スミレの種類と育て方。押し花・食用にミステリアスな魅力を探ろう
そうか病は、晩春から初夏と秋に発生する傾向にあります。葉や茎に白いかさぶた状のブツブツができる病気です。雨に濡れないようにするのが有効な予防策といわれています。
うどんこ病は、5~8月頃に発生します。葉の表面に白いカビが生える病気です。うどんの粉をかけたように白くなることが、病名の由来とされています。
白くかびた部位は光合成がうまく行えず、葉が枯れる原因になります。日当たりと水はけのよい場所で植物を育てるのが予防策として有効です。
害虫
『ツマグロヒョウモンの幼虫』『ネコブセンチュウ』『アブラムシ』『ヨトウムシ』が、スミレの害虫の例です。いずれも花や葉に付いているのに気づいたら、取り除いて薬剤をまきましょう。
春に発生するアブラムシは汁を吸って植物の生育を阻みます。春から秋に発生するマツグロヒョウモンの幼虫とヨトウムシは、葉を食い荒らす虫です。マツグロヒョウモンの幼虫は、特にスミレ類を好んで食べます。
根こぶ線虫と表記されるように、ネコブセンチュウは細長い虫です。土の中で生息し、春から秋にかけて発生します。ネコブセンチュウが寄生すると、根が傷んで生育に影響が出るため注意しましょう。
スミレはミステリアスな植物
数ある花でも比較的知名度の高いスミレですが、ほかの花ではあまり見られないミステリアスな一面を持っています。スミレの栽培にも関係するため、自宅で育てたい人はその一面を知っておくとよいでしょう。
種ができる仕組み
一般的に、花が実を付けるには、開花してから受粉する必要があります。しかし、種のできる仕組みが特殊なことでスミレは知られています。
スミレは『閉鎖花(へいさか)』に分類され、花びらを閉じたまま自家受粉で結実可能で、『閉花』とも呼ばれます。ホトケノザも閉鎖花の仲間です。
閉鎖花は花を咲かせなくても実を付けられるため、夏や秋、冬でも種を作れます。また、ほかの種類の花と交雑することがないため、親と同じ品種の花を咲かせられるでしょう。
種を遠くに運ぶ方法
種を作る仕組みだけでなく、種を遠くに運ぶ方法もスミレは独特です。
熟すにつれて上向きに開いたさやが三つに割けると、種がむき出しになります。しぼむようにさやが閉じる圧力によって、種が飛び出します。種は3m以上飛ぶこともあるようです。
自宅の庭の敷地内でスミレを増やしたい人は、先に種を収穫しておきましょう。
また、アリに種を運ばせるという方法もあります。スミレの種の表面を覆う糖質の甘さに惹かれたアリが、遠くに種を運んでくれます。糖質を摂取し終えればアリは種を置いていくため、その場で発芽する仕組みです。
まだまだあるスミレの楽しみ方
栽培して開花時期に愛でるだけがスミレの楽しみ方ではありません。鑑賞以外の方法を知り、2倍・3倍にスミレを楽しみましょう。
料理して食べる
スミレは『食べられる花』としても知られています。和え物やおひたしといった和食に使うことが多いですが、サラダに生のまま入れてもよいでしょう。
クセのない味で食べやすいだけでなく、食卓に彩りを加えてくれます。ただし、ニオイスミレやパンジーは種や根に毒があるため、食べるのは避けましょう。
自宅にある材料で作れるスミレの料理でおすすめなのは『砂糖漬け』です。金平糖のような食感になり、お菓子感覚で食べられます。
水洗いして水気を拭き取ったスミレの花全体に、刷毛で卵白を塗ります。その上からグラニュー糖をまぶし、一晩寝かせれば完成です。紅茶に浮かべると、リッチな気分を味わえるでしょう。
押し花にする
花びらの薄いスミレは、押し花に適した花の一つです。栞にしたり写真立てに飾ったりする以外に、透明のスマートフォンケースやアクセサリーで押し花を楽しむ人も増えています。
押し花の作り方は、じっくり重石で水分を抜くだけではありません。電子レンジやアイロンなどの電化製品を使って短時間で作る方法もあります。ただし、これらの方法は花を焦がすリスクもあるので注意が必要です。
きれいな押し花を作るコツは、枯れ始める前の新鮮な花を使うことです。花は茎の根本の近くから切り落としましょう。
また、押し花はとてもデリケートです。長期間楽しむなら直射日光や湿気を避け、ラミネートやレジンでコーティングしましょう。
まとめ
スミレは種の付き方や種を運ぶ方法が特徴的な花です。種からでも苗からでも育てられますが、ガーデニング初心者なら苗からの方が育てやすいでしょう。
咲いた花は観賞する以外にも、食べたり押し花にしたりしても楽しめます。スミレの新たな魅力に出会えるかもしれません。
主な種類や正しい育て方を知り、自宅で元気なスミレの花を咲かせてみましょう。