ローズマリーを栽培してみよう。育て方から活用方法まで解説

2020 12/01
ローズマリーを栽培してみよう。育て方から活用方法まで解説

ローズマリーは、地中海沿岸を原産とする常緑性の低木です。爽やかに香り、小さな花をたくさん付けます。古くから親しまれているハーブの一つですが、インテリアや料理などに活用でき、幅広く楽しめる植物です。初心者は、苗から育て始めるとよいでしょう。

目次

ローズマリーはどんな植物?

ローズマリーはどんな植物?

ローズマリーはハーブとして使われることが多いため、身近でなじみのある植物といえるでしょう。花の色や種類だけでなく、木の形も豊富です。どんな植物なのか、詳しく見ていきましょう。

古くから親しまれるハーブの一種

ハーブとは、一般的に『香草』『薬草』のことを指します。ローズマリーの葉もハーブの一つとして、古くからさまざまな用途に用いられてきました。ローズマリーの爽やかな香りは、料理に入れるスパイスやアロマオイルとしても人気の香りといえるでしょう。

薬草としては、古代ギリシアの時代から使われていたそうです。古くは『魔除け』の力もあるとされ、花嫁の冠に編み込む風習もありました。

生え方は3タイプ

ローズマリーは、草ではなく『木』です。生え方には、以下のような3タイプがあります。

  • 立性(たちせい)
    垂直に枝が伸びていくタイプです。2mを越える高さになることもありますが、小まめな剪定を行えば大きさを調整できます。高さを活かして、目隠し用の生垣としても活用が可能です。
  • 匍匐性(ほふくせい)
    地面を這うように、横へと枝が伸びていくタイプです。高さは30cmくらいで止まりますが、横幅をとりますので、生育後の形を想定してスペースを確保しておきましょう。立性よりも香りが強く、小さなものはハンギングでも育てられます。
  • 半匍匐性(はんほふくせい)
    『立性』と『匍匐性』を合わせたタイプです。横へと地面を這うように1~2m伸びた後で、上へと伸びていく特徴があります。葉のサイズが大きく、料理に使いやすいのも特徴です。

花の色はさまざま

ローズマリーの花の色は『青』『ピンク』『白』『紫』などがあり、色の濃淡まで合わせるとバリエーションが豊富です。主な品種には、以下のようなものがあります。

  • マリンブルー
    立性で、青もしくは濃い紫の花を付けます。2m近くの高さまで伸びることもあり、大きく生長しやすい品種です。香りがとても良く、料理やアロマに使われます。
  • マジョルカピンク
    立性で、ピンクの花を付けます。葉の色が濃い緑色なので、花の色とのコントラストが鮮やかな印象です。50cm~150cmくらいの高さに生長するので、比較的育てやすい大きさだといえるでしょう。その香りは、ジャガイモ料理によく合うといわれています。
  • ローズマリー・ホワイト
    立性で、ローズマリーにはあまり見られない白色の花を咲かせます。背丈は2mくらいにまで伸び、寒さに弱いのが特徴です。ハーブティーに向いた、爽やかな香りをしています。
  • プロストラータス
    匍匐性で淡いブルーの花が特徴の、1m近くにまで伸びる品種です。料理にも使えますが、枝の絡めやすさを活かしてクラフト材料によく使われます。湿気に弱いので、風通しの良い環境で育てましょう。
  • サンタバーバラ
    匍匐性で、淡いブルーもしくは淡い紫の花を咲かせます。大きく生長しても60cmくらいの、小ぶりサイズな品種です。細かい葉をたくさん付け、花もたくさん咲きやすいといわれています。料理にもリース作りにもおすすめの種類です。

自宅でローズマリーを栽培しよう

自宅でローズマリーを栽培しよう

ローズマリーを自宅で育てる場合には、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは、『苗選び』『種まき』のコツについて見ていきましょう。

初心者は苗から栽培がおすすめ

ローズマリーは、他の植物に比べて発芽率が低めです。そのため、種から育てるよりも苗からのスタートをおすすめします。種から育てる場合は、発芽までの期間が1カ月ほどかかってしまうこともあります。

苗は、園芸店やホームセンターなどで購入しましょう。さまざまな種類の花がありますので、『立性』『匍匐性』『半匍匐性』のタイプも考慮に入れて選ぶのがおすすめです。

苗選びのポイント

できるだけ元気な苗を選ぶには、しっかりと根付いたものをピックアップしましょう。葉にハリがあり、色ツヤの良いものがベストです。虫やカビが付いていないかも必ず確認します。茎や葉が細い苗は、栄養状態や根に問題を抱えていることが考えられますので避けましょう。

さらに、苗選びにおいて大切なのが耐寒性の確認です。寒冷地での栽培や寒い時期から育て始める場合は、寒さに弱い品種は向いていません。耐寒性のある品種を選びましょう。

ローズマリーは、基本的には暑さにも寒さにも強い植物です。しかし、寒い地域で育てるのであれば『マジョルカピンク』や『ローズマリー・ホワイト』などの種類が無難だといえます。

種から育てる方法

ローズマリーの種を発芽させるには、『光』が必要です。種にかぶせる土が多いと、発芽に至らないケースがあります。種まきの際には、かぶせる土の量や日当たり具合にも注意を払いましょう。

種まきの方法には、種を地面に直接植える方法と、苗ポットを使った方法があります。苗ポットを使う場合は、発芽してしっかり根付くまでポット内で管理しましょう。

また、ローズマリーの種はとても細かいです。大切な種を失くさないように、ピンセットでつかむか、厚紙などの上に乗せてばらまくなどの工夫が必要となります。発芽までは時間を要するので、忘れずに水やりをし続けましょう。

育て方のポイント三つ

育て方のポイント三つ

ローズマリーを元気に育てるためには、いくつかの育て方のポイントがあります。『肥料』『水やり』『剪定』の三つに分けて、それぞれのコツをチェックしましょう。

肥料で栄養補給

ローズマリーは、基本的には肥料を与えなくても元気に育ちます。栽培の環境次第では肥料を使うケースもありますので、与え方のコツを押さえておきましょう。

特に、鉢植えで育てる場合は、ある程度の栄養補給が必要です。地植えの植物であれば、根が届く範囲で必要な栄養素を土から吸収できるでしょう。一方、鉢植えは土の範囲が限られています。根を張れるスペースも限られてしまうので、栄養不足になりやすいのです。

苗から育てる場合は、植え替えのタイミングで最初の肥料を与えましょう。種から育てる場合は、種まきの前に、土に肥料を仕込んでおきます。

枝や葉が生育し始めてからの肥料は、必須ではありません。むしろ、与え過ぎによる『肥料焼け』に注意が必要です。花付きが芳しくない、枝や葉に元気がないなど、具体的な症状が出ていたら肥料切れとみなします。このタイミングで肥料を与えるのがベターです。

適切な水やり

地中海沿岸を原産とするローズマリーは、湿気を嫌い、乾燥した環境を好みます。そのため、基本的には水やりの必要がほとんどありません。水分を与えるという意味では、定期的な水やりは鉢植えの場合に限ります。

水やりのタイミングは『土が完全に乾燥している状態』が目安で、『鉢の底から水が流れ出るほどたっぷりと』与えるのがポイントです。与え過ぎは根が弱る原因となりますので、注意しましょう。

水やりは、植物の根に水をしっかりと吸収させることが目的です。また、花や葉の害虫や病気を予防するという役割も担っています。地植え・鉢植えに限らず、葉や根の状態は小まめに確認しましょう。

花後の剪定

縦や横へとぐんぐん伸びるローズマリーは、剪定を行って大きさを調整します。サイズや形の調整がいらない場合でも、次の花を元気に咲かせるために、不要な枝葉の切り落としが必要です。

そのまま放置していると、生長するにつれて『枝の上の方にしか花が咲かない』『下の方に葉が付かなくなった』という現象が起こります。花付きの良さをキープするためにも、花が咲き終わった後は、必ず剪定を行うようにしましょう。

剪定は何のために必要?

剪定は何のために必要?

生長するにつれ、ローズマリーのサイズはどんどん大きくなります。それに合わせて、適宜剪定を行う必要が出てくるでしょう。では、なぜ剪定が必要なのでしょうか。ローズマリーに剪定が必要な理由について、解説していきます。

形が崩れることを防ぐ

剪定を行う目的の一つは、『形を保つ』ことです。立性、匍匐性、半匍匐性、それぞれの生え方によって、育ち方や木の形は違います。同様に剪定のコツも異なりますが、基本的には好みの形に切りそろえていけばOKです。

また、伸びた枝から茂る葉を取り除くことにより、風通しを良くする目的もあります。湿気が苦手なローズマリーは、湿度が高いと根が弱ったり、葉が枯れたりするからです。しっかりと剪定を行って、元気に育てましょう。

木質化を防ぐ

ローズマリーの枝が硬くなり、葉が生えてこなくなる現象のことを『木質化(もくしつか)』といいます。ある程度古くなると出てくる症状です。

剪定をせずに放置すると、下の方に湿気がたまりやすくなります。その過湿状態が続けば木質化が進み、新しい葉が生えてこなくなるのです。数年にわたって剪定をしなかった場合は、そのまま枯れてしまうこともあります。葉を摘んで他の用途に使うなど、葉の間引きも大切です。

花付きを良くする

ローズマリーには、『新しい枝に花が付きやすい』という特徴があります。そのため、古い枝をどんどん切り取っていくことが必要です。毎年きれいな花を楽しみたいのであれば、適切な時期に適切な方法で剪定をしてあげることが大きなポイントだといえます。

花が咲き終わったら、遅くても1カ月以内に剪定を行いましょう。それ以降のタイミングでは、花が付きにくくなってしまいます。ローズマリーの花は4~6月頃に咲くのが一般的なので、7月くらいが剪定時期の目安です。

元気に育ったら増やしてみよう

元気に育ったら増やしてみよう

ローズマリーが元気に花を咲かせたら、次の年に向けて増やすことを考えてもよいでしょう。ここでは『挿し木』と『種まき』の方法をご紹介します。

挿し木で増やす方法

ローズマリーは、挿し木で簡単に増やせます。その際の重要なポイントは、根を生やすことです。

うまく根を生やすには、『時期』『土』『日当たり』の3要素が必要となります。時期は5~6月、もしくは9~10月の比較的気候が穏やかなタイミングを選びましょう。

土は、新しくきれいなものを用います。古い土には雑菌が混じっていることがあり、根から雑菌が入るとそのまま枯れてしまう可能性があるからです。同様に、雑菌を増やすことを避けるために肥料も混ぜません。

また、日当たりも重要なポイントです。栽培スペースは『直射日光の当たらない明るい場所』を選びましょう。室内なら、カーテン越しの窓際、室外なら、明るい日陰に置くとよいです。

種から増やす方法

苗から育てたローズマリーが元気に育ったら、今度は種から育てる方法にもチャレンジしてみましょう。育ったローズマリーから種を採取して、それをまくことで株を増やせます。うまく発芽させることができれば、後は初回と同じ手順で育てるだけです。

種を採取するには、開花直後の剪定を省く必要があります。そのまま種が落ちてくるのを待って、拾い集めましょう。ただし、花が咲いた後のローズマリーは体力が少なく、病気への抵抗力が弱まっています。枝を残す数は最小限にして、残りは剪定してしまいましょう。

種は、花がしぼむと自然に落下します。種はとても細かいので、あらかじめ花穂に不織布などの袋をかぶせておくと、種集めがとても楽です。

ローズマリーの活用方法

ローズマリーの活用方法

ローズマリーの魅力の一つに、活用範囲が広いことが挙げられます。鑑賞用、料理用、そして消臭剤にも使えるのです。ほんの一例ですが、具体的な活用例を3点紹介します。

観葉植物として楽しむ

ローズマリーの枝を小さく切って花瓶に飾れば、緑のインテリアの完成です。常緑木なので一年中いつでも採取できますし、開花時期と重なれば小さな花を付けてくれることもあります。

鮮やかな緑が目を引く上に、爽やかな香りも楽しめるお手軽な飾り方です。鉢植えをそのまま部屋に飾る方法なら、さらに強い香りが部屋いっぱいに広がります。

料理に使う

ローズマリーといえば、料理用ハーブのイメージが強いのではないでしょうか。少し調べるだけで、お肉やお魚のお料理と合わせたレシピがたくさん出てくるでしょう。

イタリアでは定番の付け合わせといわれる、ローズマリー・ポテトなどもおすすめです。取れたての新鮮なローズマリーを使った料理は、食卓を豪華に彩ることができます。

乾燥させて消臭剤に

ローズマリーの爽やかな香りを応用して、手作りの消臭剤も作れます。

手順は簡単で、まずは重曹を準備します。ローズマリーの葉を採取したら、軽く洗って乾燥させておきましょう。香りをキープするために、短時間で素早く乾かすのがコツです。

乾いたローズマリーを少しずつ束ねて、室内で逆さづりにし、さらに3~5日くらい置きます。乾燥したらローズマリーの葉を細かくちぎりましょう。このとき、枝は不要なので捨てます。ローズマリーと重曹の割合を4:1くらいの割合で混ぜて、手作り消臭剤の完成です。

ハーブとしても楽しめる

ハーブとしても楽しめる

最後に、ハーブとしての楽しみ方を3点ご紹介します。冒頭でも記載したように、ローズマリーは古くから薬草としても研究され、人々の生活の中で使われてきました。さまざまな効果があるとされるローズマリーを、手軽に楽しみましょう。

集中力を高める

ローズマリーは、精油にしてアロマオイルとしても使えます。ローズマリーのエッセンシャルオイルには、集中力や記憶力を高めたり、気分をリフレッシュさせたりする効果があるといわれています。古代ギリシアでは、ローズマリーの冠を身に着けて勉学に励んだとされる逸話も残されているほどです。

精神を安定させる

ローズマリーの爽やかな香りには、精神を安定させる効果があるといわれています。香りをかぐと、もやもやとしている気持ちが晴れやかになり、気持ちが落ち着くそうです。

部屋のインテリアとして活用すれば、それだけで香りを楽しめます。仕事や勉強に疲れたら、ローズマリーの香りを試してみましょう。

肌や髪への美容効果も

『若返りのハーブ』とも呼ばれるローズマリーは、ハンガリーウォーターの伝説では美容に使えるといわれています。70歳を越えてリューマチを患っていた女王が、ローズマリーの蒸留酒を使いだしたところ、病が改善して、見た目も若返ったというエピソードです。

伝説の真偽はともかく、ローズマリーの成分は、実際にスキンケアやヘアケアにも広く使用されています。

まとめ

地中海沿岸を原産とするローズマリーは、乾燥に強く、湿気に弱いという特徴があります。元気に育てるには、適度な水やりと小まめな剪定が必要です。ぜひ上手に育てて、挿し木や種で増やしながら、インテリア・お料理などにも幅広く活用してみましょう。

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