オモダカとは?花の特徴・花言葉・育て方・手入れ方法を紹介!
日本各地の水田や用水路などで見られるオモダカは、水生の多年草です。丈夫で繁殖力が強く、水田では雑草として扱われる一方で、アクアリウムやビオトープなどで多用されています。この記事では、オモダカの特徴や栽培方法について、詳しく紹介していきます。
オモダカとはどんな花?
オモダカは、私たち日本人にとって古くから身近な存在です。薬用に用いられる品種や改良して食用にしてきたものがあり、武士の時代には図案化したものを家紋などのしるしとして用いてきました。
そんなオモダカがどのような性質をもっているのか、花言葉などの情報とあわせて見ていきましょう。
オモダカの基本情報
科・属 | オモダカ科:オモダカ属 |
和名 | オモダカ(沢潟、面高) |
英名 | threeleaf arrowhead, Chinese arrowhead |
学名 | Sagittaria trifolia |
花の色 | 白 |
原産地 | 日本を含む東、東南、西アジア |
開花時期 | 7~10月 |
オモダカは生き物の住処や産卵床にはなりませんが、ビオトープなどではアクセントとして重宝されている水草です。生命力が強く、爆発的に増えてしまうことがあります。
オモダカの特徴
オモダカという名前の語源ははっきりしませんが、湿地を意味する中国語の涵澤(オムダク)からきているとも、人の顔のような葉を高く伸ばす姿を面高(オモダカ)としたともいわれています。また、ハナグワイ、サンカクグサ、イモグサ、オトゲナシ、カチグサなど多くの別名を持つ植物です。
オモダカは親株からランナーを伸ばし、その先端に子株の塊茎を作ります。根元にまとまってつく葉は、まず線形のものを数枚出します。その後、先端がヘラのような形の葉が1~2枚姿を表し、やがて特徴的な矢じり形の葉が姿を見せます。秋以降に新しく増える塊茎は休眠に入っている場合が多く、目覚めるためには高い気温にあたることが必要です。条件が整ったとしても芽吹きにはバラつきがあり、遅いものでは夏にはいってから目覚める塊茎もあります。
メダカとの相性
オモダカの仲間に、ナガバオモダカという種類があります。ナガバオモダカは、メダカと非常に相性がよい水草です。7~30cmほどの葉は長い楕円形で、一般的なオモダカのように矢じり形ではありません。雌雄異株ですが、日本では雌株のみが流通しています。4~9月頃に白い花を咲かせ、水中に沈めておくと冬でも常緑です。ナガバオモダカはメダカの隠れ家や遊び場になり、葉数が増えたり草丈が伸びたりしてもメダカが泳ぐスペースを侵害しないため、人気が出ています。
文様としてのオモダカ
日本では、オモダカの葉や花を図案化したものを、古くから用いてきました。奈良時代以降、着物の文様や貴族の車、鎧や武具などにもしるしとして使われています。また、葉が矢じりに似て「勝ち草」の別名を持つことから、武士の間で家紋として広まっていきました。「沢潟紋(おもだかもん)」と呼ばれる家紋は、立ち沢潟や抱き沢潟など100種類以上があり、大給松平家や滝脇松平家のほか、酒井氏や土井氏、毛利氏など多くの家で使用しています。
また、オモダカの柄は今でも反物に使われ、夏の着物に用いられています。
オモダカの開花時期や見頃の季節
オモダカの開花時期は7~10月頃です。雌雄同株ですが、雄花と雌花の別があります。開花期になると長い花茎を伸ばし、雄花は先端に、雌花は下部に咲かせます。白い花の直径は2.5cmほどで、花弁は3枚です。雄花の中心には退化した雌しべがあり、その周りを多数の雄しべが取り囲んでいます。一方の雌花の中心には緑色の雌しべが集まり、花弁の外側には3枚のガク片があります。
オモダカの花言葉と由来
オモダカには、「信頼」と「高潔」の花言葉がついています。しかし、残念ながらなぜこれら2つの言葉がついたのかは定かではありません。
一説には、オモダカの性質が関係しているといわれています。一般的に、多くの植物は過湿を嫌うものです。しかし、水生植物のオモダカは田んぼなどの湿地でしっかりと茎葉を育て、花期には愛らしい花を咲かせます。その姿から、「高潔」の花言葉がついたとされていますが、臆測の域を出ません。日本人との歴史が古いオモダカ、いつの日か「信頼」も含めて花言葉の正確な由来がわかるといいですね。
オモダカの種類・品種
オモダカには八重咲きの園芸品種であるヤエオモダカがあります。ヤエオモダカは6月頃から芽が出始め、開花期の7~8月になるとボンボンのように丸く可愛らしい純白の花を咲かせます。特徴的な葉の形や性質は、一般的なオモダカとあまり変わりません。そのほか日本国内には、アギナシやウリカワ、カラフトグワイなどのオモダカ属が自生しています。
アギナシ 北海道から九州までの湖沼や湿地などに生育しており、矢じり形の葉や白い花などオモダカに酷似していますが、アギナシはランナーを作りません。
ウリカワ 根際から、やや厚みのある線形の葉を伸ばします。花茎は20~30cm程度まで伸びることが多く、白い花には雄花と雌花があります。
クラフトグワイ 主に寒冷地に生息しており、日本では釧路地方などで確認されています。根際から伸びる葉は、発生初期には線形で水に沈んでいますが、やがて矢じり形の浮葉を展開していきます。
オモダカの育て方・栽培方法
水生植物のオモダカは根を水に浸けた状態で育てるので、まずは栽培に適した環境を用意することが必要です。用土なども一般的な草花とは異なるので、しっかりと確認して準備しましょう。耐暑性が強いので日本の夏でも元気に育ち、寒冷地以外では地植えのまま冬越しできます。寒冷地で地植えにしている場合は、鉢上げして水の凍らない場所に置くとよいでしょう。
栽培環境
オモダカは日あたりがよい場所で育てましょう。日陰には耐えられないので、少なくとも半日は日があたる場所を選んでください。池などの水中に植え付ける場合は、水深が10cm以上にならないように調節します。
用土
鉢植え栽培では、市販の水生植物用の培養土や荒木田土などの、重く泥質の土を使います。手に入るのであれば、除草剤などを使用していない田んぼの土が最良です。湿地へ地植えにする場合は、特に土質を選びません。
植え付け方法と時期
オモダカを植え付ける適期は、3~4月頃です。園芸店などで購入した苗を水槽やビオトープなどで育てる場合は、ポリポットのまま水に沈めても問題ありません。好みの鉢に入れる場合は、根鉢を崩さずに植え付けましょう。地植えにする際は、必ず湿地に植えてください。
肥料と水やり
肥料 オモダカへの施肥は、5~10月に月1~2回の割合で行います。緩効性化成肥料もしくは発酵済みの油かすを、浮いてこないように土に埋め込んで与えてください。
水やり 根が水に浸かっていれば、特に水やりは必要ありません。ただし、水槽など容器に入れた水が腐らないように注意しましょう。
オモダカの手入れ方法や増やし方
繁殖力旺盛なオモダカは、数を増やすことも難しくありません。一方で野外に捨てるとあっという間に増えてしまい、雑草として駆除が必要になる場合もあります。増えすぎた株は安易に外に捨てず、ゴミに出すなど責任を持って処分してください。
また、オモダカを好む虫もいるので、ここでしっかり確認しておきましょう。
植え替えや鉢替え
オモダカの球根はランナーが伸びて鉢底に潜ってしまうことが多いため、これを解消するために毎年植え直します。適期は3~4月頃で、芽が出る方を上にして植え替えましょう。根鉢を崩さずに別の鉢に植え替える場合は、季節を問わず行えます。
剪定・切り戻し
オモダカには、特に剪定や切り戻しは必要ありません。
注意したい病害虫
オモダカで注意したい害虫は、バッタとヨトウムシです。どちらも葉を食害し、成長とともにその量が増えていきます。株全体の葉を食べつし、枯らしてしまうこともある厄介な害虫です。バッタは早朝に、ヨトウムシは夜間に見回り、見つけ次第捕殺しましょう。病気はあまり見られませんが、1993年に栃木県内でオモダカに斑点病を引き起こす新種の真菌シリンドロカルポンが発見されています。