美しい生花を加工するプリザーブドフラワーとは?特徴や作り方を紹介
最近よく耳にするプリザーブドフラワーとは、どのような特徴があって人気なのでしょうか。枯れない花といわれる理由は何なのでしょう。プリザーブドフラワーの作り方から保存方法、おすすめの店紹介まで、さまざまな角度でまとめました。
枯れない花?プリザーブドフラワーとは何か
プリザーブドフラワーとは、長く保存できるように加工された花のことです。生花を安全な薬品溶液に浸して、水分と色素を抜き取り、あらたに着色をほどこして乾燥させたものです。
素材が生花なので、『枯れない花』ともいえます。ただし、永遠に同じ状態ではなく、ゆっくりではありますが劣化していくのは否めません。
水やりなどの手入れは必要ありませんので、さまざまな機会に差し上げるギフトにも重宝されています。
プリザーブとは英語で保存するという意味
プリザーブドフラワーとは聞きなれないと覚えにくい言葉かもしれません。『プリザーブド』(preserved)は英語で『保存された』という意味で、プリザーブドフラワーとは『保存された花』となります。
約2~5年は美しいままで楽しめますが、維持に少しだけ手間をかけると5年以上保存することも可能です。
ただし、生花よりも値段は高め
生花と比較すると、プリザーブドフラワーは値段が高めになります。生花よりも高価になる理由の1つは、加工する『技術料』が上乗せされることです。
珍しい種類の花や、大きい花などは加工が難しいので、より高くなる傾向があります。小ぶりなもので3000円程度、スタンダードな花束くらいのボリュームでは5000円程度が一般的です。
ウェディングでのブーケなどは花数が多く、素材となる生花もベストに近い高品質なものを選ぶので、数万円かかることもあります。
造花やドライフラワーとの違い
観賞用などに使う花には、生花のほかに造花やドライフラワーがあります。どのような点が違うのか見ていきましょう。
造花は本物の花に似せて作られたもの
造花は文字どおり、人工的に造られた花です。価格は大変『幅広く』、100円均一ショップで買えるものから精巧で生花のように見える高額なものまであります。
造花は、さまざまな種類の『布地』から作られるので、いわば偽物ですが、プリザーブドフラワーは本物の『生花』から作られる点が大きな違いです。
また、『花の種類』については、造花のほうが豊富といえます。プリザーブドフラワーの場合、花の種類によっては加工に不向きなものもありますが、造花は人工物ですので、あらゆる花を作ることができるからです。
ドライフラワーとの違いは見た目と寿命
ドライフラワーは、プリザーブドフラワーと同じ生花から作られますが『見た目』と『寿命』が異なります。
ドライフラワーの見た目は、かさかさと『乾いた感じ』で色も鮮やかではありません。一方、プリザーブドフラワーは生花のようなみずみずしさと鮮やかな色を保てます。
ドライフラワーは湿気の少ないところに飾っておけば長く持ちますが、完成時のままを維持するとなると3カ月~半年ほどが限度です。プリザーブドフラワーの場合はもっと長く、2~5年は維持できます。
簡単手作り、プリザーブドフラワーの作り方
プリザーブドフラワーは自宅で簡単に手作りできます。簡単に作れる方法を以下に説明しますので、ぜひ挑戦してみてください。
必要な材料
- 花材
- ブリザーブドフラワーA液(脱水・脱色用)
- ブリザーブドフラワーB液(着色用)
B液は、作りたい色数分が必要で、混ぜて色を作ることもできます。これらの溶液は、花材販売店などで入手可能です。
1本でA ・B液の働きをする専用液もありますが、ここでは、過程がわかりやすいように2種類の溶液を使って説明します。
A液の代わりに『エタノール』、B液代わりに『グリセリン』と『インク』を使って代用も可能です。エタノールやグリセリンは薬局で入手可能です。
加工のための道具としては、以下のものを用意しましょう。
- 花ばさみ
- 花の数料分の密閉容器
- ピンセット
- アルミホイル
- ゴム手袋
- キッチンペーパーや乾燥用のネットなど
作り方の流れ
- 花の茎を2~3cm残してカットし、最低でも30分ほど水につけ吸水させる
- A液を入れた容器に沈めて蓋をする
- 半日を目途にA液が黄色っぽくなったら、花を取りだす
- B液の容器に沈めて蓋をする
- 約1日以上、日陰に放置する
- 花を取りだしてA液に戻し、30秒から1分浸けてすすぐ
- キッチンペーパーなどで水気を拭いてから乾燥させる
液体から花を引き上げる時には、すでに花は乾いた状態ですのでピンセットなどを使い、取扱いに注意してください。液に沈める時に浮きあがってきてしまう場合は、アルミホイルなどで『落とし蓋』をしましょう。
なお、エタノールやグリセリンを使う場合は、浸水時間が長く必要です。
上手に乾燥させるコツは?
上手に乾燥させるには、『自然乾燥』がおすすめです。時間はかかりますが、花がくずれたり壊れたりすることが少なくなります。
コツは『茎を下方』にして、花が咲いているのと同じ状態で乾燥させることです。普通に置くと倒れてしまいますので、立てて乾燥させるような工夫が必要です。
ネットなどを箱に渡して取りつける、紙箱などに穴をあけて刺して立たせるなどして2~3週間、日陰で乾かします。
ほかにも、シリカゲルを入れた容器に花を埋めて2日ほど乾かす方法も可能です。湿度の高い場合は、半日ほど自然乾燥させた後にドライヤーの弱冷風や食器乾燥機を使って乾かしましょう。
プリザーブドフラワーに使う花の選び方
ブリザーブドフラワーを作るときには、加工しやすい花とそうでない花があります。加工しやすい花の特徴と、おすすめの花を紹介します。
加工しやすい花の特徴
加工しやすい花の特徴は、以下のとおりです。
- 新鮮な状態で6~7分咲きのもの
- 花びらが厚く散りにくい
- 花びらの枚数が多い
- 花やガクに傷がない
- 大きすぎない
全体的に花びらがしっかりしていて、取れにくいような状態のものが向いています。花びらが薄いと切れやすくなり、枚数が少ないと取れやすくなるので加工が難しいです。
また、大きい花は着色が均一にならず、むらが出やすくなります。慣れてきてから挑戦するのがおすすめです。
満開以上の花だと、作業中に花びらが散りやすい状態になります。6~7分咲きのものを選びましょう。
プリザーブドフラワーにおすすめの花
ここからは具体的に、プリザーブドフラワーに向いているおすすめの花の紹介です。