせてみたい植物
常緑種は季節を問わずきれいな緑色の葉を楽しめ、グランドカバーに最適です。また、アガパンサスは様々な花色があり、どんな花ともよく合います。寄植えにもぴったりですので、いろいろな花を組み合わせて楽しみましょう。アガパンサスと相性のよい植物を紹介します。
- 青系:ローズマリー、ロシアンセージ、セイヨウニンジンボク
- 白系:ガウラ、アナベル、カシワバアジサイ
- ピンク系:アンジェラ(つるバラ)、エキナセア、ブッドレア
- 黄色系:セイヨウノコギリソウ、ヒペリカム、オミナエシ
まとめ
アガパンサスは種類が豊富にあり、育てやすいのが魅力です。寄植えやアレンジメント、グランドカバーなどいろいろ楽しめます。日当たりと水はけのよいところに植えて、水やりを控えるのが育て方のコツ。植えっぱなしでも毎年花を咲かせてくれるので、ガーデニング初心者でも育てやすいですよ。清涼感をもたらすさわやかなアガパンサスを、夏に楽しんでみてはいかがですか?