ライチの種類と違いについて。ライチの旬の時期と自宅で育てる方法も
ライチは東南アジアなど暖かい土地へ旅行に行った時に、ホテルや現地の市場で見かける機会が多いと思います。なめらかな舌触りで芳醇な香りがする実を口に入れれば、虜になる人も多いはずです。そんなライチの種類や育て方、より美味しく食べる方法を紹介します。
ライチとは?
ライチは、アジアの暖かい国でよく見かけるイメージではないでしょうか。日本国内ではまだ少し珍しい果物かもしれません。ライチとはどのようなフルーツなのか、特徴などを見ていきましょう。
ライチの特徴
ライチは中国生まれの果樹で、10mほどの高さまでぐんぐん生長していきます。6〜8月ごろに、一つの枝に数個から数十個の実を付けます。
実は直径3〜5cmくらいのボール型をしていて、表面はゴツゴツとした硬い皮に覆われています。その見た目からはまだ魅力が感じられませんが、うろこのような皮を剥くと半透明の白くなめらかな実が顔を出し、豊かな香りが感じられます。
みずみずしく、甘味も酸味も感じられる絶妙な味わいに、思わずやみつきになってしまいます。
楊貴妃も好んだ果物
ライチの魅力は、その美味しさだけに留まりません。実は女性にとってうれしい栄養や効能も含まれているのです。
ライチには、シミを防ぐロイコシアニジンと、美肌に効果的なビタミンCが含まれています。さらに、妊娠中の女性にとって必須の葉酸や、貧血に効く銅も含みます。
かの有名な中国の王妃・楊貴妃は、ライチをこよなく愛していたという記録があります。美味なことはもちろんのこと、ライチを食べることでうれしい栄養や効能を得られることが、彼女のハートを射止めたといえるでしょう。
ライチの種類にはどんな違いがある?
ライチといえば、茶色がかった赤い皮の丸いフルーツ、と思い浮かべる人が多いです。しかし、実はライチには100種もの種類があるのです。中でも代表的な三つを紹介します。
台湾でも希少な品種「玉荷包」
「玉荷包(ギョクカホウ)」は、有名なライチの産地である台湾においても、収穫量が少なく希少な品種です。
皮はトゲのような突起に覆われて、完熟しても少し緑の部分が残ります。その見た目から「ドラゴンライチ」とも呼ばれ、一見皮は剥きにくそうに感じられますが、比較的皮の処理がしやすいです。他の品種と比べて種が小さいため実が肉厚で、果汁もたっぷり含み食べごたえがあります。
日本でもおなじみな「黒葉」
「黒葉(コクヨウまたはクロハ)」は日本の市場でよく見かける品種です。ライチについて質問すると多くの日本人が思い浮かべるのは、まず黒葉といっても間違いないです。
玉荷包に比べると、見た目は少しマイルドな印象です。皮は赤褐色をしていて、うろこのような凸凹が入っています。ライチの中でも栽培しやすいことから収穫量が多く、世界的な認知度も高い品種です。
グリーン系の果皮「妃子笑」
「妃子笑(ヒシショウ)」はライチの中でも珍しい緑色の皮をしています。英語では「プリンセスグリーンライチ」と呼ばれ、楊貴妃が愛したとされています。
表面がゴツゴツとした緑の皮に包まれた硬い印象ですが、指で簡単に剥け、食べやすい品種です。玉荷包と同じく種が小さめで、プリッとした実は酸味が少なく、甘い味と香りが口いっぱいに広がります。
ライチを育てる方法は?
スーパーや果物専門店でないと手に入らなそうなライチですが、実は家庭で栽培することも可能です。わざわざ探し回らなくても時期が来たら自宅でライチを楽しめるよう、育て方について見てみましょう。
苗から育てる方法
ライチの苗はネットなどでも簡単に購入できます。初心者の場合、苗を植えて育てるのがおすすめです。
暖かく湿気の多い環境を好み、寒さには非常に弱い植物す。そのため、日本においてはビニールハウスなどを用意しない限りは、移動させやすい鉢で育てましょう。
あらかじめライチが好む弱酸性の用土を準備しておき、水はけがよくなるよう鉢底には石を置き、そこに土を入れ苗を植えます。3〜4月ごろに植え付けをし、その後水やりや施肥を適切に行います。順調に育てれば、一番の目的でもある実の収穫は6〜8月にできるはずです。
種から育てる方法もある
苗を購入しなくても、美味しく食べ終えたライチの種を活用して栽培することもできます。ただし、この方法はとても時間がかかり、ライチの実を収穫するまで気長に育てることになります。
入手した種は、まず果肉などが残らないよう周りをキレイに洗い流します。そこから水分を失わせないよう濡れたコットンで覆ったり、水をしっかりと含んだスポンジに置きます。水分量を保ちつつ、日がよく当たる屋外か窓辺で管理しましょう。
成功すれば、早くて1週間ほどで発芽します。種から育てる場合は、まず水を絶やさないよう水耕栽培から始め、発芽したら土に植え替えます。
ライチを自宅で育てるコツ
ライチは日光とたっぷりの水を好みます。苗から育てる場合も、種から育てる場合も、日当たりのよい場所に置きましょう。水は土の表面が乾いているのを確認したら鉢の底から流れ出るほど与え、特に実がなる間は水分の消費が激しいので1日に2回あげるようにします。たくさんの水分のおかげで実はより美味しくなります。
また、ライチはよく生長するため、放っておくとどんどん上に伸びていきます。管理しやすいよう2〜3mほどの高さに整え、幹に日の光が当たるように注意し、栄養が行き渡りやすいよう枝の剪定も欠かさないようにしましょう。害虫の被害を防ぐために、葉水や薬剤の散布、実が付いたら袋掛けをするなど予防対策も忘れないようにします。
気温が15℃以下になったら、寒さから守るためにも室内の日当たりのよいところへ移動します。ライチを自宅で育てるのに、上手に越冬させることはとても大切です。成長を楽しみながら育て、収穫期にはこれまで味わったことのない生の実を味わいましょう。
ライチを美味しく食べるには
フルーツを美味しくいただくには、旬の状態を見極めることが大切です。完熟したものを選ぶことでより美味しく食べられます。熟したライチの見分け方や、より美味しく食べる方法を紹介します。
基本的な果皮の剥き方
完熟したライチは、皮が赤やオレンジ色をしています。茶色くなっているものは傷み始めているので、食べるのは避けましょう。実を持った時、ハリがあり表面がなめらかなものが食べごろです。実をつまみ、中央あたりにナイフで切り込みを入れ、その切り口から皮を剥きます。
一見硬そうな皮でも完熟したライチは柔らかいので、指でも簡単に剥けます。ヘタの部分を指先で持ち上げて外し、あとは実のお尻をつまむようにして皮の中から押し出します。ブドウの実を皮から取り出すのと似ています。
そのままかぶりついてもよいですが、中の大きな種から果肉を剥がして食べるようにします。種にはわずかながら毒が含まれますし、より美味しく食べやすくするためにも除いてからいただくのがおすすめです。
余ったライチはジャムに
ライチは鮮度が落ちやすく、収穫してから食べごろまでがとても短いフルーツです。そのため、できるだけ早く食べるのがおすすめですが、豊作で食べきれないということもあるかと思います。
そんな時におすすめなのが、ジャムにして食べる方法です。皮と種を除いたライチの果肉を、砂糖とハチミツ、クエン酸とともに鍋に入れます。鍋を火にかけ、ちょうどよい触感になるまでコトコト煮込みます。
ライチ本来の甘さを味わいたい場合は、砂糖の量は調節しましょう。市販ではなかなかめぐり逢えない、珍しい自家製ジャムが手に入ります。
お酒にするのもおすすめ
市販でライチが使用されているフレーバーのものをチェックすると、ライチ酒というものをよく見かけます。食べきれない場合、自分でお酒を作るのもよいでしょう。