イチゴ(苺)の育て方・栽培方法|育てる上での注意点やコツは?
イチゴは日本全国で栽培されている人気のフルーツです。庭やベランダのちょっとしたスペースを利用して育てれば、採れたての味を楽しめるでしょう。イチゴを上手に栽培するために注意したいポイントや、育て方の手順を紹介します。
イチゴ(苺)の特徴・基本情報
イチゴにはたくさんの品種があります。温室栽培もされていて、春先以外でもイチゴを購入できるようになりました。旬の時期にスーパーへ行けば、さまざまな品種のイチゴを見かけるでしょう。
「単純においしいから」という理由で、普段、何気なく口にしている人が多いかもしれませんが、実は注目したい栄養素も含まれています。イチゴを育てる前に知っておきたい、特徴を見ていきましょう。
ビタミンCやアントシアニンが豊富
イチゴには、ビタミンCの含有量が多いことで知られるレモンに匹敵するくらい、多くのビタミンCが含まれています。『1日に5~10粒』ほど食べれば、1日に必要なビタミンCの摂取ができるといわれています。
ビタミンCは、健康的な肌や粘膜を維持するために役立ちます。熱に弱く水に溶ける性質を持っているので、調理せずにそのまま食べると、効率よく摂取できるのです。
また、ポリフェノールの一種であるアントシアニンも含まれています。アントシアニンは目によい成分として知られ、視覚機能の向上や眼精疲労の回復などへの効果が期待できるといわれている成分です。
イチゴのツブツブは種じゃない
意外に思えるかもしれませんが、イチゴの果実に見える部分は茎の先端がふくらんだもので、正確には実の部分ではありません。イチゴのツブツブの部分が果実に該当します。
一見すると、1粒のイチゴに見えますが、実際は200~300個の果実で構成された『集合果』なのです。
また、一般的にはフルーツとして食べられていますが、厳密には果実ではなく草木性の実に分類されるため、野菜として扱われることもあります。
イチゴの花言葉
イチゴ(苺)の栽培に適した環境は?
イチゴは日本各地に生産地があり、北海道から沖縄まで幅広い地域でつくられているフルーツです。いくつかのポイントを押さえれば、家庭でも比較的簡単に栽培できます。
イチゴを栽培するには、どんな環境が適しているのでしょうか。育てる場所や、使用する土について紹介します。
日当たりや置き場所
イチゴは日当たりがよい環境を好み、生育に適した温度は『17~23℃前後』です。日照時間が少ないと、甘味がない小さなイチゴしかつくれないことがあります。そのため日当たりがよく、暖かい場所に置くことが基本です。
季節によって日の長さが変わるので、日照時間も変化します。鉢植えで栽培したい場合は、鉢ごと苗を移動させられるので、よく日が当たる場所に移動させるとよいでしょう。
地植えの場合は移動させられないため、植える場所に注意することが重要です。株が蒸れないように、風通しを確保することも忘れないようにしましょう。
土はどんなものがよい?
プランターで栽培する場合、水はけがよい『野菜用の培養土』を使用しましょう。野菜用の培養土には、イチゴの生育に必要な肥料などがあらかじめ混ぜ込んであるので、園芸の初心者におすすめです。
水はけが悪いといつまでも土が乾かず、最悪の場合は根が腐ってしまう可能性があるため、水はけがよい培養土を使用します。
自分で土をつくりたい場合は、赤玉土6:腐葉土4をくらいの割合で、よく混ぜ込みます。これをベースにして、日当たり良好の場合はバーミキュライトを、日当たり・水はけがよくない場合はパーライトを加えましょう。
土が硬すぎると根が伸びにくくなってしまうので、よく耕してから植え付けるとよいでしょう。
イチゴ(苺)の植え付けの時期と手順
イチゴは12月頃から出回りますが、スーパーの店頭に並ぶものは農家で栽培されているので管理が徹底しています。農家の努力によって、早い時期からいちごを購入できるのです。
家庭で育てる場合は、夏が過ぎて暑さが落ち着いた時期に植え付けましょう。初心者におすすめの植え付けの時期と手順を紹介します。
苗を植える時期
イチゴの品種によって植え付けの時期は異なりますが、家庭で栽培するなら『10~11月』に植えて、5~6月頃に収穫するのがおすすめです。
一年中、実ができるタイプの品種もありますが、初心者は秋に植え春に収穫する『一季なり』のイチゴをおすすめします。
一季なりは、1年のうち一部の時期だけに実を採れる品種のことで、「さちのか」「とちおとめ」「とよのか」などの種類が人気です。
育てやすい苗は、住んでいる地域によって違います。早ければ9月頃からイチゴの苗が出回るので、近くの園芸店を訪れてチェックしてみましょう。
植え付けに必要なもの
イチゴを植え付けるときに必要な道具は、以下のとおりです。
- イチゴの苗
- 野菜用の培養土
- 鉢底網
- 20cm程度の深さがあるプランターや鉢植え
- マルチング用資材
- スコップや土入れ
培養土は苗2~3本あたり、12Lが目安です。鉢底網を敷けば害虫の侵入を防げます。あらかじめ鉢底が網状となっているプランターもあるので、利用しましょう。
鉢底石を敷くと水はけがよくなりますが、イチゴは浅めに植えて育てるので、必要ない場合が多いです。
また、イチゴの栽培専用につくられた「ストロベリーポット」を使用すると、果実が地面に付くことを防げます。見た目も可愛らしく、ハーブ用ポットにも転用できるでしょう。
苗選びのポイント
丈夫な苗を選ぶことが、イチゴの栽培を成功させるポイントの一つです。以下のポイントに注意しながら選びましょう。
- 大きく厚みがある葉がよく茂っている
- 葉に光沢があって緑色が濃い
- 茎がしっかりとしていて太い
- 根の量が多く、持ったときにがっしりとしている
少なくとも6~7枚の葉が付いている苗を選びます。葉が少ないと実ができる量も少なくなってしまいます。虫食いなどがないかもチェックしましょう。
植え付けの手順
イチゴを植え付けるときは、以下の手順で行います。
- 苗に水をやって土を湿らせておく
- プランターに培養土を入れ、苗と同じ深さの穴を掘る
- ランナーの向きを調整し、クラウンを埋めないようにやや浅めに植える
- 苗の周囲の土を優しく押してなじませる
- 土の表面にシートやわらを敷いてマルチングし、イチゴの実に土が付着するのを防ぐ
ランナーは親株から伸びるつるのことで、苗にはランナーを切った後があります。ランナーの反対側にイチゴの実や花が付くので、『ランナーの反対側』がよく日に当たるように植えることが基本です。