手軽に楽しむシソの育て方。土・水耕栽培で芽や花まで食べてみよう
『シソ』は、比較的簡単に育てられることから、初心者でもチャレンジしやすい植物です。自宅で育てていれば、「料理に少しだけプラスしたい」というときも、収穫してすぐに使えるため便利でしょう。プランターを使う栽培方法と水耕栽培の方法を紹介します。
シソの基本情報
薬味としてなじみ深い『シソ』は、日本のハーブとして古くから使われている植物です。では、どのような特徴があるのでしょうか?由来や青ジソとの違いについて見ていきましょう。
由来や特徴
草丈が10~30cmほどの『シソ』は、さわやかな香りが特徴の一年草で、ヒマラヤ・ミャンマー・中国南部が原産地です。
日本でも古くから自生している植物で、縄文時代の遺跡からは種や実が発掘されており、平安時代には栽培もされていたと考えられています。
また、シソは葉の色によって、緑色の『青ジソ』と赤紫色の『赤ジソ』の2種に分類できます。
シソを漢字で『紫蘇』と書くのは、紫色の葉をした赤ジソを煎じて飲んだことで中毒症状から回復した(蘇った)、という中国・後漢時代の逸話が元といわれています。
大葉との違い
スーパーで見かける『大葉』は、シソの葉とよく似ているため、その違いに悩む人もいることでしょう。実は『大葉は青ジソの葉のこと』で、どちらも同じものを指す言葉です。
シソは、葉だけでなく花や実も含めて指す言葉のため、食材として店で葉のみを扱う場合、区別が付きにくかったのです。そこで、葉とその他の部分を区別するために『大葉』と呼ばれるようになりました。
その後、1960年代に青ジソが流通し始めたことをきっかけに、全国にその名が知られるようになっていったのです。
シソを種・苗から栽培してみよう
こぼれ種からも芽が出るシソは、初心者でも栽培しやすい植物です。種でも苗でも育てやすく、どんどん収穫できるでしょう。植え付けまでの方法を見ていきましょう。
土の準備
シソを植えるための土は『赤玉土』や『腐葉土』を配合して作ります。配合して作るのに慣れていない場合は、野菜やハーブ用の『市販の培養土』を用意すると手軽でしょう。
元肥入りの培養土であれば、そのままプランターに入れるだけでよく育つため便利です。
地植えでシソを育てるなら、まずは石灰で土壌を中和させましょう。その後、たい肥や化成肥料を元肥として混ぜ込み平らにならせば、準備完了です。
種まきの方法
発芽率の高いシソは、種から育てやすい点も魅力です。種まきは『4~5月』が適期です。寒い地方で育てる場合には、7月ごろにまくとよいでしょう。
種まきの前日には、種を水に浸して準備します。そして、育苗ポットに用意した土を入れ、前日から準備していた種を10個ほど重ならないようにまいていきます。土はかぶせずに水やりをしましょう。
発芽までは約10日です。本葉が2~3枚になったら元気な芽を残して間引きます。その後、本葉が4~6枚になり、草丈が約10cmになったら、植え替えを行いましょう。
苗の植え付け方法
苗から育てる場合にも、種まきと同じ4~5月ごろに植え付けましょう。寒い地域の場合は、7月ごろに植え付けです。
プランターで育てる場合には『鉢底ネット』と『鉢底石』を入れた上に、用意した土を入れます。そして、苗が20cm間隔になるよう植え付けましょう。
地植えする場合は、場所選びも大切なポイントです。日なたから半日陰くらいの場所に、15~30cmくらいずつ間隔をあけて植え付けを行いましょう。
室内で水耕栽培も可能
より手軽にシソの栽培を始めたいなら、室内でできる『水耕栽培』もよいでしょう。液体肥料を混ぜた水を与えるだけのシンプルなお手入れなので、初心者でも管理がしやすいのが特徴です。
また、屋外で育てるシソは秋には枯れてしまいますが、温かく調節できる室内なら1年間ずっと収穫し続けることも可能です。
『ペットボトル』で栽培できる点も、手軽に始められるポイントでしょう。ペットボトルを輪切りにして、注ぎ口をひっくり返し、下の部分にかぶせれば、水耕栽培の容器が完成です。
下部分に水と肥料を混ぜ入れ、注ぎ口部分にシソの苗を入れるだけで水耕栽培が始められます。
シソの育て方のポイント
香りのよいシソを育てるためには、ポイントを押さえて栽培することが大切です。たっぷり葉を茂らせて収穫を楽しむためのポイントを押さえておきましょう。
水やり
湿った土地を好むシソの水やりは、たっぷり与えるのが基本です。ただし、過剰な水やりは逆効果です。土の表面が乾いてから、たっぷりと水やりを行いましょう。鉢底から水が出てくるくらいが目安です。
特に乾燥しやすい夏場には、朝夕2回の水やりをします。地植えの場合、基本的には水やりの必要はありませんが、晴れが続き乾燥がひどい場合には、様子を見ながら水やりをしましょう。
水やりのときは、葉にもかけながら与えると、ハダニといった害虫の予防も期待できるでしょう。
肥料
植え付けをしたシソをすくすく育てるには『肥料』が欠かせません。植え付け時には、緩効性の化成肥料を土に混ぜ込みましょう。市販の培養土で元肥が配合されている場合には、そのまま使えばOKです。
『追肥』も行います。スタートするタイミングは、植え付けから約2週間後です。1カ月に1~2回のペースで、1株につき5gほどを目安に化成肥料を与えましょう。
適切に肥料を与えることで、大きく色も香りもよいシソに育ちます。
摘芯
葉の収穫量を高めるためには、適切な時期に『摘芯』を行うことが大切です。摘芯をすると上へ伸びる勢いがなくなり、脇芽の量が増えます。新しい芽からどんどん葉が育つため、収穫量が増えるのです。
摘芯をする際は、タイミングの見極めがポイントです。葉が10枚以上、草丈が約30cmになったころを目安に実施しましょう。
また、葉の根元に新しい芽が出ている、下から3~5節目の茎は、切らないように注意します。
シソの収穫方法とタイミング
大きく育ったシソは、小まめに収穫して料理に役立てましょう。自宅で育てていると、必要なときにたっぷり使えます。