エニシダとは?花の特徴・花言葉・育て方・手入れ方法を紹介
エニシダは、シダの名前がついていますが黄色い鮮やかな花を咲かせる植物です。育て方もかんたんで初心者に向いている花といえるでしょう。エニシダの基本情報や育て方・花言葉などを紹介します。ぜひ自宅で育ててみませんか。
エニシダとは?
エニシダは黄色い花をたくさん咲かせるとても華やかな植物です。枝が細いので花の鮮やかさがよく目立ちます。花の形がまるで蝶のようなので、風に揺れるエニシダは黄色い蝶々がたくさん止まっているようにも見えます。暑さにも寒さにも強く低木の常緑種です。それほど大きく育つことはなく、初心者でも比較的育てやすい植物なので、庭に植えて黄色い花が咲き乱れる姿を楽しむのもいいですね。
エニシダの基本的な情報から紹介します。
エニシダの基本情報
エニシダは低木で、品種にもよりますが草丈は2~3mほどです。たくさんの黄色い花を咲かせるイメージがありますが、花の色は白や復色、ヨーロッパではピンク赤色などのものもあります。開花時期は4月〜5月。ちょうど桜が咲き終わって朝晩の冷え込みもなくなる時期にきれいな花を咲かせます。
常緑の植物ですが、種類によっては落葉性のものもあります。エニシダが日本に輸入されたのは江戸時代の頃といわれています。エニシダの名前の由来は、ローマ時代の旧学名のゲニスタ(genista)のオランダ語が「エニスタ」、またスペイン語の「イニエスタ」から付けられたといわれています。
科・属
エニシダはマメ科のエニシダ属の植物です。マメ科の植物は世界中に約751種類ほどあり、特徴は双子の葉を持つ点です。羽状複葉の種類が多く花の形は蝶形、花が咲いたあとはマメができるものがあります。また、マメ科の植物の花は、香りのよいものが多いのも特徴です。
和名
エニシダの和名は、「金雀枝」、「金雀児」などがあります。読み方は「えにしだ」です。また「蝶形花」(ちょうけいか)と呼ばれることもあります。こちらは花の形から付けられた和名です。
英名
エニシダの英名は、「Broom」、「Scotch broom」などです。エニシダの英名にはBroom(ほうき)が付けられていますが、これはエニシダの枝でほうきを作るところからつけられています。魔女が空を飛ぶときに乗っているほうきにもエニシダが使われているといわれています。実はエニシダの花や植物について知らない人でも、いつの間にかエニシダで作られたほうきを毎日使っているのかもしれませんね。
学名
エニシダの学名は、「Cytisus scoparius」です。学名のscoparius(スコパリウス)はギリシャ語でホウキ状という意味です。英名だけではなく学名もエニシダの枝がホウキの材料として使われてきたところからついているんですね。
原産地
エニシダの原産地は、ヨーロッパ、北アフリカ、カナリア諸島、アジアなど幅広い地域に分布しています。ヨーロッパや北アフリカでも育つので、乾燥に強く水分が失われないよう葉が小さくなっています。また枝の部分でも光合成ができるようになっていて、乾燥地帯や水分が少ないところでも育つ力を持っている花です。そのため初心者でも比較的育てやすいといわれています。
枝がしなだれるような形をしているので、花が咲いているときは華やかに、また花がないときでも圧倒的な緑の葉を楽しめる植物でもあります。
エニシダの特徴
エニシダの見た目の特徴は、黄色い花をたくさん咲かせるところです。マメ科らしい蝶の形をした黄色い花がたくさんしなだれた枝から咲いているのは圧巻の美しさを感じさせます。耐寒性も耐暑性もあるので、本州なら庭や地植えで育てられますが、夏の湿気の多い時期と東北のような冬場マイナス5度以下になるような地域では、対策が必要になります。寒冷地でエニシダを越冬させるなら、鉢植えにして室内で管理する方がいいでしょう。
またエニシダは成長が早い植物ですが、寿命が10年程度と短い点も特徴です。庭木として植えてもほかの樹木より早く枯れてしまいます。またエニシダの枝や葉は、毒を持っています。アルカロイド系の成分が含まれていて、体内に入ると呼吸困難や神経麻痺が起こることもあります。小さな子どもがいる家庭で、エニシダを育てるときは、間違って枝や葉が口に入らないよう気をつけなければいけません。
エニシダの開花時期や季節
エニシダの開花時期は4月~6月です。春から初夏にかけて晴れの日が続く時期に、黄色い花をぎっしり咲かせる姿は近づく夏を感じさせて元気が出ます。エニシダの誕生花の日も、3月12日、3月30日、4月14日などと春の日に多く付けられています。
エニシダはマメ科なので、花もいい香りがします。エニシダの花の香りは、グリーンの香り。柑橘系のレモンのようなさっぱりした香りにスパイシーな香りが加わっています。満開のエニシダに近づいてみると甘酸っぱいいい香りがします。
エニシダの花言葉と由来
エニシダの花言葉は、謙遜、清潔、卑下です。英語の花言葉もhumility(謙遜、卑下)、neatness(清潔)となっています。清潔という花言葉の由来は、エニシダからほうきが作られているところから付けられたそうです。毎日エニシダのほうきで掃除すれば、部屋はいつも清潔ですね。
また謙遜や卑下の花言葉は、フランスの伝説からつけられたといわれています。
フランスの王子が兄の王を殺して王位を奪い取りましたが、のちにそのことを後悔し、とうとう王子は城を出て巡礼の旅に出るのです。そのとき王子が手にしていたのがエニシダで、エニシダの小枝を手に毎日懺悔を繰り返した、という伝説がもとになっているそうです。
エニシダの花言葉には、卑下も含まれているので誰かにエニシダの花をプレゼントするときには花言葉にも気をつけたいですね。
エニシダの種類・品種
エニシダにはいくつか品種があります。黄色い花の印象が強いですが、白やヨーロッパではピンク色などの花を咲かせる種類もあります。エニシダ(Cytisus scoparius)は、耐寒性がある常緑性の種類。
シロバナエニシダ(Cytisus multiflorus)は、落葉性のエニシダです。黄色ではなく白い花を咲かせます。緑の葉とたくさんの白い花の姿が美しい品種です。草丈はエニシダの中では高く、成長すると3mほどになります。シロバナエニシダは、花を楽しむだけではなく平らな枝の部分がセッカエニシダと呼ばれ生花に使われます。
ヒメエニシダ(Cytisus × spachianus)は、エニシダに似ていますがエニシダより耐寒性が弱い品種です。5度くらいの気温に下がると枯れてしまうので、鉢花で育てられることが多い種類。上に伸びる茎の先端に黄色い花をたくさん咲かせます。
ホホベニエニシダ(C. scoparius ‘andreanus)は、黄色い花の中に赤い色が入る鮮やかな花を咲かせる品種です。エニシダの仲間の中では大きく、草丈は2~3mほどにもなります。園芸品種として人気です。
エニシダの育て方・栽培方法
エニシダの育て方を紹介します。暑さ、寒さに強く初心者でも育てやすい植物ですが、花つきをよくして花を存分に楽しむためにも、日当たりや土、肥料などについて正しい知識を身につけておきましょう。
日当たり・置き場所
エニシダは、日当たりのよい場所を好みます。地植えなら日陰にならない場所に植えてあげましょう。鉢植えの場合も日光によく当ててあげてください。十分な日光が当たらないと、花芽が落ちる原因になり、多くの花が咲かなくなってしまいます。また強い風が当たらないような場所で育てましょう。エニシダは枝が細く下にしなだるように育ちます。強風の場合、木や鉢が倒れたりすることもあります。
エニシダは枝が横に広がって伸びていく植物です。庭で育てる場合は、十分なスペースを取ってあげましょう。狭い場所に植えてしまうと剪定のときが大変になります。
地植えで育てる場合、エニシダの種類にもよりますが冬場の気温がマイナス5度程度までは耐えられるので、外での越冬が可能です。寒冷地でマイナス5度以下になる場合は、寒さ対策をしてください。
土
エニシダに使う土は、水はけのよいものを用意しましょう。乾燥した土地や痩せ地でも育ち花を咲かせる強い植物なので、市販の園芸用培養土でも十分育ちます。赤玉土中粒2、日向土小粒2に、腐葉土もしくは樹皮堆肥を1混ぜたものなどがいいでしょう。パーライトを2割程度混ぜるのもおすすめです。水はけが悪いと、梅雨や長雨の時期に根腐れを起こす原因になる場合があります。
水やり
鉢植えでエニシダを育てる場合は、土の表面が乾いたらたっぷりあげてください。鉢底から水が出るまであげます。あまり水をあげすぎるとどんどん枝が伸びていって、エニシダの木の形が崩れてしまうので注意が必要です。地植えや庭植えのエニシダの水やりの場合は、根付いたら水やりは必要ありません。乾燥した土地でも生育するので雨からの水分で十分に育ちます。雨の少ない時期や夏場、乾燥する時期など、土の表面が乾いているときだけたっぷり水をあげましょう。