クレマチスとはどんな花?花言葉・育て方・植え替えや寄せ植えも紹介
クレマチスは鮮やかな色の花を咲かせる『つる植物』で、品種によって開花時期を選べることからガーデニング用として人気があります。挿し木によって増やすことも可能です。クレマチスに関する基本情報をはじめ、育てるときのポイントまで詳しく紹介します。
クレマチスとはどんな花?
クレマチスといえば、イングリッシュガーデンに咲き誇っているようなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。実際、イギリスをはじめとするヨーロッパでは、昔からクレマチスの栽培が盛んに行われてきました。
しかし実は、約300種類あるクレマチスの3分の1は中国に自生するといわれています。さらに日本にも『カザグルマ』などクレマチスの原種が約20種類存在することを知っているでしょうか?
クレマチスとはどのような花なのか、意外と知られていない魅力について紹介します。
『つる植物の女王』の異名を持つ
クレマチスは、キンポウゲ科センニンソウ属のつる植物の一つです。花の色やサイズが豊富にあるため、観賞価値が高く日本に限らず世界でも人気の植物といえます。
ガーデニングが盛んなイギリスでは、バラを『つる植物の王』、クレマチスを『つる植物の女王』と呼んでいます。クレマチスはバラのパートナープランツとして親しまれているのです。
女王のような華やかさと存在感を持つことから、このような異名がついたと考えられます。
クレマチスの花言葉と由来
クレマチスは茎が細いため弱々しく見えますが、実は折れにくく大輪を咲かせることから『精神の美』という花言葉を持っています。ほかにも『旅人の喜び』『策略』が代表的な花言葉として知られ、それぞれに由来があります。
『旅人の喜び』は、旅人が気持ちよく泊まれるよう宿の玄関にクレマチスを植えていたというヨーロッパの風習が由来しています。『策略』は、クレマチスの葉や茎に毒性があることを知ったフランスの物乞いが、わざと自分の皮膚につけて通行人の同情を買おうとしたことからきているようです。
クレマチスの種類・品種タイプ
クレマチスには、たくさんの種類やタイプがあります。花を咲かせる回数や剪定の仕方が異なるため、まずはそれぞれの特徴を知っておきましょう。
ここでは、『新枝咲き』『旧枝咲き』『新旧両枝咲き』の3タイプに分けて紹介します。
長く花を楽しめる『新枝咲き』
新枝咲きは、新しく伸びたつるから花が咲くタイプです。具体的には『ビチセラ系』『テキセンシス系』があります。どちらも四季咲きで一年のうちに何度も花を咲かせるため、長期的に楽しみたい人におすすめといえます。
ビチセラ系はつるが細めで花のサイズも小~中サイズ、目立ちすぎずバラとの相性もよいです。代表的な品種は『クイーンマザー』『エトワール・ドーズ』『マダム・ジュリア・コレボン』などがあります。
テキセンシス系は、つぼ型やベル形などとよばれる大きくて存在感のある花を咲かせます。暑さや寒さに強いため、ガーデニング初心者でも扱いやすいといえそうです。代表的な品種には『プリンセスダイアナ』『ベルテッセン』『クリオネ』などがあります。
春の訪れを告げる『旧枝咲き』
旧枝咲きは、前年に伸びたつるから花が咲くタイプです。具体的には『モンタナ系』『フォステリ系』などがあります。
モンタナ系は数多くあるクレマチスの中でも多くの花を咲かせ、さらに香りがよいのが特徴です。開花期間は比較的短いですが、その分咲き誇る様子は圧巻です。代表的な品種には『スターライト』『スノーフレイク』『ルーベンス』『エリザベス』などがあります。
フォステリ系はつるがあまり伸びないため、鉢植えで育てることも可能です。花つきがよく、年々成長していくと見事な仕上がりになるでしょう。『アバランチェ』『カートマニージョー』などの品種がありますが、どれも比較的淡い色合いが多いため他の花との相性もよいのが特徴です。
よいとこ取りの『新旧両枝咲き』
新旧両枝咲きは、新枝咲きと旧枝咲き両方の性質を持つタイプです。前年に伸びたつるからはもちろん、新しく伸びたつるからも花が咲くため、よいとこ取りのタイプといえるかもしれません。
上向きに大きな花を咲かせるのが特徴で『フロリダ系』がこのタイプに入ります。四季咲きで開花期間が長いため、クレマチスならではの華やかさを長期的に楽しみたい人におすすめです。
代表的な品種は『テッセン』『カルセドニー』で、個性的な花を好む人に人気が高いです。
クレマチスの育て方【準備編】
クレマチスを自宅で育てる場合、どのような準備が必要なのでしょうか?あらかじめ準備しておきたいアイテムや土、そして苗の選び方をチェックしておきましょう。
必要になるアイテム
クレマチスを育てるにあたり、まずは以下のアイテムを準備しましょう。地植え・鉢植えどちらにも共通するアイテムです。
- クレマチスの苗
- 土
- 支柱
- ラベル
- じょうろ
支柱は、アサガオを育てるときのような『あんどん仕立て用』がおすすめです。成長してつるが四方八方に伸びてきても、あんどん仕立て用の支柱があれば全体に日が当たり花が綺麗に咲きやすいからです。
鉢植えの場合は、さらに『鉢もしくはプランター』『鉢底ネット』『鉢底石』も用意しましょう。鉢もしくはプランターは、苗より一回り大きめのものを用意するのがポイントです。
植物を育てる土台、土について
植物がすくすく育つ上で、土台となる土はとても重要です。クレマチスの場合、栄養分が多く含まれたふかふかした土を選ぶようにしましょう。具体的には、赤玉土40%、ピートモス40%、バーミキュライト20%という割合がおすすめです。
さらに定期的に肥料を与えることも忘れてはいけません。液体肥料と緩効性肥料どちらも用意しておきましょう。土の配合に自信がない人やガーデニング初心者の場合は、あらかじめクレマチス専用培養土を選ぶと安心かもしれません。
元気に育つ苗の選び方
一般的にクレマチスは種まきから始めるのではなく、苗を利用します。クレマチスの苗には1年苗と2年苗がありますが、茎がしっかりと太く葉の色が濃い2年苗を選びましょう。
チェックポイントは「葉の色やツヤがよいか?」「株元から枝が多く出ているか?」です。品種によって育て方が異なるため、苗についたラベルは捨てないよう注意しましょう。
クレマチスの育て方【実践編】
必要なものが揃ったら、いよいよクレマチスの苗を植え付けていきます。その際、どのような手順で行えばよいのでしょうか?三つのポイントに分けて解説します。
植え付けの手順
クレマチスは基本的に1年中植え付け可能ですが、最も適しているのは12~翌2月中旬頃です。ただし寒い地域の場合、厳冬期は避けたほうが賢明といえます。
地植えするときは、日当たりがよく風が通る場所を選ぶのがポイントです。クレマチスの根は回復するまでに時間がかかるため植え替えはおすすめできません。場所選びは事前にしっかり行うようにしましょう。
地植えの場合、直径と深さともに40cm以上になるよう掘り、その穴の半分くらいまで用意した土を流し込みます。苗を根鉢からゆっくり取り出し、根元から2番目の葉が出ているところが隠れるくらいに土をかけましょう。あとは、水をたっぷりやれば植え付け完了です。
鉢植えの場合も工程はほぼ同じですが、土を流し込んだら先に支柱を差しておくことをおすすめします。